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パレスチナ自治区ガザ地区へのイスラエル軍による攻撃が続いていることを巡り、現地で人道支援に当たる「国連パレスチナ難民救済事業機関」(UNRWA)への資金拠出を日本政府が再開することなどを求め、市民団体が2月26日、東京・永田町の衆議院議員会館で院内集会を開いた。
UNRWAを巡っては、2023年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃に職員が関与した疑いが浮上したことを受け、日本を含む10カ国以上が同機関への資金拠出の停止を決定した。
だが、UNRWAの清田明宏保健局長は2月16日、職員関与を裏付ける証拠はイスラエル側から示されていないと発言している。
集会を開いた「ガザ緊急アクションなごや」など4団体は、「UNRWAへの拠出金の停止は、ガザでの人道危機を最終段階に陥れるものであり、ジェノサイドに加担したとみなされることになる」と指摘した。
このほか、4団体は国会議員に向けた要請書で、
▽ガザでイスラエルが国際人道法に違反する行動を取っていることを認め、公式に非難する
▽イスラエルに対し、ジェノサイド防止を命じた国際司法裁判所の仮保全措置命令を遵守し、多くの住民が避難するガザ南部・ラファへの侵攻を止めるよう求める
▽アメリカなどに対し、イスラエルへの武器供与を直ちに停止するよう求める
▽国際犯罪を促すリスクのある日本・イスラエル間の協定や覚書の見直しを検討する
▽イスラエルに対する武器や関連設備の禁輸を徹底する
━などを求めている。
イスラエルへの武器輸出を巡っては、国連の専門家も「国際人道法に違反する可能性が高い」として、アメリカやドイツなどの軍事輸出国に対して即時停止するよう警告している。
「日本は影響力の行使を」
集会では、研究者や日本で暮らすパレスチナ人らがスピーチした。
国際人権法の専門家で、2009〜2014年に国連人権高等弁務官事務所パレスチナ副代表を務めた高橋宗瑠・大阪女学院大大学院教授はビデオメッセージを寄せ、「ガザの住民にとって、UNRWAの人道援助が唯一のライフラインになっています」と強調した。
「資金が停止されると、大規模な飢饉が避けられない状況になりかねません。その責任は第一にはイスラエルにありますが、UNRWAの活動を事実上阻止している日本を含むドナー国にも責任があります」として、資金拠出の即時再開を求めた。
さらに高橋さんは、イスラエルに対する国際刑事裁判所(ICC)の動きが「極めて鈍い」と批判。ICCは、集団虐殺や戦争犯罪などに問われる個人を国際法に基づき訴追・処罰する役割を担う。120を超える締約国のうち、日本はICCに最大の分担金を拠出している。
これを踏まえ、高橋さんは日本政府や国会議員に向けて、「ICCがイスラエルの戦争犯罪容疑を本格的に捜査するよう、主要なドナー国としての非常に大きな影響力を行使してほしい」と呼びかけた。
ガザ出身で、2年前に来日したアンハール・アル=ライースさんは、「温かさに満ちあふれたガザを恋しく思っています」と集会で話し、こう訴えた。
「ガザの人たちの血が流され、涙が流れる光景、その痛みを、どうして忘れることができるでしょうか。家族や友人、パレスチナの子どもたちは飢え、今にも死にそうになっています。そしてその死は、次から次に押し寄せています」
集会の呼びかけ団体の一つである「<パレスチナ>を生きる人々を想う学生若者有志の会」の皆本夏樹さんは、国会議員に対し「日本の企業と防衛省に対し、イスラエルの軍事企業との取り引きを即刻止めるよう働きかけてほしい」と述べた。
ガザ地区では2023年10月7日以降、2万9000人以上のパレスチナ人がイスラエル軍の攻撃により殺害され、負傷者数は約7万人に上ると報告されている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「死が次から次に押し寄せている」UNRWAへの資金再開を求め市民団体が要請