ロシアの「ドミトリー・ドンスコイ」は、2023年2月まで世界最大とされていた弾道ミサイル潜水艦です。この潜水艦は全長174メートルで20発の弾道ミサイルを搭載し、200発の核弾頭を運ぶことができました。
しかし、この世界最大の潜水艦には大きな弱点があります。これについて、海外YouTubeチャンネル「Not What You Think」が解説しています。
*Category:テクノロジー Technology *Source:Not What You Think,wikipedia
世界最大の潜水艦の致命的な欠点とは?
「ドミトリー・ドンスコイ」は、最大160人の乗組員が乗船でき、一度に4カ月以上も潜航することができます。また潜水艦には、プールやサウナ、ゲームルームやサンラウンジなど、さまざまなレクリエーション設備も備わっています。このような巨大な潜水艦が作られた理由は、アメリカに対抗するためです。
当時アメリカにはオハイオ級弾道ミサイル潜水艦があり、24発の新型トライデント潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と、最大8個の核弾頭を搭載することができました。当然、この潜水艦はソ連にとって脅威になります。
そこで開発されたのが、10個の核弾頭を搭載したR-39弾道ミサイルです。ただR-39弾道ミサイルには問題がありました。それはミサイル1発あたりの重量がトライデント・ミサイルの3倍近い約90トンもあることです。また、効果的にアメリカに対抗するためには北極の氷の下に潜水艦を留めておく必要もありました。北極海の氷の下で作戦を行うということは、ミサイルの射程距離を伸ばすことを意味します。
R-39弾道ミサイルを搭載するために、1981年から1989年にかけてソ連は史上最大の潜水艦6隻を建造します。その時に製造された1つが「ドミトリー・ドンスコイ」です。「ドミトリー・ドンスコイ」はアメリカの潜水艦の2倍の大きさがあり、より深く、より遠くまで進むことができます。
しかし「ドミトリー・ドンスコイ」には、決定的な弱点がありました。それは「うるさすぎる」ことです。潜水艦には船体から機械を隔離するために使用される振動ダンパーという部品があります。「ドミトリー・ドンスコイ」のダンパーは、時間が経つにつれて劣化し圧縮され、騒音を出すようになっていました。またソ連軍もそのダンパーを頻繁に交換することを疎かにしていたといわれています。
アメリカ軍はその騒音と海底センサー、航空機、衛星画像、その他の機密の方法などを組み合わせることによって「ドミトリー・ドンスコイ」がミサイルを発射する前から位置が分かっていたと主張しています。
なお、1996年から2004年にかけてR-39弾道ミサイルはすべて廃棄され、6隻あった潜水艦も「ドミトリー・ドンスコイ」を除いてすべて退役しています。そして2023年2月6日、「ドミトリー・ドンスコイ」も2基の原子炉が寿命を超えたため退役しました。
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