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ジェンダー平等を「流行」で終わらせないために。2022年に持ち込みたくない、あの言葉

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長く続いた緊急事態宣言やオリンピック、衆院選…たくさんの出来事があった2021年も幕を閉じ、新しい年を迎えました。

2022年への示唆にもなりそうなニュースを『SDGs』という視点から2回に分けてピックアップします。

前編のテーマはジェンダー平等、後編は気候変動についてです。

いずれもSDGs17のゴールのうち、日本の進捗が遅れていると指摘されている課題です。

少し長くなりますが、ぜひお付き合いください。

時代の転換点だった「わきまえる」発言

2021年2月、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会のトップだった森喜朗氏の発言を覚えているでしょうか?

「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」

「女性っていうのは競争意識が強い」

「(組織委の女性は)みんなわきまえておられて。非常に役立っております」

日本オリンピック委員会(JOC)の会合での発言でしたが、その夜に発言を問題視する報道が流れると、国内外から批判が殺到。辞任を求める声も多く上がり、署名キャンペーンにはたった1日で5万人以上の賛同が集まりました。

「組織委の女性を持ち上げようとしたもので、蔑視ではない」など森氏を擁護する声も一部にはありましたが、批判は日増しに高まり、森氏は辞任。後任に橋本聖子氏が就任し、東京オリパラを取り仕切った組織委会長、都知事、担当大臣の3人全員が女性という構図が、なんとも印象的でした。

左から、小池百合子都知事、橋本聖子会長、バッハ氏、丸川珠代担当相(2021年8月16日撮影)

皆さんは森氏の発言をどう感じたでしょうか?

そして今、どう感じるでしょうか?

「女性は話が長い」は、「女性は運転が下手」「女性は理系が苦手」などと並んでよく聞く根拠のない言説です。『話を聞かない男、地図が読めない女』というタイトルの本がベストセラーだった時代もありますし、「(女性が)役立つ」は、「女性活躍」という言葉が定着する少し前に使われていた「女性活用」というフレーズに通ずるものがあります。

ひと昔前なら、これらの発言は苦笑とともに見逃されてきました。(実際、会合で森氏の発言に笑った同席者もいました)

しかし、昔の感覚はもう通用しません。

森氏が発言について謝罪した後、関係者が「問題は終わった」と幕引きをはかろうとする中で、各国の大使館が「DontBeSilent (沈黙するのはやめよう)」というハッシュタグでツイッターに男女平等への支持と連帯を表明するムーブメントも起きました。

そこに悪意はなくとも、日常の生活や会話の中で無意識に行われる差別や決めつけのことを『マイクロアグレッション』といいます。

森氏の辞任騒動は、こうした『マイクロアグレッション』が社会的にNOが突きつけられる時代になった、ということの証左でもありました。

ジェンダー平等が流行語…?

2021年はまた、経団連の副会長に南場智子氏が、連合の会長に芳野友子氏が、それぞれ女性で初めて就任した年でもありました。

南場智子氏(左)と芳野友子氏(右)

2021年の「ユーキャン新語・流行語大賞」では『ジェンダー平等』がトップ10入りし、芳野会長が受賞しています。

9月に行われた自民党総裁選では、4人の候補者のうち2人が女性。女性の立候補は2008年の小池百合子氏以来のことです。

その後の立憲民主党の代表選でも女性候補の有無が注目されるなど、2021年、日本の「ジェンダー平等」は建前上は前進したとみることもできるのかもしれません。

一方、衆院選の結果に目を向ければ、女性比率は9.7%(10.1%)に後退。立候補者における女性比率も全体で17.7%にとどまりました。

SDGs17のゴールのうち、日本に「深刻な課題がある」とされている「5:ジェンダー平等」のなかでも、特に厳しい評価がついているのが「国会議員の女性割合」と「賃金格差」です。

国会議員の候補者に占める女性比率は、2025年までに35%に引き上げるという政府目標が設定されています。

2022年には参院選が予定されていますが、クオータ制の導入など候補者を擁立する仕組みそのものを変えないかぎり、「2025年までに35%」の実現などほぼ不可能です。

ジェンダー平等は「建前」から「本音」へ

クオータ制や数値目標の設定などについて、『議員や管理職級の女性の割合を増やしてあげることがジェンダー平等だと勘違いしている』(「ユーキャン新語・流行語大賞」授賞語の説明文より)と捉える人もいるかもしれません。

でも、「建前」や「形」から起きる変化もあるのです。

もちろん自然と女性の議員や管理職が増えるなら、それがベストです。しかし、先に「形」から入り、必要に迫られて行動を重ねるうちに、本質的な変化があとからついてくることも多々あります。

さかのぼれば、女性参政権や男女雇用機会均等法もそうでした。

今年の法改正で育休取得について意向確認を企業に義務化することになった男性育休も、議論の当初は賛否が割れましたが、今後10年も経たないうちに男性が育休を取得することが当たり前になるでしょう。

若い世代からは当然のように「ジェンダー平等」を期待する声が上がっています。

時代は着実に動いています。

「ジェンダー平等」を建前で終わらせるのか、本質的なものへと進化できるのか。2022年の私たちに課せられる、未来への宿題の一つだと思います。

この記事は、2021年12月29日配信のニュースレターを一部編集して転載したものです。

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ジェンダー平等を「流行」で終わらせないために。2022年に持ち込みたくない、あの言葉

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