1: 通りすがりのコメンテータ「アンニョンハシムニカ(こんにちは)」と生徒の元気なあいさつが飛び交う。地域の人々にありのままの学校の様子を知ってもらおうと、広島朝鮮初中高級学校(広島市東区)で10月29日、授業が一般公開された。約200人の保護者や地域住民らが授業風景を見学した。
年に1回の恒例行事。校内は民族管弦部による伝統楽器「カヤグム」や「チャンゴ」の音色が鳴り響いていた。
初級部(小学校)1年の教室では朝鮮語の授業があり、母音を習っていた。1年生はわずか3人だが、はつらつとした声が教室に響く。娘を見守っていた母親(38)=東区=は「日本の学校に通わせようかと悩んだが、ルーツである朝鮮の文化を学んでほしかった」と話した。
「文中のあさがおは何の比喩だと思う?」。日本語による国語の授業で「方丈記」を学んでいたのは高級部(高校)2年の教室。呉仙雅(オ・ソナ)さん(16)は「日本で暮らすからこそ、しっかりと日本語を学ばないといけない」と考える。卒業後の進路はまだ決まっていないというが、「今まで在日の社会からもらったものへの感謝を誰かに届けたい」と話した。
国からの補助金停止
国から補助金の支給が停止され、統廃合が進むなど、厳しい環境にある朝鮮学校。10年前には同校の在校生は200人以上いたが、現在は幼稚班(幼稚園)を含めても83人しかいない。中四国地方の高級学校は同校のみとなった。
見学に訪れた同市西区の吉岡尚友さん(82)は「言葉は分からないが、先生と生徒の距離が近いのがすばらしかった」と話した。同校の卒業生に誘われ、初めて訪れたという広島市立大1年の中本汐音さん(19)=同市安佐南区=は「自分が通っていた学校と何も変わらないのに、補助金で差があるのはおかしい」と疑問を呈した。朴志晙(パク・チジュン)校長は「たくさんの日本人に来てもらった。ぜひ学校の雰囲気を周囲の人にも伝えてほしい」と話した。
公開授業に続いて、在日3世の朴憲浩(パク・ホノ)弁護士の講演会があった。長年、自らの出自を悩み、共有する相手がいなかった過去について語り、「同じアイデンティティーを持つ人と民族性を育める場所」と朝鮮学校の意義を訴えた。【安徳祐】
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