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妻「行ってらっしゃい」
妻「あ、そうだ。夕飯はどういうのがいい?」
夫「んー、難しいものでいいよ」
妻「うん、分かった」
バタン…
妻(難しいもの、難しいもの……)
妻(そうだ、ステーキにしよう!)
各々の習熟度で変わるし
ドドドドドド…
孫「お、おじいちゃん!」
長老「もうダメじゃ……この村はあの人刺し牛≪ブラッディ・バッファロー≫に滅ぼされるんじゃ……」
猛牛「ブモォォォォォォォォ!!!」ドドドドドッ
ガシィッ!
猛牛「!?」
猛牛「ブモッ……!」
孫「片手であの突進を……止めた」
長老「信じられん……!」
妻「むんっ! そうりゃあああああっ!!!」
ブオンッ!
猛牛「ブモォッ!?」
ドザァッ!
孫「投げ飛ばしたァ!」
妻「さあ、来なさい。悔いが残らないよう……全力で」
猛牛「ブモォォォォォォォォォォォッ!!!」ドドドドドッ
妻「……」コォォ…
妻「覇ッ!!!」
ドゴォッ!
猛牛「ブモォッ……!」
ズズゥン…
長老「掌底であの巨体を吹き飛ばしおった……!」
孫「え」
長老「いや、あの」
妻「それじゃ失礼します!」ガシッ
ズルズルズル…
孫「……」
孫「あの人……なんなの」
長老「ワシにも分からんよ……」
妻「はい、今夜はステーキよ」
夫「わぁ、おいしそうだ!」
夫「いただきまーす!」モグモグ
夫「うん、ジューシィでうまい! 相当いい牛肉だね、これ!」
妻「ふふっ、苦労したかいがあったわ」
夫「じゃ、行ってくるよ」
妻「行ってらっしゃい」
夫「夕飯は難しいものでいいからね」
妻「うん、そうする」
妻(難しいもの、難しいもの……)
妻(マグロのお刺身にでもしようかな)
妻「はい、どうかお願いします!」
漁師「いっとくがな姉ちゃん、マグロ漁は女に務まるような甘い仕事じゃないんだぜ!」
妻「一生懸命やりますので……」
漁師「みんな最初はそういうんだよ! だが、すぐにバテて足手まといになりやがる!」
妻「足手まといになったら海に叩き落として下さってもかまいません!」
漁師「そこまでの覚悟があるのなら……いいだろう、船に乗せてやる」
妻「ありがとうございます!」
漁師「ひでえ波だ!」
若手「うっ、うええっ……!」
漁師「おい、しっかりしろ! 海の男が船酔いなんてだらしねえぞ!」
若手「す、すんません……」
漁師「あの姉ちゃんは、全く平然としてるってのによう……」
妻「大将、また一匹マグロが獲れました!」ビチビチッ
漁師「な、なんだ?」
若手「船になんかぶつかってます!」
ドゴォンッ! ドゴォンッ!
漁師「あ、あれは……」
巨大マグロ「……」ギョロッ
漁師「伝説の巨大マグロ! マジかよォ!」
ドゴォンッ!
漁師「まさか、体当たりして穴をあけて、この船を沈めるつもりか!?」
若手「ひいい、そんなぁぁぁ!」
漁師「姉ちゃん!?」
バシャァァァァンッ
漁師「バカ野郎! 海に飛び込みやがった!」
若手「まさか、マグロと戦う気じゃ!?」
漁師「自殺行為だ!」
妻「……」ブクブクブク…
妻(水中戦はあまり得意じゃないけど……やるしかない!)
ドゴンッ!
妻(ぐうっ……! なんて体当たりなの……! ガードしたのに内臓に響く……!)
巨大マグロ「……」グパァァァァァッ
妻(私を食べる気!? だったら――)
妻(その虎口ならぬ“魚口”に飛び込んでやるッ!)バッ
巨大マグロ「……!」
ズドンッ!
