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アメリカの下院特別委員会は12月19日、司法省によるトランプ前大統領の刑事訴追を満場一致で可決した。
18カ月にわたり、2021年1月6日の連邦議会襲撃事件を調査してきた、下院の特別委員会。
19日の最終公聴会で、トランプ氏を「暴動の扇動」「公務執行妨害」「国に対する詐欺の共謀」「虚偽陳述の共謀」の4つの容疑で訴追することを、司法省に求める決定をした。
「首謀者が自由でいることは許されない」
トランプ氏は2020年の大統領選で敗北した後に「選挙は盗まれた」と主張し、選挙結果を受け入れることを拒否した。
この主張を信じたトランプ氏の支持者らが2021年1月6日、バイデン氏の大統領就任を承認する手続き中だった連邦議会を襲った。
19日の公聴会では民主党議員のベニー・トンプソン委員長が「これまで、暴力的な方法で権力移譲を阻止しようとした大統領など一人もいなかった」「これは二度と起こってはならない」と述べた。
また、共和党のリズ・チェイニー副議長は「我々の歴史の中で、すべての大統領が平和的な権力移行を受け入れてきましたが、例外が一人いる」と指摘。
さらに、民主党のジェイミー・ラスキン議員は「私たちの司法制度は、兵士が刑務所に送られ、黒幕や首謀者が自由でいられるようなシステムではない」と強調した。
今回の特別委員会の決定は、司法省に起訴を強制するものではない。しかし、クーデター未遂でトランプ氏を訴追する圧力を強める可能性がある。
また、トランプ氏らに対する犯罪捜査はすでに始まっていると考えられており、特別委員会も「議会委員会による起訴の要請は、検察による同様の事実と証拠の調査が知られていない状況で行われることが多い」「しかし今回は違う」と述べている。
「選挙は盗まれた」が虚偽だと知っていたか
特別委員会で議論の焦点の一つになったのが、「トランプ氏は虚偽だと知っていながら、選挙が盗まれたと主張していたか」だ。
これについて、トランプ氏の補佐官だったホープ・ヒックス氏が「知っていた」と証言する動画も公開された。
ヒックス氏は大統領選の後、トランプ氏に「自身のレガシーのために敗北を認めるよう説得した」と証言。しかし、トランプ氏は「もし負けたら誰も私のレガシーなど気にかけなくなる、大事なのは勝つことだけだ」と譲らなかったという。
さらに、ヒックス氏は、弁護士が支持者に対して非暴力を呼びかけるよう求めたにも関わらず、トランプ前大統領が拒否したとも述べた。
特別委員会は、トランプ氏の他にも、元司法省職員のジェフリー・クラーク氏やトランプ氏の弁護士だったジョン・イーストマン氏に対する訴追も求めている。
クラーク氏らはトランプ氏とともに、副大統領だったマイク・ペンス氏や議員に、トランプ氏を勝者と宣言するよう圧力をかけ、最終的に暴力を扇動する計画を進めたとされる。
また、特別委員会への出席要請を拒んだ共和党下院院内総務のケビン・マッカーシー氏ら複数の共和党議員に対して、下院倫理委員会への召喚を求めている。
トランプ陣営は「カンガルー裁判だ」
事件をめぐる特別委員会の公聴会は、2021年6月にスタートした。
そして18カ月にわたる調査を通して、トランプ氏は虚偽だと知りながら「選挙は不正」と主張し続けたか、自身を勝者と宣言するようペンス氏らに圧力をかけたか、バイデン氏が僅差で勝利した州の高官に選挙結果を改ざんするよう求めたか、バイデン氏への権力移行を阻止するために支持者に暴動を先導したか、などについて議論が行われてきた。
警察官を含む5人が死亡した連邦議会での暴動事件。これまでに、数百人が逮捕されている。そしてトランプ氏はアメリカの選挙の歴史上初めて、権力を平和的に引き渡すことを拒否した大統領になった。
しかし、トランプ氏は事件後も共和党で大きな影響力を持ち続けており、2024年の大統領選に立候補している。
特別委員会で刑事訴追の要請が可決された後、トランプ氏の陣営は、委員会を「カンガルー裁判(不正裁判)だ」と批判した。
特別委員会は21日に、最終報告書を発表すると見られている。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
トランプ氏の刑事訴追、下院特別委が満場一致で要請。「首謀者が自由ではいられない」