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天才イーロン・マスクが率いるテスラ(Tesla)が『ギガプレス(Giga Press)』という巨大マシンに多額の投資を行っていたことが明らかになりました。
*記事カテゴリー:technology テクノロジー *Source:
テスラがスケールが大きなことをするのは、見慣れたことかもしれませんが、それでも全長20mの、このマシンの巨大さには目を見張るものがあります。
この『ギガプレス』は、史上もっとも強力なダイカストマシンです。ダイカスト(ダイキャスト)とは、金型に溶融した金属(溶湯)を圧入することにより高い寸法精度の鋳物を短時間に大量生産する仕組みのことです。製造コストが比較的安いことからおもちゃや家電を作る際に長らく使用されてきましたが、強度の高い素材を使えば自動車の車体をつくることも可能です。
テスラが爆買い、もとい大量導入を進めている『ギガプレス』は総重量400トンを超える巨大ダイカスト製造機で、輸送には20台以上のトラックが必要になるという規格外のモンスターマシンとなっています。
ちなみに『ギガプレス』という名称はテスラの巨大バッテリー工場『ギガファクトリー』を連想させる名前ですが、このダイカストマシンをつくっているのはIDRAというイタリアの会社であり、テスラが命名したわけではありません。
さて、テスラは『ギガプレス』で一体何を製造しているのでしょうか?それは、自動車のシャーシです。トヨタやGMなどの一般的な自動車メーカーが100以上の部品を組み立てて構成するシャシーをテスラはダイカスト製造によりわずか3つの部品で完成させてしまいます。
これは強度アップや重量減に役立つだけでなく、作業の大幅なスピードアップや人件費の削減に役立ちます。テスラが特別に開発したというアルミ合金を『ギガプレス』で成型することで、わずか100秒で1つのパーツが組み上がるとのこと。
フリーモント工場に設置されたまだ調整中のギガプレスでさえ既に200秒以下で1つの部品を完成させているそうです。
また『ギガプレス』のサイズからは意外かもしれませんが、メンテナンスコストも同等製造能力を持つ工場ラインに比べれば安価とのこと。
旧来の自動車部品のサプライチェーンは非常に長く複雑でさまざまな場所で100個以上の部品を製造し、品質を監視しながら組み立て工場に輸送しています。それと比べれば1つの場所、1つの作業で部品を完成させてしまう『ギガプレス』を使えばシャーシの製造コストは約40%低下させられます。これはとてつもない技術革新(イノベーション)です。
トヨタやGMなどの旧来型の企業には雇用を守るという使命が課されていますが、追う立場で比較的人数が少ないテスラは無人化がしやすいという強みもあります。
イーロン・マスク氏は「25,000ドル(約275万円)の電動自動車を発売したい」と意気込みを語ってきましたが、『ギガプレス』はそれを実現する秘密兵器に他なりません。
テスラは今後より強度に優れる『サイバートラック』の車体をつくるためにさらに巨大な『ギガプレス』の最新モデルを導入すると見られています。テスラから公式の発表はなされていませんが、『ギガプレス』を製造するIDRAが「世界初の8,000トン出力のダイカストマシンの受注をした」と発表していることから、この顧客がテスラであることは間違いないでしょう。
このサイズとパワーのダイカストマシンを保有している自動車企業は他になく、今後テスラが販売台数を増やしていくにつれ、大きなアドバンテージとなっていくでしょう。自動運転(オートパイロット)などが取り沙汰されることが多いテスラですが、自動車の製造技術にも多大な投資を行ない次世代型の生産ラインを整えていることは驚異です。
株式時価総額ではテスラに遅れをとったトヨタやニッサンなどの日本企業ですが、“ものづくり”でも後塵を拝する状況に追い込まれています。
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Source: AppBank
トヨタを追いつめるイーロン・マスクの秘密兵器。テスラが爆買いする巨大マシン『ギガプレス』の正体とは?