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LGBTは「種の保存に背く」と自民会合で差別発言 ⇒ 撤回と謝罪を求める署名が3万筆以上も集まる

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「LGBTは種の保存に背く」――自民党が5月20日に開いた会議で、出席者から差別的な発言があったことを受け、発言の撤回と謝罪を求める署名キャンペーンが立ち上がった。

20日の午後11時半ごろに始まった署名には、21日13日時点で3万2000人を超える人が賛同している。

どんな問題発言があったのか

会議では、5月14日に超党派の議連で合意した「LGBT理解増進法案」の審査が行われた。

TBSによると、この会議で出席者から「道徳的にLGBTは認められない」「人間は生物学上、種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背くもの」という発言があった。

また、山谷えり子議員は「アメリカなんかでは、女子の競技に男性の身体で心が女性だからっていって競技参加して、いろいろメダル取ったり、そういう不条理なこともある」と発言

「社会運動家・政治運動化されるといろんな副作用もあるんじゃないでしょうか」と述べ、法案の目的に「性的指向および性自認を理由とする差別は許されない」と書かれていることに懸念を示した。

インタビューに答える自民党の山谷えり子参院議員=2021年4月26日、東京・永田町の参院議員会館

この発言に、SNSでは「信じがたい暴論だ」など、多くの批判が殺到している。

署名呼びかけ人のひとりである一般社団法人fair代表理事の松岡宗嗣氏は、「いま差別やいじめによって、死にたいと思っているほど苦しんでいる性的マイノリティの当事者がいて、どうしてこんな酷い発言ができるのか、と非常に憤りを覚えた」と話す。

松岡氏は、「道徳的にLGBTは認められない」とか「人間は生物学上、種の保存をしなければならずLGBTはそれに背くもの」という発言は、性的マイノリティの存在自体を否定するものだと批判する。

「杉田水脈議員の『LGBTは生産性がない』という発言から3年が経ちましたが、何もこれまでの反省がなく、今回も優生思想に基づく発言が繰り返されていることが露呈したと思います」

「こうした明らかな差別発言が国会議員という立場から発せられてしまうことは、発言自体が当事者を苦しめるだけでなく、政策の内容にも直結し、文字通り当事者の命を左右するようなもので、到底許されるものではないと思います。撤回、謝罪の上、発言議員は辞職すべきだと思い、署名をはじめました」

松岡宗嗣氏

トランスジェンダー当事者の尊厳をおとしめる発言だ

朝日新聞によると、山谷えり子議員は19日に開かれた党内の会議でも「体は男だけど自分は女だから女子トイレに入れろとか、アメリカなんかでは女子陸上競技に参加してしまってダーッとメダルを取るとか、ばかげたことは起きている」と発言している。

松岡氏は、この発言を「トランスジェンダーの実態を無視した悪質な発言であり、当事者の尊厳をおとしめるものだ」と指摘する。

「コロナ禍にオリパラの開催を強行しようとしていて、トランスジェンダーの選手がくるかもしれないのに、与党議員がこのような認識でトランスジェンダー選手を侮辱する発言をするのは、国際問題レベルだと思います」

「スポーツといっても教育の場なのか競技スポーツなのかで状況は異なります。スポーツはすべての人が楽しめるはずのものですが、実際にはトランスジェンダーの子どもたちはスポーツの現場から排除されてしまっています。競技スポーツの点では公平性も重要です。すでに日本スポーツ協会がガイドラインを策定し、さまざまな競技連盟などが参加資格等について議論を重ねています。山谷議員の発言はこうした現状を無視し、トランスジェンダーの排除ありきで語っており、悪質だと思います」と松岡氏は言う。

また、「体は男だけど自分は女だから女子トイレに入れろ」という発言について、「性自認は『今から女だと思えば女だ』みたいな簡単な概念ではありません。トイレに関しても、すでに現状として法律上の性別や身体的な状況にかかわらず、女性トイレを使っている人もいれば、使いたくても使えないという人もいます。自分が周りからどう思われているか恐れながら使用している人が多いのが実態だと思います。トランス女性が突然女子トイレに”侵入”してくるかのような発言は、明らかに悪意のある扇動であり言語道断だと思います」と松岡氏は憤りを示す。

だからこそ差別的取り扱い禁止が必要なんだ

トランスジェンダーであることを理由に内定を取り消された、同性愛者であることを問題視されてクラスから追い出されたなど、LGBTQ当事者は様々な差別に直面している。

こういった被害が起きた時に、差別的取り扱いを禁止した法律がないと、実際に当事者を守ることができない。

そのため、松岡氏らLGBTQ当事者の有志や人権団体はこれまで、性自認・性的指向を理由にした差別的取り扱いを禁止する法律を作るよう求めてきた。

しかし、自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」が作った法案は、「差別禁止法案」ではなく、LGBTQ当事者に寛容な社会を目指す「理解増進法案」。

「差別解消法案」の成立を目指していた野党からの求めに応じて、法案の目的に「差別は許されない」という文言が加えられたが、自民党の議員からは、法案に「差別は許されない」という認識を明記することにすら反対の声があがったということになる。

松岡氏はこのことについて「もはやどうしても差別をしたいという意思の表れとしか言いようがないと感じている」と話す。

「私たちが求めている差別的取り扱いの禁止は、”発言”を禁止するものではありませんが、被害から救済することで、差別発言も防止することにつながると思います」

「今回の差別発言をしてしまうような議員がいる現状こそが、差別はダメだという法律が必要な根拠と言えるのではないかと思います」

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Source: ハフィントンポスト
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