9月は梨の旬真っ盛りの時季です。シャリシャリと食感のよい梨は、みずみずしくておいしいものです。しかし買ってきてから時間を置いたら、なんだか柔らかくなっていてあのおいしさがなくなった…という経験はありませんか。梨は意外とデリケートな果物で、保存方法を間違えるとせっかくの味が損なわれてしまうそうです。
そこで上手な保存法を、野菜ソムリエプロの吉田謹子さんに伺いました。
日本の梨は追熟しない
日本の梨はラ・フランスのような洋梨と異なり、追熟しない果物です。
「梨は追熟しないうえに、収穫時がもっとも水分量が多く、もぎ取られた瞬間から乾燥が始まるので、収穫してすぐ食べるのがベストです。つまり、できるだけ獲れたてに近い状態をいかにキープするかが、おいしく食べるコツになります」(吉田さん)
梨は常温NG、軸側を下にして保存
他の果物と同じように冷蔵庫に入れている方が多いと思いますが、コツがあるのでしょうか。
「梨は追熟しない果物ですから、常温保存はNGです。果肉が柔らかくなってみずみずしさも失われます。そこで、買ってきたらまず、洗わずにペーパータオルで包んでからラップで包み、それをポリ袋に入れます。ポリ袋に入れる際は1個ずつでなくても構いません。
また、保存するときは軸側を下にして、冷蔵庫の野菜室で保存します。これで10日ぐらいはみずみずしさとシャリシャリ感が保てます。
なぜ、軸を下にするのでしょうか。
「梨は収穫後も軸側から呼吸をしています。呼吸をするたびに水分や糖分が消費されるので、軸を下にすることで少しでも呼吸を抑えるようにすれば、より鮮度を保てます。また、お尻の方が甘いので、軸を下にするとお尻の甘みが下がって甘みが全体に回るともいわれています」(吉田さん)
柔らかくなったら料理に使う
梨をたくさんいただいて、すぐには食べきれずに柔らかくなってしまう場合があります。こういう場合はどうすればよいでしょうか。
「あらかじめ食べきれないことがわかっていたら、皮をむいて食べやすいサイズに切ってからチャック付き保存袋に入れて冷凍しましょう。冷凍するとシャリシャリ感は失われますが、半解凍して食べるとシャーベットのようになっておいしいです。
また時間が経って、柔らかくなってしまった梨は食べてもあまりおいしくありません。そういう時は料理に使いましょう。
梨にはタンパク質を分解するプロテアーゼという酵素が含まれていて、すりおろしてから肉に混ぜて置いておくと、肉が柔らかくなります。また焼肉のタレに混ぜても自然の甘みでタレにコクが出ます」(吉田さん)
日本の梨はカロリーも低く、食後のデザートには最適です。また疲労回復に効果があると言われる果糖、クエン酸、リンゴ
酸がたっぷり含まれていますし、整腸作用があるソルビトールが含まれています。
みずみずしい梨を上手に保存しておいしくいただきましょう。
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梨の上手な保存方法がこれだ。シャリシャリ食感をキープするポイント