Appleは「iPhone 15 Pro」で、より軽量なチタンフレームを初めて採用しました。この変更による、スペック上には現れない変化について、テックメディア「9to5Mac」が報告しています。
*Category:テクノロジー Technology *Source:9to5Mac(1) ,(2) ,The Verge
「iPhone 15 Pro」が「思ったよりも軽い」と感じる訳
Appleは「iPhone X」以来、上位モデルにステンレススチール製フレーム採用してきました。同社は今回のチタン製フレーム採用を大々的にアピールしましたが、実はスペック上の変化はそこまで大きくありません。一方で、発表イベントに出席していた数多くの海外レビュワーは「圧倒的に軽い」と語っています。
At first glance, the 15 Pro looks just like the iPhones Pro before it. But pick one up, and the lighter weight due to the titanium frame is obvious,
— 引用:The Verge訳:一見すると、15 Proは以前のiPhone Proと同じように見える。しかし、手に取ってみると、チタンフレームによる軽さは明らかで、カーブしたエッジも同様だ。
I’ve been using the iPhone 14 Pro Max for the last year, so I’ve grown pretty familiar with its weight. I found the iPhone 15 Pro Max to be significantly lighter and more comfortable to hold.
— 引用:9to5Mac訳:私は昨年からiPhone 14 Pro Maxを使っているので、その重さにはかなり慣れてきた。iPhone 15 Pro Maxの方が圧倒的に軽く、持ちやすいと感じた。
一方、スペック上では「iPhone 14 Pro」の重さが206gなのに対し、「iPhone 15 Pro」は187gです。テックメディア「9to5Mac」は、19gの差は確かに大きいものの、割合でいうと約9%程度の軽量化であることを指摘しています。
そこまで大きく重さが変わっていないにも関わらず、この「体感上の重さ」が軽く感じる理由について、工学博士の専門家(匿名)は慣性モーメントの違いだと「9to5Mac」に説明しています。
Your ability to manipulate a phone is based primarily on its mass, but also on its moment of inertia. And since the reduction in mass when switching from stainless steel to titanium is occurring almost entirely at the perimeter of the phone, the moment of inertia should be reduced more than if the mass were reduced uniformly.
— 引用:9to5Mac訳:スマートフォンを操作する能力は、主にその質量に基づいているが、慣性モーメントにも基づいている。そして、ステンレススチールからチタンに切り替えたときの質量の減少は、ほとんどスマートフォンの外周で起こっているため、慣性モーメントは、質量が一様に減少する場合よりも減少するはずです。
「慣性モーメント」は物体を3軸のいずれかに回転させるのに必要なトルクの大きさを表す用語で、簡単にいうと物体の回転しにくさを示します。重量が物体の中心に偏れば偏るほど、物体を回転させるのに必要な力は小さくなります。逆に、重りが物体の端にあるほど、物体を回転させるのに必要な力は大きくなるのです。
iPhoneの場合、筐体の端にある金属フレームはこの慣性モーメントに大きく影響する部分です。「iPhone 15 Pro」の場合、特に軽量なチタンフレームが採用されたため、前モデルより重心は中心に寄ったと考えられます。
専門家の計算によれば、その差は14~15%とのこと。実際の重さの変化以上に、「iPhone 15 Pro」は「取り回しやすいスマートフォンになった」といえそうです。
オリジナルサイトで読む : AppBank
「iPhone 15 Pro」の軽量化が〝数字以上にスゴい〟理由