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永住許可の取り消し制度は「排外主義の権化」。弁護士や永住者らが緊急集会で訴えたこと

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「特別扱いを求めているわけではない。日本社会の一員として認めてほしい」と語るルイス・カーレットさん(中央)ら永住者たち=2024年4月25日「特別扱いを求めているわけではない。日本社会の一員として認めてほしい」と語るルイス・カーレットさん(中央)ら永住者たち=2024年4月25日

【関連記事】合法的な奴隷制度?新たな貧困ビジネスの温床?改正入管法の「監理措置制度」ってなに?

新たに「育成就労制度」を設けることを盛り込んだ入管難民法などの改正案が4月、衆議院で審議入りした。法案には、永住資格を得ている外国人が税を故意に納付しないなどの場合に、許可を取り消すとの規定も加えられた。

この永住許可取り消し制度を巡っては、日本弁護士連合会が3月に撤回を求める会長声明を発表。「日本を終の棲家とし、あるいはしようとする外国籍者に甚大な影響を与えるものであって、その立法事実の有無などが慎重に検討されるべき」などと指摘している。

国会での審議が始まる中、外国人支援に取り組む弁護士や日本で暮らす永住者たちが4月25日、衆議院議員会館(東京・千代田区)で緊急集会を開いた。

「永住者として日本に根付いて暮らしてきた人々を『使い捨て』する排外主義国家で、誰が幸せになれるのか」と訴え、制度に反対の声を上げた。

何が問題になっている?

法案には、永住許可を得ている外国人が故意に税を納付しなかったり、拘禁刑に処されたりした場合、永住資格を取り消すとの内容が盛り込まれた。在留カードの常時携帯など入管法上の義務を遵守しない場合も、取り消しの対象となる(改正案22条4第1項8、9号を新設)。

現在の制度でも、永住者の在留資格を一度得たからといって、永住許可を受け続けることができるわけではない。虚偽の申請をしたり、1年を超える懲役や禁錮刑に処され強制退去となったりした場合などは、永住資格を失う。

4月24日の衆議院法務委員会で、立憲民主党の鎌田さゆり議員が、「永住者が公租公課を滞納しているという自治体からの通報や苦情は何件あったのか」と質問した。

これに対し、入管庁の丸山秀治次長は、一部の自治体から「永住許可の申請時にまとめて滞納分を支払い、その後再び滞納する永住者がいる」といった情報提供があったと説明する一方で、「通報のあった件数の統計は持っておりません」と述べた。

さらに、鎌田議員が「公租公課の滞納の統計を取っているか」と尋ねたところ、丸山次長は「滞納額についても当庁としては把握していない」と答弁した。

つまり、入管庁は実際にどれくらいの永住者が税金を滞納しているか、その滞納額がどれほどなのかが不明なまま、取り消し制度の導入を進めようとしていることになる。

駒井知会弁護士は集会で、入管庁の答弁に言及し「仮に永住者の滞納があったとしても、日本人と同じように督促や差押えによる対応ではなぜ足りないのかが全く説明できていない」と批判した。

法案では、在留カードの常時携帯など入管法上の義務を遵守しない場合や、「故意に公租公課の支払いをしない」ときに、取り消し対象となることを定めている。

24日の衆院法務委で、公明党の大口善徳議員は「うっかり在留カードの携帯を忘れただけで在留資格を取り消されることとなれば、義務違反とそれに対するペナルティとのバランスを欠くことになるのでは」と質問。丸山次長は「一般論として申し上げれば、在留カードの携帯を失念したような場合に取り消すことは想定していない」と説明した。

続けて、大口議員が「病気や失業のために支払いができない場合も取り消しの対象になるか」と問うと、丸山次長は「一般論として、病気などによってやむをえず公租公課を支払えない場合はこれに該当しない」と説明した。

ただ、駒井弁護士は「取り消し対象にならないと説明されても、制度の文言上取り消せるようになってしまえば、取り消すも取り消さないも入管の手の内に握られることになる」と危機感を募らせる。「永住者の日常を不安なものにし続ける法案であり、排外主義の権化以外の何ものでもありません」。

「家族が離れ離れになるのでは」永住者から不安の声

集会では3人の永住者が発言した。

アメリカ人のルイス・カーレットさんは、日本で約20年暮らす永住者だ。2008年に永住許可を取得したとき、「日本に一生住めるという安心感を得られた」と振り返る。

「永住者にも納税の義務や、全ての法律を遵守する義務があり、違反したら日本人と同じペナルティが課されるのは当然だと思っています。私は特別扱いを求めているわけではありません。日本社会の一員として、永住者として認めてほしいのです。永住者の在留資格を取り消されるかもしれないという不安感を抱きながら生活するのはつらいです」(カーレットさん)

ミャンマー出身のミンスイさんは、「当事者の意見を聞かずに、入管が自分たちだけで法案を作っていることはおかしい」と指摘。10歳で来日した中国出身の永住者は、「家族が離れ離れになるのではと考えると不安です」と訴えた。

手記を寄せたフランス出身の50代の永住者は、「今回の法律で、私たちはどうなっていくのか、いつ、どんな事情で永住権を取り消されるのかが曖昧で、また不安と共に生きる時代に戻ります。日本社会と懸命に関わっているのに、また輪の外に追い出された気がします」と思いを明かした。

NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」理事の鈴木雅子弁護士は、「外国人は人ではなく『人材』でしかないという考えを永住者にまで広げて、日本国籍がない限り社会の一員としては受け入れませんという宣言をしようとする法案だと思っています。本当にそういう国を目指したいのか、そこに未来があるのかということが、私たち自身に問われているのでは」と投げかけた。

永住者の資格は、法相が永住を認めた場合に取得でき、在留期間は無期限。入管庁の統計によると、永住者は在留資格別で最も多い約88万人で、永住者の配偶者等の在留資格は約4万9000人(いずれも2023年6月末時点)。

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永住許可の取り消し制度は「排外主義の権化」。弁護士や永住者らが緊急集会で訴えたこと

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