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あの時の自分へ伝えたい、今の私は「楽しく生きている」って――。
3月31日の国際トランスジェンダー可視化の日にあわせ、看護師で映画監督の浅沼智也さんが、動画『あの日の自分へ 7人のトランスジェンダー当事者からのメッセージ』を公開した。
国際トランスジェンダー可視化の日は、トランスジェンダーやノンバイナリーの人々を祝福すると同時に、差別や課題を可視化し、解消を目指す。
動画には7人のトランスジェンダー当事者が出演し、昔の自分へのメッセージを語る。
浅沼さんは「メッセージは、過去の自分だけではなく、今を生きるトランスジェンダーの人たちへのエールでもあるんです」と説明する。
不安を抱えていた10代の自分に伝えたいこと
「幸せになるから大丈夫」
10代の自分へこう語りかけたのは、都内でバーを経営するMASAKIさんだ。
MASAKIさんは10代の頃、自分の将来像を思い描けず、不安を抱えながら生きていた。
動画ではそんな過去の自分に「今は結婚して2人のこどもを授かり、幸せに生活している」と伝える。
他にも、西原さつきさん、山口颯一さん、イシヅカユウさん、モンキー高野さん&らーちゃんさん、ベルさん、そして浅沼さん自身が、孤独や不安を抱え、時には「死にたい」と思ったこともある過去の自分に、今は「楽しい」「仲間がいる」と呼びかけ、生きる喜びを伝える。
浅沼さんがこういったメッセージを伝える動画を作ったのは、心身ともにつらい状況に置かれているトランスジェンダー当事者をエンパワーし、明日への希望を持ってほしいという思いからだという。
リアルな姿を届けたい
「明るい未来が描けない」「トランスジェンダーとバレたら、差別や偏見にあうかもしれない」
今、浅沼さんの元にはこういったトランスジェンダーの人たちの声が寄せられている。
背景にあるのが、SNSを中心にしたトランスジェンダー、特にトランス女性に対するバッシングだ。
岸田首相の秘書官が2月、同性愛者を「見るのも嫌」などの発言をしたことをきっかけに、LGBT差別禁止法などの整備を求める動きが再び高まっている。
ところが、それを阻むかのように、SNSには「法律ができれば“⼼が⼥”だと⾔っただけで⼥湯に⼊れるようになる」といったトランスジェンダーをターゲットにした根拠のないデマが投稿されている。
動画には、こういったデマに心を痛めている当事者やアライの人たちを勇気づけたいという思いが込められている。
また、浅沼さんは「バッシングが続く状況は、トランスジェンダー当事者の人たちが必要な医療やサービスを受けられないなどの問題を見えにくくしている」とも訴える。
「根拠のないデマや誤情報ばかりに捉われて、トランスジェンダーであることを理由にした入社拒否や、医療抑制や相談窓口での対応拒否の問題など、当事者が日々の生活で直面する困難や課題などには、焦点が当てられていない状況です」
夢や希望へと繋げたい
浅沼さんは「だからこそ、国際トランスジェンダー可視化の日に、リアルなトランスジェンダーの姿を伝え、当事者をエンパワーしようと動画を作った」と強調する。
⏬動画『あの日の自分へ 7人のトランスジェンダー当事者からのメッセージ』
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
7人のトランスジェンダー当事者が、過去の自分に伝えたいこと。「国際トランスジェンダー可視化の日」に動画を公開