男「いやー、なんだか妙な雰囲気の薬局だからつい立ち寄っちゃった」
男「こう見えて俺は漫画家でね。厳しい業界だけど一定の地位は築けたって自負してる」
薬剤師「はぁ」
男「今新連載に向けたネタを考えてんだけど、なかなかネタが浮かばないんだよね」
男「それでついこの薬局にふらりと寄っちゃったわけなんだけど」
男「なにかさ、ネタが思い浮かぶクスリなんてない? もちろん危なくないやつで」
薬剤師「ジェ……」
男「あー知ってる知ってる、ジェネリック医薬品でしょ」
男「俺、医療漫画も描いたことあるから、そういうの詳しいんだ」
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2: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/04/07(水) 20:01:00.720 ID:9FdSNIQ7H
感動した!
乙!!!
これssなかせなんよ
来たら終わってた…
おつかれ
乙!!感動した!!
男「成分はオリジナルと同じで、しかも安い」
男「だから薬剤師さんも勧めてくるんだけど、中には『効きがよくない』なんて声もあったりして……」
薬剤師「大変申し訳ないんですが、私はジェネリック医薬品の話なんてしてませんよ」
男「え」
薬剤師「私があなたに勧めたいのはこれです。≪ジェラシー医薬品≫」
男「ジェラシー医薬品……?」
薬剤師「そうです。これを飲めば嫉妬心が芽生えます」
男「あんなの芽生えちゃダメでしょ。なにしろ、かの有名な“七つの大罪”の一つでもあるんだから」
男「嫉妬で殺人事件を起こすなんて話もあるしさ。俺はブタ箱行くのは嫌だよ」
薬剤師「でしたら、いりませんか? 決して押し売りはしません」
男「む……」
男「……買うよ。あんたは只者じゃなさそうだし」
薬剤師「ありがとうございます。では、おくすり手帳があれば出して下さい」
男「一応それ聞くんだ!」
男「…………」
男「…………?」
男「特に嫉妬なんか感じないけど」
薬剤師「そのうち効果が出てきますよ」
男「ふうん……」
男(漫画を立ち読み……)ペラ…
男「…………」ペラ…
男「…………」
男(この漫画……なんて面白いんだ!)
男(こっちのも! 今まで気にも留めてなかったけど、すごいアイディア……!)
男(くそっ、他のも読まなきゃ!)ペラペラペラ
店員「お客様、立ち読みは……」
男「すみません、買います買います!」
それな
男「この漫画……おもしれえ!」
男「こっちも……台詞回しのセンスが独特だ!」
男「この作者、なんでこんな展開思いつくんだ!?」
男(俺は漫画で安定して食えるようになって、今のポジションに満足してしまっていた)
男(だが久しぶりに……他の漫画家への嫉妬心が燃え上がってきた!)
男(悔しい! 負けたくない! こいつらに負けない作品を描きたい!)
男「うおおおおおおーっ!!!」
医薬品じゃなきゃへーきへーき
男「薬剤師さん!」
薬剤師「おや? あなたはたしか漫画家の……」
男「ジェラシー医薬品のおかげでメラメラ嫉妬心が燃え上がって、ネタが閃いて、新連載も決まったよ!」
薬剤師「それはよかったですね」
男「いやー、まさかここまで効果があるとは!」
薬剤師「適量でさえあれば、嫉妬心というものはむしろプラスに働くものなのですよ」
男「身に染みて分かったよ」
薬剤師「で、どんな漫画を描いたんです?」
男「それは秘密! 今度、雑誌が販売したら載るからぜひ読んでくれよ!」
薬剤師「ええ、読ませてもらいますよ」
とか言っても若い子知らんな。
薬剤師(漫画雑誌を買うなんて、久しぶりだな)
薬剤師「巻頭カラーの……これだな」
薬剤師(これは……ふむふむ……さすがプロだ、面白い)
薬剤師「それにしても、天才餅つき少年が餅を焼いて世界を救うストーリーとは……」
薬剤師「漫画のテーマも『ヤキモチ』になったというわけか」
おわり
主人公凄いな
上司「君、この仕事頼まれてくれないかね?」
部下「すいません、今忙しいんで!」
上司「(暇そうだが……)分かったよ。自分でやるよ……」
上司「今日ちょっと残業してもらえないかね?」
若手「サッカーの試合見たいんで勘弁してくださーい!」
上司「職場で堂々と化粧するのは……」
女社員「固いこといわないで下さいよぉ~」ヌリヌリ
危うく乙しかけたわ
上司「……ハァ」
上司(私は部下にナメられてるなぁ……)
上司(管理職になったんだし、もっとしっかりしなきゃいけないんだけど)
上司(こればかりは生まれ持った性格というやつだからなぁ……)
上司「……ん」
上司「なんだ、この薬局。普通の薬局と雰囲気が違う……入ってみるか」
上司「はい、なにかそういうお薬ってないかなぁと思いまして」
薬剤師「ありますよ」
上司「ホントですか!?」
薬剤師「これです。≪ジェネラル医薬品≫」
上司「ジェネラル……?」
薬剤師「“将軍”という意味ですね。これを飲めばまさに将軍のような威厳と貫禄を身に付けることができます」
上司「まさに私が求めていたものだ! 買います!」
部下「……おはようございまーす」ボソッ
上司「声が小さいッ!」
部下「!?」ビクッ
上司「朝の挨拶はビシッとせんかァ!」
部下「お、おはようございます!」
若手「おはようございます!」
女社員「おはようございます!」
上司「うむ、よろしい」
上司「ミスだとォ!? 作戦を遂行できなかったというのに、なんだその態度は!?」
上司「もっと反省しろ、反省を!」
部下「は、はいっ!」
上司「いいか、よく覚えておけ。今までのようにはいかんぞ!」
部下「も、申し訳ありませんっ!」
若手「あの……今日はちょっと……見たいドラマ……」
上司「ん?」ギロッ
若手「ひっ!」
上司「君は上官の命令に逆らうのかね?」
若手「いえ、そんな……」
上司(今までいえなかったことを堂々といえる! まるで生まれ変わったようだ!)
