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年金、私はいくらもらえる…?スマホでさくっと試算できるツールを厚生労働省が開発。その狙いを聞いた

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「ねんきん定期便があれば、パッと試算できる」

厚生労働省がこうアピールする、スマホやタブレット端末で年金額を試算できるツール「公的年金シミュレーター」を開発した。4月25日から、試験運用を始めている

「公的年金シミュレーター」「公的年金シミュレーター」

「ねんきん定期便」とは、国から委託されて年金に関する業務を実施している「日本年金機構」が公的年金に加入する人に年1回、誕生月に送付しているもの。それぞれの保険料の納付状況や加入期間などを知らせるものだ。

50歳未満の人に送付される「ねんきん定期便」のサンプル50歳未満の人に送付される「ねんきん定期便」のサンプル

「ねんきん定期便」が手元になくても手軽に試算できるという「公的年金シミュレーター」。その狙いや開発の経緯について、厚労省の担当者に聞いた。

「公的年金シミュレーター」とは?

この「公的年金シミュレーター」は、生年月日を入力した上で、

・2022年4月以降に送付される「ねんきん定期便」に記載されている「二次元コード」をスキャン

もしくは、

・働き方などに応じて異なる「国民年金」「厚生年金」といった加入状況、加入期間、年収を入力

ーーすることで、「あなたの年金見込み受給額」が試算されるというもの。

「公的年金シミュレーター」で、デモ操作用二次元コードを読み取って表示された「年金見込み受給額」のスマホ画面「公的年金シミュレーター」で、デモ操作用二次元コードを読み取って表示された「年金見込み受給額」のスマホ画面

入力した年収で60歳まで勤務することを前提に算出されるなど、実際の年金額とは必ずしも一致しないが、手軽に見込み額を知ることができる。

また、特徴の一つが、就労完了年齢や、年金の受け取り開始時期をスライドバーで動かすことができる点だ。たとえば、受け取り開始時期を遅らせることで、受給見込みの年金額が増えることなどがグラフから一目でわかる。

年金の見込み受給額は、日本年金機構が運用している「ねんきんネット」でも試算可能だが、利用登録が必要で、本人確認のための手続きがある。だが、この「公的年金シミュレーター」では、IDやパスワードは必要なく、入力した生年月日や年収などの個人情報は記録されないという。

厚労省年金局の担当者は「シミュレーターで気軽に試算をしてもらうことで関心を持ってもらい、より詳しい年金見込み受給額を把握できる『ねんきんネット』にも登録してもらえれば」と話す。

なぜ開発した?

厚労省はなぜこのシミュレーターを開発しようと思ったのか。

背景にあるのは、年金制度をめぐる改革だ。2020年5月に成立した「年金制度改正法」により、年金を受け取り始める時期の選択肢が広がり、厚生年金が適用される短時間労働者が拡大されることになった。

この法改正により、2022年4月から、年金を受け取り始める年齢を75歳まで遅らせることができるようになった。これまでは70歳までだった。年金を受け取り始める年齢は原則65歳からだが、早めて60歳から受け取ることも、最大75歳まで遅らせることもできる。

受け取り開始を遅らせると、年金額は増額される。1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額され、75歳から受け取り始めると最大で84%増額されることに。一方で65歳よりも早めると、減額される仕組みだ。

「人生100年時代」と言われる今、働く高齢者が増えつつある。こうした中、年金の受け取り開始時期の選択肢を増やすことで、「高齢者に長く働いてもらいたい」との狙いがある。

もう一つの大きな変更点である、厚生年金の適用拡大。週20時間以上30時間未満の短時間労働者に厚生年金が適用されるのは、これまで勤務先が「従業員501人以上」の企業が対象だったが、2022年10月からは「101人以上」の企業に、2024年10月からは「51人以上」の企業に拡大される

厚労省の担当者は「今回のシミュレーターで、年金の受け取り時期を変更するとどのくらい受け取り額が変わるのかや、パートやアルバイトで働く人が厚生年金に加入した場合に将来どのくらいもらえることになるのかを“見える化”できれば」と話す。

シミュレーターの本格実施は「年内に」

現在公開されている「公的年金シミュレーター」は試験運用中で、厚労省はシステム面や内容面での改善点などの意見を募っている

厚労省の担当者によると、国民からの意見を踏まえて改善し、本格実施は「年内をめざしている」という。

また、50歳以上の人には「ねんきん定期便」で「見込額」がすでに記載・通知されていることから、「特に20〜40代の方々にシミュレーターを利用してみてもらいたい」と話している。

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