【あわせて読みたい】介護・相続に備えて「実家」を片づけ。年末年始が狙い目!1500軒を片づけたプロに聞く「スムーズに進めるコツ」
年末年始は、実家を片づけるよい機会。親が健在なうちに片づけを進めておけば、将来的に在宅で介護を受けやすくなるうえ、財産の引き継ぎの手間や遺品整理の負担も軽くなります。
実家片づけは、親の終活と向き合う時間でもあります。とはいえ、先延ばしにしがちな話題をどのように切り出すとよいのでしょうか。また、老いた親と片づけをスムーズに進めるコツとは――。片づけアドバイザーの石阪京子さんが出版した「『介護』『看取り』『相続』の不安が消える!実家片づけ」(ダイヤモンド社)から抜粋・編集してお届けします。《全3回の第2回/つづきを読む》
片づけながら、最期どうしたいか聞いておく
今はまだ想像できないかもしれませんが、親が亡くなる日は必ずきます。
でも「介護が必要になったらどうする」ということすら聞きにくいのに「最期はどう送ってほしい?」「相続って何か対策してるの?」なんてふだんなかなか聞けませんよね。
でも亡くなると、本当に待ったなしです。
遺影写真や最後に着る服、棺に入れるモノなどを即断即決していかなくてはいけません。お葬式を行うためには親の宗教も知っておく必要がありますし、お墓の準備もあります。相続準備も始めなければなりません。これらを、親を失って悲しみに暮れているときに決めていくのはとても苦しいものです。
だから、やっぱり元気なうちに話し合っておくことが大事。 その点、実家片づけは本人が生きてきた道を共に振り返る作業でもあるため、死生観や人生観などの奥深い話を共有しやすいのです。
例えば、最期のときどんな服を着て旅立ちたいのか? あるいは遺影はどれを使えばいいのか? 高齢になると、おしゃれ着もあまり持ってないし、ちゃんとした写真を撮る機会もなくなります。なので、いざというとき、頭を悩ませる方は多いもの。
重い話も“片づけるついで”に聞いてみる
だから、実家片づけの機会にぜひ、本人の意思を確認しておきましょう。
洋服や写真の片づけをしながら、「最期にどんな服を着たいと思ってるの?「遺影に使いたいと思ってる写真はあるの?」「天国に持っていきたいぐらい大切なモノって何?」など、軽い感じで聞いておきましょう。
私の母は、白装束はイヤ、額につける三角の布もイヤという人だったので、大好きな自前のキラキラのスパンコールの服を身に着けて母らしく天国へ旅立ちました。
また、お金に関することもマストで確認しておきましょう。こちらは「紙片づけ」をするときに、要介護になったときの対応や、遺産分割の希望、遺言書の有無などまで確認しておければベストです。
「最期のことを話題に出すのは気まずい」と感じるかもしれませんが、元気な今だからこそ軽い雰囲気で聞くことができます。これがもし、病床に臥しているときなら「遺影写真どれにする?」なんて、リアリティーがありすぎてとても無理。
元気な今のうちだからこそ、〝片づけるついで〟に聞けることなのです。
親は頭を動かし、子は体を動かす
実家にあるモノは「親のモノ」なので、要・不要の判断は基本的には親がします。
それに対して子どもは、モノを運んできて親の前に並べたり、家具を移動させたり、粗大ゴミを収集センターへ運んだりという、体を使う作業に専念します。
つまり、親は頭を動かし、子どもは体を動かす、ということです。
親は体力がないから役割分担しているという意味合いもありますが、実は、頭の作業と体の作業を分離するのは最もスムーズに片づけが進むやり方なのです。
自宅の片づけでも、要・不要をジャッジしながら、不要なモノをゴミ袋へ入れていくというやり方でやっていると、ものすごく疲れてしまうことがあります。その原因はズバリ、頭と体を両方同時に動かしているからです。
実は、頭と体を同時に使うというのは、非常に疲れる行為。 要・不要を判断することは決断の連続のため頭が疲れますし、「いるかな? いらないかな?」と右往左往しながら作業を進めることで無駄な動作が増えて、体も疲れます。しかも時間がかかるので、なかなか片づけも終わりません。
だから、片づけをスムーズに進めるためには、頭と体を分けて作業することが大事。 一人で行う場合は、部屋の写真を撮って、まずは写真を見ながら不用品を判定し(頭の作業)、その後、不用品を一気に片づける(体の作業)のが正解です。
実家片づけでは、頭を動かす人(親)と、体を動かす人(子ども)を分けることで、それぞれ一つのことに集中することができます。作業はシンプルであるほど疲れにくいし、時短になります。
【PROFILE】石阪 京子さん
片づけアドバイザー。宅地建物取引士、JADPメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー、大阪で夫と不動産会社を起業、夢のマイホームを手に入れても片づかないことで理想の暮らしができないと諦めている多くの人に出会い、家の片づけを提案。独自のメソッドは、一度やれば絶対にリバウンドしないのが特徴で、直接指導した人は1500人を超える。ブログ「片づけの向こう側」でも発信中。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
親の「終活」は切り出しにくい…1500軒以上を片づけたプロが教える、実家片づけの“ついで”に確認すべきこと