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私のことは心配しないで――。
NASAの火星探査機「インサイト」が最後の力を振り絞り、電力が尽きる前に撮影した画像を送信した。
インサイトは2018年に火星に着陸して調査を続けていた。しかしNASAは5月、ソーラーパネルにちりが積もり、徐々に電力を失うだろうと伝えていた。
そしてインサイトのTwitterに12月20日(日本時間)、「電力がとても少なくなりました。おそらくこれが私が送る最後の画像です」というメッセージが投稿された。
「だけど私のことは心配しないでください。私はここで、実り多い平穏な時間を過ごしました。もしミッションチームと話し続けられるのなら、そうするでしょう。しかし、ここで終わりにしたいと思います。私と一緒にいてくれてありがとう」
My power’s really low, so this may be the last image I can send. Don’t worry about me though: my time here has been both productive and serene. If I can keep talking to my mission team, I will – but I’ll be signing off here soon. Thanks for staying with me. pic.twitter.com/wkYKww15kQ
— NASA InSight (@NASAInSight) December 19, 2022
貴重な観測データを送り続けた
インサイトは2018年5月5日に打ち上げられ、同年11月26日に火星に着陸した。
火星の進化を解明することをミッションに、地殻やマントル、コアなど内部構造などを調査し、2019年には初めて火星の地震をとらえたほか、貴重な気象データを地球に送信し続けた。
しかしNASAは2022年5月に、ソーラーパネルに積もったちりが原因で、インサイトが徐々に電力を失い操業を終えるだろうと伝え、11月には終わりが近づいていると報告していた。
そして12月18日、NASAはインサイトが地球とのコミュニケーションに応答しなくなったと発表。
NASAによると、交信が途絶えたのは12月15日で「限界に達したのかもしれない。何がエネルギーの変化を促したのかはわからない」とコメントしている。
NASAは、インサイトが火星を周回する宇宙船との通信を2回連続で失敗した場合、ミッション終了を宣言するという。
私のことを誇りに思ってくれたら嬉しい
火星着陸から4年間、たくさんの貴重なデータを地球に送り続けたインサイト。
NASA惑星科学部門ディレクターのロリ・グレイズ氏は5月に「インサイトは、岩石惑星内部についての私たちの理解をすっかり変え、将来のミッションの土台を整えました」「私たちは火星の内部構造について学んだことを、地球や月、金星、さらには他の太陽系の岩石惑星にも適用できます」とコメントしている。
別れは悲しいものの、インサイトにとって充実した4年だったようだ。最後が近づいていた11月に、こんなメッセージも公開されている。
「私は2つの惑星で生きることができて、とても幸運でした。4年前、私は無事に2つ目の惑星に到着し、最初の惑星にいる家族を喜ばせました。 この発見の旅に私を送ってくれたチームに感謝します。 どうか、みなさんが私のことを誇りに思ってくれていますように」
I’ve been lucky enough to live on two planets. Four years ago, I arrived safely at the second one, to the delight of my family back on the first. Thanks to my team for sending me on this journey of discovery. Hope I’ve done you proud.
Science highlights: https://t.co/DPS3j7OkEkpic.twitter.com/nnhiTOF0RO
— NASA InSight (@NASAInSight) November 26, 2022
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
火星探査機インサイト力尽きる「電力が少なくなりました。これが最後の画像です」