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9兆円の時価総額を失ったスターバックス…日本企業にも通じる「ポストコロナ時代」の罠

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近年のスターバックスの業績はそれほど良くはありません。実際、株価は年初来高値から現在までに40%近く下落。これは、664億ドル(約9兆円)という時価総額の損失に相当します。

NASDAQ、Russell 2000、S&P 500が弱気相場入りしている現在、この不調の原因には米国株全体が下落していることも理由として挙げられるでしょう。しかし、スターバックス低迷の大きな原因は他にもあります。これについて、海外YouTubeチャンネル「Logically Answerd」が解説しています。



*Category:テクノロジー Technology|*Source:Logically Answered ,帝国データバンク

スターバックスを危機的状況に陥らせている4つの要因


スターバックスが危機的状況にあることを象徴する出来事が先月にありました。一度引退したスターバックスの元CEO、ハワード・シュルツ氏が暫定CEOとして返ってきたのです。

彼が返ってきたのはこれが初めてではありません。2008年、金融不況の真っ只中に、ハワード氏はCEOとしてスターバックスに戻り、2017年まで同社を率いました。この間、スターバックスの株価は2008年の底値から17倍という驚異的な成長を遂げ、ハワード氏が去ってからも順調な推移となっていました。

しかし現在、スターバックスの現状は決して良くはなく、ハワードCEOが盛り返せるのかどうかも難しい状況です。

労働力と供給の圧倒的な不足

スターバックスを苦しめている要因の1つが、労働力の不足です。特に米国では、2021年には4700万人のアメリカ人が自発的に仕事を辞めたといわれています。これは米国の全労働力の1/4にあたります。

しかし、失業率が急上昇していないことから、これらの人々が単に会社を辞めているのではないことは明らかです。「Logically Answered」は、給料よりも仕事内容や働き方を重視する人々が、別の業界へと流れてしまっていると指摘しています。

そして、これらの問題は、スターバックスのようなサービス業に特に多く見られることは間違いないでしょう。このような傾向により、スターバックスは従業員を確保し、それを維持することが非常に難しくなっています。


さらに、コロナ渦により、スターバックスは、文字通り従業員の半分を失っています。コロナウイルスのパンデミックが起きたとき、スターバックスは従業員の大半を解雇し、従業員数は349,000人から138,000人に減少しました。

一方、スターバックスの店舗数は減ることなく、むしろ増え続けています。昨年9月以降、スターバックスがどれだけ雇用を進めたかは不明ですが、簡単に21万1000人分の空きが埋まったとは考えられません。

つまり、残った従業員はさらに多くの仕事をこなさなければならず、それがさらに転職の動機になるという悪循環が起きているのです。人手不足があまりにもひどいため、スターバックスのいくつかの店舗では営業時間を短縮し始めています。特に十分な需要があるにもかかわらず、営業時間を短縮しなければならないのは、ビジネスとして最悪です。

このような人手不足の傾向は、米国だけの問題ではなく、日本にも見られます。帝国データバンクが2月に実施した調査によると、非正社員が「不足」していると回答した飲食店は76.6%。さらに、65.1%の飲食店は正社員についても不足していると回答しています。

画像:帝国データバンク

リモートワークや働き方改革が議論される今、一度解雇した人材を飲食業界が取り戻すことはより難しくなっています。これは、ポストコロナ時代で多くの飲食店が悩まされるであろう深刻な問題です。

人手不足に加え、スターバックスなどの飲食業は供給不足にも直面しています。「Logically Answerd」によると、米国でスターバックスに行くと、少なくとも数種類のメニューが材料不足で提供されていないことが多いとのこと。不足はスターバックスの人気商品にも及んでおり、フラペチーノやサンドイッチさえない店舗もあるそうです。

また、ほんの数カ月前には、ニューヨーク州北部全域でモカが品切れになったとのこと。こうした供給不足が長く続けば続くほど、スターバックスの状況はますます難しくなります。

コーヒーの原価2倍に…止まらないインフレと値上げ


供給不足に加え、顧客の不満の原因となっているのが、価格の高騰です。スターバックスはすでにプレミアムブランドであり、高価な商品を提供していることは周知の事実です。

しかし、スターバックスが値上げを続けるにつれ、顧客がスターバックスに行くことを正当化することが難しくなってきています。しかも、この価格高騰はスターバックスが制御できる域を超えています。

例えば、コーヒーの原価は2019年以降、約2倍になっているそうです。さらに、カップやスプーン、ストローなどといった備品でさえ、急激なインフレの影響ですべて値上がりしていると見られます。

その上、スターバックスは今いる従業員を維持するために賃金を上げなければなりません。昨年10月には、全米のスターバックス従業員の最低賃金を、時給15ドル(約2000円)に引き上げることを約束しました。

確かなことは、この賃上げの代償は誰かが支払わなければならないということです。これは多くの場合、商品価格に転嫁され、顧客の財布を圧迫することとなります。

一方、顧客の立場からすると、高騰しているのはスターバックスだけではありません。この1年で、ガソリン代や光熱費、食料品や住宅費まであらゆるものが高騰し、生活費そのものが消費者を圧迫しているのです。

優先順位を考えると、「高値のスターバックスのコーヒー」は、真っ先に切られる可能性のあるものといってもいいでしょう。このインフレが続けば、ますますこのような消費を避ける人は増えるはずです。しかし、ハワードCEOが戻ってきたのは、従業員の不足やインフレだけが理由ではありません。

オリジナルサイトで読む : AppBank
9兆円の時価総額を失ったスターバックス…日本企業にも通じる「ポストコロナ時代」の罠

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