空気の状態をモニタリングできるスマートマスク「AirPop Active+ Halo Smart Mask」レビュー。150ドルという価格と、アプリのバグが多いところが問題。
スマートマスク「AirPop Active+ Halo Smart Mask」レビュー:空気の質をモニタリングする機能付き、でもこれじゃない感
- Victoria Song – Gizmodo US
- [原文]
- ( そうこ )
マスクのない生活忘れそう。
新型コロナウイルスによる世界的パンデミックで、マスク着用は当たり前になりました。最近はワクチン接種が進み、マスクなしOKの国や地域も増えてきているものの、1年間つけ続けたマスクはすっかり生活の一部。手作りマスク、透明なマスク、ビールが飲めるマスクといろんなマスクが出てきて、もう出揃ったかなってところで、米Gizmodoがスマートマスクをレビューしてみました。
16カ月間、マスクを日常生活の一部として過ごしてきました。みーんなマスクをつける世の中で、いろいろな人・企業がイノーベティブな新しいマスクを作ろうと試行錯誤してきました。たとえばRazerがRGBライティングで光るマスクを作ったり、ウィル・アイ・アムが299ドルもするフェイスマスクを作ったり、はたまたマイク搭載で通話できるMaskFoneなんてのも出てきました。
で、今回レビューしたのはAirPop Active+ Halo Smart Mask。CES 2021に出てきたときは、えぇ…?って思っちゃいましたけど、その他いろーんなマスクを考えると、比較的実用的な機能を備えたマスクかもしれません。微粒子をしっかりフィルタリングしつつ、呼吸しやすいというデザイン。最大のウリはセンサー内蔵で、空気の質(きれいさ)をモニタリングしてくれるところです。が、数週間使ってみて言えるのは今じゃない。さんざんマスク生活してきて、やっとマスクなしでもいいよという流れになってきた今、使いたいものじゃないということ。
AirPop Active+ Halo Smart Mask
これは何?:空気のきれいさをモニタリングしてくれるスマートマスク。
価格:150ドル(約1万6500円)。
いいところ:つけ心地がいい。息がしやすい。フィルター交換可能。
残念なところ:たっっっか! アプリがダメダメ。激しい運動には向いていない。数値がたまにバグる。
息がしやすいデザインでも、運動には向かない
AirPopの公式サイトを見ると、理想の空気の流れを作り出すマスクの形状がクリーンな空気のひさしを作り出すとかなんとか、スゴそうだけどよくわからない説明が並んでいます。が、要はマスクの外側のシェルが水や湿気に強く柔軟性がある素材ということです。マスク内側にある左右ふたつの突起にAirPopの交換フィルターをひっかけて使うという仕組みになっています。空気をモニタリングしてくれるセンサはマスクの左下。ちなみにこれ、光ります。
フィルターはよくできており、フィルター周辺は医療用メンブレンが施されピタッと密着します。つけ心地をよくするため、鼻周りに空間があるのもよし。耳紐も調整可能。残念ながらそれでもたまにメガネは曇ってしまうものの、一般的なマスクよりはマシでした。フィルターと口の間に空間ができる作りは、リップやグロスが使えるので好きでした。
アピールポイントのひとつである呼吸のしやすさ。確かにしやすいです。でも、それはスーパーの買い出しや軽いウォーキング程度ならという話。運動しようと思ったらやっぱり苦しいです。試しに装着したままランニングしたのですが、2度チャレンジしたものの10分もしないうちに苦しくなってマスクを取らねばなりませんでした。正直、一緒にウォーキングしていた夫から「ダースベーダーのモノマネしてる?」って言われたほど。かなりゼーゼーしてたようです。ワクチン接種済みで、今は屋外でのマスク着用義務がなくなったニューヨーク在住の私としては、夫からダースベーダーのモノマネと言われた上に、「なんで今わざわざ苦しいマスクつけるの?」と言われてしまいやるせない気持ちに。
マスクの外側シェルは湿気に強いということでしたが、内側の湿度は自分の呼吸によってかなり高くなります。あまりに湿度が上がり、「マスクを振ってクールオフしてください」の通知が出てしまったほど。ランニングが良くなかったのかもしれません。運動しない日常生活なら、また違う結果が出たとは思います。使用したことあるアンダーアーマーのスポーツマスクよりは、ほんのちょっと(5分くらい)長くつけていられましたけど。つけ心地はいいんですけどね。
一番の問題は、このHaloスマートマスクが150ドルもするってことなんです。この値段なら「さいっこう!」と言えないと、買う気が起きないのが正直な感想です。
アプリのバグがひどい
ハードそのものはもちろんですが、連携するアプリもガジェットの質を左右します。Haloマスクの場合はこのアプリがひどかった…。
マスクの設定は難しくありません。アカウント作って、端末(マスク)ペアリングして、ライトアップの色を決めて、フィルターに付いているQRコードをスキャンすればよし。フィルターはひとつ40時間使用できるので、QRコードをスキャンすることで残り使用時間をトラッキングできます。1日のなかでつけたり外したりする人なら40時間は十分。1回の装着時間が長い人は、結構すぐ交換になっちゃいますね。
