【北京時事】中国の習近平政権は、訪中した沖縄県の玉城デニー知事を手厚くもてなした。
台湾問題を巡り日米が連携を強める中、中国には有事の際に沖縄の米軍基地が拠点となることを念頭に、
「県民の心をつかみたい」(識者)思惑があるとされる。今月3~7日に訪中した玉城氏は、財界人らと共に、北京で習近平国家主席の側近である李強首相と会談。
李氏から歓迎の言葉を掛けられたほか、県が求める直行便の再開加速などについて「解決の方向性を
見いだしたい」と前向きな返答を引き出した。県独自の日程として訪れた福建省福州市でも、省と市のトップそれぞれと食事を共にし、交流の促進で一致した。
習政権には、沖縄との関係強化で、台湾問題への関与を強める日本を揺さぶる意図があると指摘される。
中国の官製メディアは沖縄の米軍基地問題を頻繁に報道し、日米両政府への批判材料としてきた。南西諸島での
防衛力強化に懸念を示し、過重な米軍基地負担の軽減を求める玉城氏は、中国にとって「好都合」な存在だ。習氏は福建省で長く勤務した際、沖縄との交流に力を入れた。玉城氏が訪れた福州市の「琉球館」には、
市トップだった習氏が那覇市からの訪中団と面会する写真が飾られている。玉城氏は「(習氏の功績は)私たちも
十分知っている。先人が積み重ねてきたものを温めた上で(交流を)進めていきたい」と語った。一方で、習氏が台湾統一への思いを強くしたのも、福建省勤務時代だったとされる。台湾は同省の対岸に位置する。
海軍力の象徴である中国3隻目の空母は「福建」と名付けられた。習氏は、玉城氏の福州市訪問と重なる6日、台湾方面を担当する軍東部戦区を視察。「戦闘に備えた任務の新局面」を
切り開くよう指示し、「国家主権と安全、発展の利益を断固守る」と訴えた。海洋権益の強化を重視する習政権は、沖縄県の尖閣諸島を自国の領土と主張し、周辺での活動を活発化させている。
共産党機関紙がかつて、沖縄の帰属問題に関する論文を掲載したこともあり、中国と沖縄の交流には不安の声も
聞かれる。玉城氏は記者団に「沖縄の歴史的立ち位置は、これまでの文脈の中で十分整理されている」と強調した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1d4d2d6a43671434193c9a63d78b98bab822cd73
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