厚生労働省から毎年発表される「過労死等の労災補償状況」では、メンタルヘルスの不調による精神障害を理由にした労災請求件数が公表されている。
今年6月に公開された令和5年度の最新調査結果では、精神障害を理由にした労災請求件数が3575件(前年度比で892件の増加)と過去最高を記録しており、仕事におけるメンタルヘルスケアの重要性が高まっている。
そういった背景を基に、クラウドの活用と企業における最適なメンタルヘルスケア体制の構築によって「心身の健康問題を考えることが身近になる世界」を目指す「メンタルヘルステクノロジーズ」は、20歳〜65歳の企業で働く従業員575人を対象に職場のストレスに関する意識調査を実施。その結果を一部抜粋して紹介する。
【調査概要】
調査内容:職場のストレスに関する調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年6月13日〜6月16日
有効回答:20歳~65歳の企業で働く従業員575人
メンタルヘルスのケア、重要だとは思っているけれど…。
調査では「仕事でストレスを感じていますか」という質問に対し、26.8%が「かなり感じる」、49.2%が「やや感じる」と回答。
一方でメンタルヘルスのケアの重要性については、全体の9割以上が「重要だと思う」と回答しており、メンタルヘルスのケアを重要視はしつつも、それに応える環境が整っていないことがうかがえる。
また「会社や所属する組織の経営層・マネジメント層と『ストレスに関する価値観の違い』を感じることはありますか」という質問においても、23.8%が「非常に感じる」、49.9%が「やや感じる」という回答しており、仕事によるストレスの解消には、両者の価値観の交換や擦り合わせが必須と言えそうだ。
メンタル不調を企業に相談したくない理由は?
「会社や所属する組織が行なっている、従業員のストレス対策に関する取り組みを知っていますか」という質問に対し、36.9%が「あまり知らない」、28.2%が「まったく知らない」と回答。一方で「よく知っている」という回答は8.3%にとどまる結果となった。
しかし「メンタル不調を感じた際に、相談できる窓口機能は会社や所属組織にありますか(提携している外部の相談先も含む)、またそこに相談しようと思いますか」という質問には、31.1%が「相談窓口はあるが相談したくない」、32.9%が「相談窓口はない・知らない。あっても相談したくない」と回答し、メンタルヘルスに関する相談に精神的な障壁があることがわかった。
「相談したくない」と回答した人にその理由を聞いたところ(複数回答可)、「相談しても解決しないと思うから」が54.3%、「相談窓口の相手をよく知らない・信頼できないから」が31.0%、「プライバシーが担保されているか不安だから」が28.5%という回答が多く寄せられた。また、8.4%は「相手が異性で、相談しにくいから」と回答した。
メンタルヘルステクノロジーズ代表取締役社長の刀禰真之介さんは、調査結果を振り返り「現場の仕事の量、質、人間関係について、経営層と現場従業員との間に大きなギャップが生じている可能性を否定できない」とコメント。
さらに「10年20年前と比較し、現場はよりミスなく大量の業務を行うことが求められる一方、人手不足も相まってストレス度合いが高まっているにもかかわらず、メンタルヘルスケアの適切な対応に手が回っていないのではないか」と続け、早急に現状を改善する必要性を強調した。
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