選挙候補者の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の実現に向けた、超党派の女性議員による勉強会が5月12日、発足した。
初会合には、呼びかけ人でジャーナリストの田原総一朗氏のほか、各政党の女性の国会議員が集まった。ジェンダーギャップの解消が、特に政治分野で世界標準から遅れている現状を変えることを目指す。
勉強会は、女性候補者の擁立に向けて各党の課題を共有し、女性が立候補しにくい状況を解消するための基準づくりを目標に掲げる。月に1回のペースで開かれる予定。
女性候補者の割合の具体的な数値目標は、今後の会で話し合っていく。候補者における女性比率に応じた「政党交付金の傾斜配分」など、女性議員を増やすための制度の提案も目指すという。
156カ国中、日本は120位
日本の国会議員に占める女性の割合は、現在どれくらいなのか?
日本で女性が初めて参政権を行使したのは、1946年4月の衆院選挙だった。当時当選した女性議員は39人で、比率は8.4%。
それから74年たった2020年では9.9%で、世界190カ国中167位となっている。
世界経済フォーラムによる「ジェンダーギャップ指数2021」で、日本は調査対象となった世界156カ国中で120位となった。G7では最下位で、特に政治と経済の分野でスコアの低さが目立った。
野田氏「男性しかできないと思われている」
女性候補者の割合では、特に与党・自民党の低さが目立つ。
男女の候補者の数ができるかぎり均等になるよう政党に努力を求める「候補者男女均等法」の施行後、初めての国政選挙(補選をのぞく)となった2019年参院選では、各党の女性候補比率は、共産党が55%▽立憲民主党が45.2%▽国民民主党が35.7%▽日本維新の会は31.8%▽自民党は14.6%▽公明党は8.3%ーーとなった。
勉強会のメンバーの一人で、自民党の野田聖子議員は、「クオータ制というのは極めて原始的な取り組みだと思います。でもいったん女性が(議員を)担ってしまえば、男性しかできないと思われている仕事が実はそんなことはないんだと国民に理解してもらえる。そのために一番早いのは、クオータ制で“見える化”をすることです」と訴えた。
初会合に出席した立憲民主党の辻元清美議員は、政治分野でのジェンダーギャップの解消の意義に言及した。
「あらゆる場面で残っているジェンダーバランスの悪さを解消する。そのためには、意思決定の場である政治の場で男女同数の議会を目指していきたい」
さらに、辻元議員は「これまで『女こどもの問題』と言われてきた、子育てや介護、環境問題などは今政治の大きなイシューになっている」と指摘。「党派を超えて、同じ方向を向きながら自由に討議する。それを良い形で、日本の政界を変える起爆剤になるような勉強会にしていきたい」と強調した。
130の国・地域で導入
朝日新聞デジタルによると、クオータ制は1970年代に北欧で、政党が自発的に導入する形で始まった。90年代後半から、ラテンアメリカやアフリカを中心に世界中に広がった。
「民主主義・選挙支援国際研究所」(IDEA)のデータベースによると、世界で130の国・地域が様々な形でクオータ制を取り入れている。これらの国・地域で、女性議員の割合の平均は26.8%を占める。
(國崎万智@machiruda0702/ハフポスト日本版)
Source: ハフィントンポスト
選挙候補者の一定数を女性に。「クオータ制」目指す超党派の勉強会が発足