ここまではよしとして、問題はその後のアプリのユーザーエクスペリエンス。アプリにはメインのタブがふたつあり、ひとつはユーザーステータス、もうひとつはアクティビティトラッキングの画面です。ステータス画面では、自分の地域の大気質情報、何回呼吸したか、フィルターでどれほど微粒子をキャッチしたか、マスクの装着時間などが確認できます。画面下のマスクステータスでは、フィルターの残り時間表示とデータ同期ボタンがあります。が、この同期ボタンが曲者でした。何回タップしても画面がフリーズ。同期うんぬんの前に、そもそも使えないというね。
大気質のモニタリング機能は、Air Quality Indexが自分のいる地域データを取得してくれます。が、これがニューヨーク市内で私の住むエリアから10マイル(約16キロ)ほど離れたエリアを取得していました。まぁ、そこは大目に見たとして、自分のご近所に修正しようとしてもできなかったんです。結果、なぜか機能自体が動作しなくなり、レビュー中2週間ほど大気質の確認画面はフリーズ状態。アプリ再起動してもダメ。住んでるエリアの郵便番号、町名で検索かけるも検索結果は0に。なんでしょう? 私の住んでいる地域なんかあるんですか? このバグ発生中は、その他あれこれ数値もおかしなことになってましたし…。ちょっとしたバグと言えばちょっとしたバグなのかもしれません。でも、このちょっとしたバグ=期待できないアプリってことなんですよね。
呼吸回数のカウントもうまくいかないことが多々ありました。使い始めてすぐ2回ウォーキングした記録で、1分間の呼吸数が10回とカウントされたのですが、まさかそんなはずは…。たとえばOura RingやWhooで睡眠トラッキングしたときは、1分間の呼吸数が16〜19回でした。寝ていてこれなら、ウォーキングで10回というのは信じがたいですよね。ちなみに3度目のウォーキングでは、20〜22回カウントという現実的な数値が出ました。確認の意味でウォーキング中に呼吸数を自分で数えてみたのですが、マスクの数値とピッタリなこともあれば、全然違うこともあり…。こうなってくると、マスクのアクティビティの数字は信用できなくなりますよね。
数値が信用できないのは、アクティビティだけじゃありません。フィルターの残り使用時間もビミョー。最初は便利な機能だなと思ったのですが、いざ使ってみると2週間ずっと「残り39時間」の表示のままでした。私の計算では3時間ほどのワークアウトで使用したはずなのに。何回同期し直しても39時間のまま。でも、ある日突然数字が変わって、私の計算していた残り時間に近しい数値になってました。何がキッカケで数値が変わったのかは謎。アプリぇ…。
ひとつ言っておかねばならないのは、アプリの使い勝手の悪さや、数値に信用できないところはあるとして、マスク自体はマスクの基本の仕事はきちんとしているということ。AirPopいわく、第三者機関でテストされており、バクテリアや粒子のフィルリング性能は保証されており、EUのマスクのガイドラインもクリアしており、肌にも優しい商品なのです。つまり、マスクとしては仕事しているけど、スマートマスクとしてスマートな部分ができていないという…。
あとは、値段ですね。Active+ Haloスマートマスクの大気質測定が的確だったとしても、そこに150ドルかぁという。CDC認証のN95/K95マスクって、1枚1ドル前後ですからね。通常のマスクではなく、高いお金を払ってActive+ Haloを使うとしたら、それは自分の住むエリアの空気のきれいさを知りたいからでしょう。それなのにレビュー期間中のほとんどの間、バグアプリのせいでそれが確認できなかった…。150ドルのプロダクトがそんなことでいいんでしょうかね。
ポストコロナでスマートマスクはいる?
だんだん真夏の暑さになりつつある今、スマートマスクはありかなしか。これはコロナ的視点から見ると、住んでいる地域にかなり左右される問いですね。たとえば私が住むニューヨークはワクチン接種が進み、コロナ関連の規制の多くが解除されており、外出時にマスクをつけなくてもOK。一方で州が規制を解除しても、私の住むアパートの共有スペースや公共の乗り物など、各団体の判断でマスク着用をルール化している場所もあります。マスクしなくてもいいと言われても、まだまだしている人が多いのも事実。
ポストコロナの世界で、マスクが日常のアイテムとして定着するという見方もあります。実際にアジア圏では、コロナ以前から風邪気味のときはマスクをする人が多いと聞きました。東京に住んでいたとき、確かにマスクはよく使っていました。となれば、コロナをきっかけにアメリカでもマスクの利用が日常的に増える可能性は大いにあります。
とりあえず、コロナ後の世界でもマスクは日用品としてある程度は残るとするとして、加えて空気汚染は深刻な問題であり、大気質をモニタリングしてくれるマスクは、環境問題の視点から見ると興味深い取り組みだと思います。ならばActive+ Haloスマートマスクは買いなのか…? 答えはNO。
マスクと空気モニタリングを一体化させた150ドルのマスクはオススメしません。バグの多いアプリと信頼できない数値に150ドル出すのはバカらしいからです。だってお天気アプリと普通のマスクがあればいいんですもの。
…アイディアはいいと思うので、アプリを改良して、あとはどこまで価格を下げられるかってことですね。
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Source: ギズモード・ジャパン
スマートマスク「AirPop Active+ Halo Smart Mask」レビュー:空気の質をモニタリングする機能付き、でもこれじゃない感