今年も始まった箱根駅伝で、恒例となっているフリーザ軍団による沿道応援。
選手の激走はもちろん、ドラゴンボールの人気キャラクター「フリーザ」に扮した軍団の応援ダンスがテレビ中継に映り込むのを楽しみにしている人も少なくない。
前回2021年は、コロナ禍で大会主催者が観戦自粛を呼びかけ、軍団は現れなかった。
軍団のひとりのシャケーザさん(@youkaininngenn)は今年も、沿道応援は控えて、自宅で応援生配信をする。コロナの感染状況が落ち着き「今回は行けるのでは」と期待していたが、関東学生陸上競技連盟が沿道応援の自粛を呼びかけたからだ。
「遠く離れていても絶対に熱意は伝わると思っているので、自宅応援に決めました」
ハフポスト日本版の取材に応じたシャケーザさんに、今回の決断や沿道応援を始めた経緯、フリーザ軍団などについて聞いた。
沿道応援に行きたいけど…
フリーザ軍団は、毎年1月3日の復路7区の二宮地点(押切橋付近)に現れる。その年流行ったダンスを交えた応援で、10年以上も駅伝ファンの注目を浴びている。
シャケーザさんは、軍団の活動に感銘を受けて、2019年に仲間に加えてもらった。
2021年の箱根駅伝は、コロナ禍のため沿道応援を控えて生配信で応援。「目立ちたいだけのおふざけでやっている訳ではない!というスタンスをしっかり示すため」だった。
今年も、沿道応援したい気持ちを抑えて、そのスタンスを貫いた。
「私がちょっとぐらい大丈夫だろうと行ってしまったら、去年の活動も意味がなくなってしまいます」
先輩フリーザたちとは年1回、箱根駅伝の現場で会う間柄で、連絡は取り合っていない。
シャケーザさんは昨年の大会直前、Twitterで沿道応援に行かないと表明。示し合わせたかのように、復路7区の二宮ポイントにフリーザ軍団の姿は見られなかった。
「(自分の独断を)許してもらえているのか、何を勝手にやっているのかと思われているのか分かりませんが、一緒に応援した時に肌で感じた皆さんの気持ちを汲むと、応援配信だろうと思いました」
今年も部下のザーボンさんを引き連れて、復路の3日に応援生配信をする。お笑いヴォーカルユニット「SHAKE HEAD」でシャケーザさんとデュオを組む瀬尾にゃんさんも加わり、独自の注目ポイントや応援ソングなどを織り交ぜて声援を送る予定だ。
始まりは、2019年の飛び入り参加
シャケーザさんとフリーザ軍団の仲は、2019年の箱根駅伝で、シャケーザさんが飛び入り参加したのが始まりだ。同じフリーザとして、軍団の活動に感銘を受けたと振り返る。
「フリーザのコスプレをして10年以上同じ活動をしていることに、いちドラゴンボール好き、フリーザ好きとして感銘を受け、まず会いたいと思いました。連絡の取りようがなくて行くしかない。それなら一緒に応援したいと“真の姿”で二宮まで行きました」
どう思われるか不安だったが、「シャケを被ってるやつが来た!」と面白がってくれた。一緒に応援した帰りに「来年も一緒にやらせてもらえますか?」と申し出て、晴れて新メンバーとして迎え入れられた。
「こんなこと言うのも何ですが、正直、フリーザなのにめちゃめちゃいい人でした」
悪の帝王の思わぬ一面に驚いたと、シャケーザさんは笑い飛ばす。
応援ダンスはぶっつけ本番
フリーザ軍団は、2019年はDA PUMPの「U.S.A.」、2020年はFoorin「パプリカ」のダンスなどを披露した。シャケーザさんはどちらの年も、軍団がどのダンスをするかを予想して、ぶっつけ本番で臨んでいた。
「U.S.Aが流行ったから今年はこれだなとか、電車の中でずっとイメトレしてました笑。朝5時半の始発に乗って、ずっと動画を見て、座りながら練習してました」
予想が外れた場合も、持ち前の“戦闘力”を発揮して、アドリブで対応していたとも明かす。
「今回は行けるかなと思っていたので、6月ぐらいから今年流行ったダンスは何だろうと思いながら過ごしてました」
フリーザ軍団の「熱意を感じた」
シャケーザさんは、フリーザ軍団として応援に加わってみて、メンバーの「熱意を感じた」と語る。
「1月3日、外にずっといてめちゃめちゃ寒い。引っ張れば肌が見えちゃうぐらいの薄い全身タイツで頑張っている姿を見て、踊りながら応援するのはある種の生命維持でもあるんだなと」
選手が主役の場で、注目を浴びようとする軍団への批判もあるが、現地での反応は好意的だという。
「心から盛り上げようと、寒い中薄着で応援している姿を見てますから、地元の方や沿道にいる方々はすごく受け入れてくださっています。二宮という場所の温かさを感じます。ドラゴンボールは世界中で愛されていますが、二宮の熱意は一つ上です」
「軍団の熱意が伝わっているのか、沿道に立っている(警備の)警察官が『今日よろしくお願いします』とみんなお辞儀するんですよ。えっ、この街フリーザに支配されてる?大丈夫?と思うこともありますが…」
カメラに避けられても
シャケーザさんは沿道応援の最中、現場で撮影する大会のテレビカメラが自分たちを避けているような空気を感じるという。
一方、他の沿道観戦者たちは、テレビ中継の様子を教えてくれるなど協力的で「二宮全体で(フリーザ軍団の応援を)作り上げている雰囲気が愛を感じ、印象に残っています」と振り返る。
「自分が応援しに行って応援されるという、すごい愛の連鎖というか。地球人の素晴らしさを感じました」
アーティストやタレントとして活動し、普段は応援される側のシャケーザさん。箱根駅伝で応援する側に回って気づいたことがある。
「誰かを本気で応援することはこんなに素晴らしいことなのだと肌で感じて、(アーティスト業で)応援ソングなどに力を入れるようになりました。また、一人ひとりの応援がすごく身に沁みるようになりました。(シャケの)切り身なのですが笑」
自宅応援する人たちにエール
公道を走る箱根駅伝では、主催者が観戦自粛を呼びかけても、最終的には観戦する人たちの判断に委ねられる。
自分と同じように自宅応援に切り替える人たちに向けて、シャケーザさんは「みんな本当は現地で応援したい気持ちも分かります」と理解を示しつつ、こう呼びかける。
「せっかく応援するのに、後ろめたさを感じるのも嫌じゃないですか。遠くから、離れていても(応援する)熱意は絶対に届くと伝えたいです」
最後にフリーザの口調で「(主催者が)自粛を呼びかけているのに、沿道に誰かいたら許しませんよ!ぐらいはいっておきます笑」と付け加えた。
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箱根駅伝恒例のフリーザ様、2年連続で自宅応援「離れていても熱意は届くと伝えたい」