上司「ビシビシいくからな! 覚悟しておけ!」
上司「これやって!」
部下「はいっ!」
上司「これ頼む!」
若手「分かりました!」
上司「おしゃべりするなァ! 職場は戦場だぞ!」
女社員「申し訳ありません!」
ピリッ…
ビクビク…
上司(おかげで職場は引き締まった……)
上司(部下達は私の命令に絶対服従。睨みつければすぐ黙る。まるで軍隊のようだ)
上司(だが、なぜだろう)
上司(まったく嬉しくないのは……)
部下「は、はいっ!」
上司「やはり、こういうのはもうやめよう」
上司「どんなに甘く見られてしまっても、やはり私には昔のやり方が性にあってるようだ」
上司「すまなかった。私のことをパワハラ上司と訴えたくば止めはしない」
部下「課長……」
若手「いえ、そんな……」
女社員「私たちの方こそ……」
上司「というわけです。元の私に戻ってしまいました」
上司「せっかくいいお薬を紹介して下さったのに……」
薬剤師「いえいえ、それでよかったんです」
薬剤師「あなたは素晴らしい将軍ですよ」
おわり
妻「このままでは離婚待ったなしです!」
妻「いえ、離婚の前に精神が参ってしまいます!」
薬剤師「はぁ……」
妻「お願いします! 薬で私たち夫婦を助けて下さい!」
薬剤師「落ちついて下さい、奥さん。とりあえず、事情をお話し下さいますか?」
妻「分かりました! お話しします!」
薬剤師「ほう、いわゆるDVですか」
妻「はい、殴ったり蹴ったり……時には投げ飛ばしたり……突き飛ばしたり……」
薬剤師「それはとんでもないですね」
妻「しかも暴言もよく吐いて……追い詰めるようなことを平気で……」
薬剤師「ふむふむ」
妻「何とかしたいと思ってるんですけど、私の力ではどうにもならなくて……」
薬剤師「分かりました。いい薬を用意しましょう」
妻「これは?」
薬剤師「≪ジェントルマン医薬品≫です」
妻「ジェントルマン……」
薬剤師「これを飲んだ人は紳士のような振る舞いをするようになります」
薬剤師「飲めといって飲んでくれるとは思えないので、食事などに混ぜるといいでしょう」
薬剤師「服用させ続けていれば、そのうち薬なしでも紳士的に振る舞えるようになりますよ」
妻「ありがとうございます! これで夫婦仲は改善しますわ!」
夫「へえ、たしかにちょっと変わった薬局だな」
妻「でしょ。あ、こんにちは!」
薬剤師「あ、いつだったかの奥さんですね」
夫「初めまして。素晴らしい薬を頂いてありがとうございます」
夫「おかげでほら、この通り夫婦仲は良好ですよ。もう喧嘩をすることはありません」
薬剤師「それはよかった」
薬剤師(この旦那さん、すっかり大人しくなったようだな)
夫「暴力を振るわなくなり、暴言も吐かなくなり、今や誰もが羨む良妻ですよ!」
薬剤師「え」
妻「あなたったら照れてしまうではないか、ハッハッハ」
薬剤師「…………」
薬剤師(あの時の説明は自分のことだったのか……)
おわり
ガサガサ…
男「うおっ、ゴキブリだ!」
アシ「ひいい! 先生、早く退治して下さい!」
男「分かってる!」
ブシュゥゥゥゥゥ… ボトッ
男「ふぅ~、倒せた。この『ゴキクラッシャー』は効き目抜群だな!」
男「気分転換にちょっと出かけてくる」
アシ「なにかお菓子買ってきて下さい!」
男(普通逆じゃないか?)
薬剤師「漫画家さん、こんにちは。例の漫画面白いですよ。毎週読んでます」
男「ありがとう! 恩人がファンになってくれて嬉しいよ」
男「そういえば、あなたはジェのつく薬をたくさん作ってるよね」
薬剤師「ええ」
男「その中で一番強力な効果なやつってなんなの?」
薬剤師「そうですね……。おそらく≪ジェノサイド医薬品≫ではないかと」
男「ジェ、ジェノサイド……!」
男(“虐殺”って意味じゃないか……)
薬剤師「一人だけ……」
男「そいつはどんな奴なの?」
薬剤師「薬剤師にも守秘義務があるので、申し上げることはできません」
男「そっか……。でももし大悪人になってたら……」
薬剤師「一つだけ申し上げるなら、その人は人に迷惑をかけるようなことはしてませんよ」
薬剤師「むしろ世の中に貢献している。それだけは断言できます」
男「ならいいけど……」
男「へ?」
薬剤師(そろそろゴキブリの出る季節だし……)
おわり
引用元: https://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1617793228/
Source: GAMAG
薬剤師「ジェ……」男「あー知ってる知ってる、ジェネリック医薬品でしょ」