塩分濃度が高く、湖面の海抜が世界で最も低いことで知られる死海に10月17日、全身を白くペイントしたヌード姿の約200人が現れた。
どこか不気味なこの群衆は、死海の急速な水量減少に警鐘を鳴らすためのインスタレーション(空間そのものを作品とする芸術の手法)で、アメリカ人写真家のスペンサー・チュニック氏が撮影した。
チュニック氏はヌードのインスタレーションで知られており、これまでにも、フランスのワイン産地やスイスの氷河、シドニーのオペラハウスなど世界各地でヌードの群衆を撮影している。
死海でも2011年と2016年に撮影をしているが、撮影のたびに水量が減っているという。
CNNによるとチュニック氏は撮影について「後退を続ける死海について知ってもらい、生態学的な大惨事に注目してもらうためにここにきた」と述べている。
年々縮小を続ける死海
死海の縮小は、イスラエルやヨルダンなどの近隣諸国が、水源であるヨルダン川の水を農業用水や飲用水として大量に利用していることが主な原因だ。
他にも、周辺での鉱業や気候変動による水分蒸発も一因だと指摘されており、水面は1年に1メートル以上のペースで低下していると言われている。
インスタレーションで用いた白色のペイントは、聖書の中に出てくる神の命令に背いて塩の柱になったロトの妻と、死海にある白色の鉱物を象徴している。
チュニック氏は「環境問題を人間の体と結びつけることで、自然に対する人間の体の脆弱さを示し、それと並行して、人間の体によって自然が脆弱になることも伝えられます」と述べている。
今回の企画には、死海ミュージアムの建設を助けるという目的もあり、APによると、イスラエル観光省も資金の一部を提供した。
観光省は、インスタレーションで死海の危機を知ってもらうだけでなく、多くの観光客に死海を訪れてもらいたいと願っている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
死海に現れた200人の白塗りヌードの群衆。急速な水量減少に警鐘を鳴らす