東京都に4回目の緊急事態宣言が発令された7月12日、性暴力に抗議する「フラワーデモ」の呼びかけ人の一人で、フェミニズム出版社「エトセトラブックス」代表の松尾亜紀子さんと日本女医会理事の青木正美さん、国際婦人年連絡会CEOで医師の前田佳子さんらが日本外国特派員協会(東京都千代田区)で会見した。
松尾さんは、コロナ禍で「在宅を強いられた結果、DVや望まない妊娠の相談件数が増加している」と指摘。日本では非正規雇用で働く人の7割を女性が占め、こうした女性のうち休業を余儀なくされた人が5人に1人にのぼるとして、「日本社会で生きる女性たちの命と生活が危機にさらされている」と訴えた。
そして、政府のコロナ対策が不十分な中での五輪開催で、「五輪後にこの国に住む女性たちに残されるのは、そこからまた長く続くパンデミックだ。大切な命と引き換えになぜ私たちは東京五輪を選ばなければいけないのか」と中止を訴えた。
2018年現在、医療従事者のうち、女性医師の割合はおよそ2割だが、保健師と看護師、准看護師に占める女性の割合は9割を超える。また、訪問介護員の9割近くが女性という統計もある。
こうした「エッセンシャルワーカー」の多くはリモートワークが難しく、医療現場に立つ看護師には、患者に感染者を出さないために家族と離れてホテルに滞在するなどして、心身ともに疲弊し、離職する人も多いという。
臨床医でもある青木さんは、ワクチン接種が進んでいない中での五輪開催で、感染拡大による医療崩壊や、新たなウイルスの変異株が生まれる恐れもあるとして、「今、私たちがしなければいけないのは、お互いできるだけ離れてパンデミックを終息させること。五輪はコロナという大災害のさなかに最もやってはいけない『人類のタブー』だ」と述べた。
青木さんはまた「コロナはあらゆる意味で弱い人を追い詰めていく。女性や経済的に弱い立場の人々がもっとも先に犠牲になっていく」として、五輪の中止を訴えた。
前田さんもまた、「コロナの最前線に立たされ、影響を受けている多くは女性。これは五輪開催ありきで突き進んできた政府による人災だ」として「国民の命を、多くの女性を犠牲にしないために五輪は中止する必要がある。遅すぎるということはない」と話した。
Source: ハフィントンポスト
開幕まで2週間でも「五輪中止を」 コロナ禍の女性の「過酷な現実」に女性医師らが訴え