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“4万円”ホットプレート⇒超高級なのに家庭で大ヒット!開発担当者が明かす「プロ級の機能性」

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「家での食事をもっと特別なものにしたい」

そんな思いに応えたのが、2023年10月にバルミューダから発売されたホットプレート「BALMUDA The Plate Pro」だ。デザイン家電で知られる同社が手掛けたこの製品は、約4万円と決して安くはないが、発売から約1年で出荷台数4万5000台を突破している。

なぜこれほどまでに売れているのか。その秘密は、妥協のない機能性とスタイリッシュなデザイン、そしてアフターコロナで増えた年末のパーティー需要にある。

バルミューダが高品質のホットプレートを開発・発売した背景について、開発担当であるプロジェクトマネジメント部 部長代理の岸本亮さんと、プロダクトデザイン部 部長の比嘉一真さんに話を聞いた。

ホットプレート「BALMUDA The Plate Pro」ホットプレート「BALMUDA The Plate Pro」

4年前に企画するも「開発不可能」と一度断念

家庭用ホットプレートといえば、プレートの上で焼肉や焼きそばなどの料理を手軽に作れる調理器具だが、市場はすでに成熟していた

そこに、あえて参入したのがバルミューダだ。

「既存のホットプレートの多くは温度設定がアナログで、温度が上がったり下がったりする。それが料理の完成度に大きく影響してしまうんです。一定の温度を保ちながら、最後まで調理ができるホットプレートがあれば、家庭でもお店で提供できるような高クオリティな料理を作れるのではと思いました」(比嘉さん)

2019年頃、キッチン商品のラインアップ拡充を検討していた際にホットプレートの企画が持ち上がったが、実は一度頓挫している。岸本さん主導でさまざまなホットプレートを購入し、七輪との比較など、多角的な検証を行った。しかし、家庭用電源の電力制限(1500W)では目標とする火力を実現するのが難しく、開発を断念せざるを得なかった。

だが、2021年にホットプレートプロジェクトは再始動した。バルミューダ初のシェフとして、名だたるホテルで経験を積んだ岡伸忠さんが入社したことがきっかけだった。

「家電メーカーにプロのシェフが参加するのは非常に珍しいことですが、アドバイスを受け、キッチン家電開発に不可欠な、調理や味に対する知見が飛躍的に向上しました

そして止まっていたホットプレートの開発も、岡嶋シェフ発案の『ホットプレートを極厚にして温度を一定に保つ』というアイディアを採用し、再び動き出したのです」(岸本さん)

何十回も試作を重ねて完成!家庭でプロの焼き加減を実現できるワケ

「BALMUDA The Plate Pro」の開発にあたっては、従来のホットプレートが抱える課題を徹底的に見直した。一般的なホットプレートは設定温度が安定せず、高温になりすぎたり低温になりすぎたりするケースが多い。特に、薄いプレートでは食材を載せると急激に温度が下がり、調理結果に影響を与えることもあった。

この問題を解決するため、「BALMUDA The Plate Pro」ではマイコンによるPID制御を採用した。設定温度から±5度以内の精度で安定した調理が可能となり、ステーキや野菜を均一に焼き上げることができる。

「プレートの厚みや材質、表面加工については試作を40種類以上行い、最適なものを採用しました。これにより、熱の伝わり方や蓄熱性が格段に向上しました。また、岡嶋シェフが日々調理を行いながら味を確認するというプロセスも取り入れたことで、家庭でプロの焼き加減実現できる製品が完成しました」(岸本さん)

温度設定は160℃、180℃、200℃、220℃の4段階。温度設定が正確にコントロールされ、美味しく焼ける温度を維持させることができる温度設定は160℃、180℃、200℃、220℃の4段階。温度設定が正確にコントロールされ、美味しく焼ける温度を維持させることができる

裏テーマは“お父さんがヒーローになれるホットプレート”

バルミューダ製品の特徴といえば、その美しいデザインだ。「BALMUDA The Plate Pro」にもその哲学が貫かれている。家庭で使うシーンを考慮しつつも、プロ仕様の高級感を損なわないシンプルで洗練されたデザインに仕上げられている。

「デザインの裏テーマは、『お父さんがヒーローになれるホットプレート』。週末に家族で囲む食卓をイメージして、使いやすさと特別感を両立させました」(比嘉さん)

実際、ホットプレートの購入者層は他の製品に比べて、40~50代の男性が多いという。自宅でライブキッチンを実現できるデザインが、「週末料理」に憧れる男性層に刺さったようだ。

料理も、料理をしている人も主役にするスタイリッシュなデザイン料理も、料理をしている人も主役にするスタイリッシュなデザイン

4万円台という価格に社内から懸念の声も「一切妥協しなかった」

日本国内のホットプレート市場は比較的小規模で、1万円以下のものも多い。そんな中で「BALMUDA The Plate Pro」は約4万円という挑戦的な価格で登場した。この価格帯の設定については、社内でも多くの議論が交わされたという。

「一般的なホットプレートではアルミニウム(厚さ3mm前後)がよく使われますが、BALMUDA The Plate Proはステンレス・アルミ・ステンレスの3層構造、厚み6.6mmのクラッドプレートを採用しました。これは素材の質に徹底的にこだわった結果です。高品質な鍋やフライパンと同様に、『調理器具』としての価値に重点を置いてホットプレートを設計しました。そのため、材質、厚み、そして見た目に一切の妥協をしませんでした」と開発チームは語る。

また、販売に際しても製品の「体験価値」を重視した。販売前の商談では、単に説明を行うだけでなく、バイヤーの前で実際に調理し、試食してもらうプロセスを取り入れた。その結果、価格に対する懸念はほとんど出ず、従来にない価値提案として高い評価を得たという。

2023年10月の発売直後から「肉がおいしく焼ける」「料理を熱々のまま食べられる」などと注目を集め、発売初週で累計出荷台数が5000台を突破。さらに、年末から年明けにかけてクリスマスやお正月、バレンタインなどのパーティー需要も追い風となり、3か月で1万5000台、1年で4万5000台を突破した。

肉も野菜も均一に焼き上がる

実際に「BALMUDA The Plate Pro」を使ってみると、その性能の高さが際立つ。特に感動したのは温度制御の精度だ。ステーキを焼いた際、設定温度が常に安定しており、焦げすぎや焼きムラがほとんどない。

厚さ2㎝の肉にも均一に温度が行き渡る厚さ2㎝の肉にも均一に温度が行き渡る

厚みのあるプレートが熱を均一に伝えるため、肉も野菜もムラなく仕上がる。

野菜も香ばしく焼きあがる野菜も香ばしく焼きあがる

さらに、プレートは取り外し可能で、後片付けも非常にスムーズだ。

肉の厚さを計れる目盛り付きのヘラが付属されている肉の厚さを計れる目盛り付きのヘラが付属されている

また、製品のデザインは食卓を華やかに彩る。シンプルでありながら高級感のあるフォルムが、家族の特別なひとときを演出する。価格はやや高めだが、その調理性能とデザイン性を考えれば、十分に価値を感じられるだろう。

(取材・執筆:橋本岬、編集:荘司結有)

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