人種や肌の色などを理由とした差別的な職務質問(レイシャル・プロファイリング)が確認されている問題で、国家公安委員会の二之湯智・委員長は「これから調査をしていかなければならない」と述べ、実態把握の必要性に言及した。
3月29日の参議院内閣委員会で、石川大我議員(立憲)の質問に答えた。
レイシャル・プロファイリング(racial profiling)とは、警察などの法執行機関が、人種や肌の色、民族、国籍、言語、宗教といった特定の属性であることを根拠に、個人を捜査の対象としたり、犯罪に関わったかどうかを判断したりすることを指す。
アメリカ大使館は2021年12月、「レイシャル・プロファイリングが疑われる事案で、外国人が日本の警察から職務質問を受けたという報告があった」として、日本で暮らす同国民にSNS上で警告を出していた。
二之湯氏「全国的にどういうことなのか」
石川議員が、日本のレイシャル・プロファイリングの現状について内閣委で問うと、二之湯委員長は「現在把握はないという報告を受けています」と答えた。
石川議員は続けて、インド系のフィジー出身の男性が車を運転中、「外国人が車を運転するのは珍しいから」との理由で職務質問を受けたというケースや、レイシャル・プロファイリングをめぐる東京弁護士会の調査結果について報告。「全国的な調査や実態把握が必要だと思います」と訴えた。
これに対し、二之湯委員長は「警察においても、警察官に対しまして人権の大切さ、あるいは肌(の)色や顔によって差別をしてはいけない、人種による差別はいけないと常日頃から研修に努めているわけであります」と回答した。
その上で「しかし今委員からご指摘がありましたように、警視庁の管内だけではなくて、全国的にどういうことなのかということもこれから調査をしていかなければならない。全国各地に多くの外国人が住む現実がございますから、委員のおっしゃっていることも当然なことだと考えております」と発言。全国的な調査に前向きな姿勢を示した。
レイシャル・プロファイリングの問題をめぐっては2021年2月、バハマと日本のミックスルーツの男性に対し、警視庁の警察官が「ドレッドヘアー」を理由に職質したという趣旨の発言をする動画がSNS上で拡散し物議を醸した。
海外ルーツの人を対象にした東京弁護士会の調査(有効回答数2094人)では、過去5年ほどの間に職務質問を受けたことがあると回答した人のうち、76.9%が「外国人または外国にルーツを持つ人である」こと以外に警察官から声をかけられる理由はなかったと認識していると答えた。
ハフポスト日本版のアンケートにも、人種や海外ルーツの見た目が職質の理由だと説明されたり、名前や日本語のアクセントを確認した後に警察官の態度が変わったりと、レイシャル・プロファイリングが疑われる事案を訴える声が多く寄せられている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
レイシャル・プロファイリング「全国的に調査しなければならない」国家公安委委員長が答弁