AI技術の発展や気候危機などにより、世界各地で消費者の意識が大きな転換期を迎えている現代。アジア太平洋地域ではどのような変化が起きているのだろうか。
世界最大規模の世論調査会社イプソスは、グローバルトレンドレポート「Understanding Asia: アジアを理解する」を発表。最新のレポートでは、2025年にアジア太平洋地域の消費者にとって最重要事項となるトレンドを特定した。
本レポートでは、同社が50の市場で5万人を対象に行った調査「グローバルトレンドレポート第8版『新たなコンセンサスを求めて:テンションからインテンションへ』」から発表されたデータを活用している。以下、調査結果を一部抜粋して紹介する。
【調査概要】
調査方法:混合方式の「IndiaBus」を使用したインドと対面方式を使用したザンビアを除くすべての市場で、イプソスオンラインパネルを使用
調査対象: 世界50市場5万237人(日本人1000人を含む)
※米国、カナダ、香港特別行政区、イスラエル、マレーシア、ニュージーランド、南アフリカ、トルコ、ベトナムでは18~74歳、タイでは20~74歳、インドネシアとシンガポールでは21~74歳、その他すべての市場では16~74歳
アジア太平洋地域における、AIや環境問題への認識
アジア太平洋地域では、全体の68%が「AIが世界に良い影響を与えている」と答えており、世界全体の平均57%を上回った。特に中国は新しいテクノロジーの受け入れに積極的で、調査対象となった世界50市場の中で最も高い割合を示したという。
新しいテクノロジーはメリットをもたらす一方で、新たな懸念も強まっている。特にプライバシーとセキュリティに関する分野においては、アジア全市場の消費者の71%が、企業による情報収集について懸念を抱いていることがわかった。 日本においても、2013年以降、「技術の進歩が私たちの生活を破壊している」という価値観に同意する割合が18ポイント増加している。
気候危機や環境問題に関する項目では、全体の84%が「この地域がすぐに習慣を変えなければ、世界は環境災害に向かうだろう」と回答。また、全体の73%が「環境保護のためにすでにできる限りのことをしている」と回答しており、多くの消費者が企業に次の一手を求めていることが示唆された。この意識は、特にインドネシア(91%)、タイ(89%)、フィリピン(87%)で高くなっている。
Z世代の半数以上は「親が子どもだった時代に育ちたかった」
調査では、アジア太平洋地域のZ世代の半数以上(57%)が「親が子どもだった頃に育ちたかった」という項目に同意しており、世界の同世代(51%)よりも高い結果となった。複雑な情報社会やテクノロジーへの「疲れ」、気候危機への不安感などが高まっていることがうかがえる。
イプソスのAPEC CEO、ハミシュ・マンロさんは調査を振り返り「特に技術の進化、社会の変化、気候変動など、急速な変化と複雑化が進む世界において、消費者や国民がどのように考え、感じているかを明らかにしました。アジア太平洋地域は変革に対してオープンであるものの、企業が前進し、変革革命を先導し、リーダーとなることを望んでいる傾向が明らかになりました」とコメント。
また、気候危機に関しては「消費者は企業が環境への有害な影響を最小限に抑える上で重要な役割を果たすと考えています。企業には、環境リーダーとして気候変動対策への取り組みを示す絶好のチャンスがあるのです」と話し、ビジネスチャンスとして捉えることで見えてくる可能性があると説明した。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
Z世代の半数以上が「親が子どもだった時代に育ちたかった」?アジア太平洋地域における、消費者の最新トレンド【調査結果】