巨大マグロ「ゴボアッ!」
ブクブクブクブクブク… ゴボゴボゴボゴボゴボ…
漁師「くそっ、何がどうなったか全然分からねえ!」
若手「あの姉さん、無事なんだろうか!?」
漁師「あっ!」
若手「マグロが浮いた! 姉さんが勝ったんだ!」
妻「やったわァ!」
漁師「すげえ……すげえよ、あんた!」
妻「ところで、お願いなんですけど……」
漁師「なんだい?」
妻「このマグロ……もらっちゃってもいいですか?」
漁師「もちろんいいとも! そいつはあんたの戦利品だァ!」
夫「おおっ、これは……マグロかい?」
妻「うん、大きいの手に入れたから捌いてお刺身にしてみたの!」
夫「どれどれ……」
夫「醤油をつけて……」チョイッ
パクッ
夫「うん、濃厚! 脂がよくのっててとてもおいしいよ!」
妻「海に飛び込んでよかった!」
夫「行ってきまーす」
妻「夕飯はどうする?」
夫「うーん……難しいものでいいよ」
妻「うん、分かった」
妻(今日は暑いし……ひんやりしたかき氷なんてどうだろう?)
観測隊員A「Oh! ひどいブリザードだな」
観測隊員B「まったくだ……ペンギンさえ寒そうだよ」
観測隊員A「ん、なんだあれは?」
観測隊員B「どうした?」
観測隊員A「あそこに……エプロンをつけたレディがいる」
観測隊員B「ホントだ! ジーザス……俺たちは夢でも見ているのか……!?」
妻「うん、食べてみて」
夫「シロップをかけて……いただきます!」
シャクシャクシャク…
夫「うまい! なんていうか……ペンギンたちの姿が思い浮かぶ味だね」
妻「ちょっとだけもらってきちゃったの」
夫「くぅ〜、この頭痛もたまらない!」キーン
夫「行ってきまーす」
妻「夕ご飯はどうする?」
夫「家で食べるよ」
妻「どんなのがいい?」
夫「難しいものでいいよ」
妻「うん、分かった」
妻「うん、深海魚!」
夫「どれぐらい潜ったの?」
妻「数えてないけど……多分8000mぐらいかな?」
夫「逆エベレストってわけか……いただきまーす」モグッ
夫「うん、水圧で身が引き締まってる!」
妻「喜んでもらえて、私の身も引き締まっちゃう!」
妻「夕飯どんなのがいい?」
夫「君も大変だろうし、難しいものでいいよ」
妻「うん、分かった」
妻(よし……たまには宇宙に飛んでみるか!)
妻(空中を脚力で駆け上がって……いざ宇宙へ!)
ダダダダダッ!
妻「すいませーん!」
火星人「な、なんだお前は!?」
妻「地球の者なんですけど……難しい料理を作りたくて来ちゃいました」
火星人「まさか我々を材料にするつもりか?」
妻「いえいえ、ちょっと火星の料理を教えて欲しくて……」
火星人「ふうむ……敵意はなさそうだ。いいだろう、とっておきの火星料理を教えてやろう」
夫「これは……餃子だね?」
妻「そう、≪火星風水餃子≫!」
夫「火星なのに水なんだね」
夫「いただきます!」モグッ
夫「うん……火星だけにマーズい――なんてことはなくとてもおいしいよ! 燃えるような味だ!」
妻「やったぁ! また一つレパートリーが増えちゃった!」
同僚「あー、やべえ! 金使いすぎた! 給料日までどうしよう……」
夫「だったらたまには家に来ないか?」
同僚「え、いいのか?」
夫「ああ、妻も俺以外の人間に腕を振るいたいだろうし」
同僚「ヤッホウ! ありがとな! 持つべき者は既婚の友人だよ!」
同僚「すいません、突然」
妻「いえいえ、すぐ取りかかります。どういうのがいい?」
夫「じゃあ、難しいもので……」
同僚「!」
同僚「ちょ、ちょっと待ってくれ」ボソッ
同僚「今日は俺いるんだし、簡単な料理でいいよ」
同僚「ただでさえ突然客が来たのに、難しい料理を頼んだら奥さん可哀想だろ?」
夫「いや、でも……」
同僚「な、頼むよ。簡単なものって頼んであげてくれ」
夫「分かった……あまり気が進まないけど……」
夫「あのさ」
妻「決まった?」
妻「!」
妻「簡単なもの……?」
同僚「ええ、簡単なもので……」
妻「……」
妻「カンタンナモノ……カンタンナモノ……」
妻「カンタンナモノッテ……ナニ?」
同僚「え?」
妻「冷ややっこ? いえいえ、お豆腐を作るのはものすごく大変……」
妻「カップ麺? カップ麺が誕生するまでには数多くの試行錯誤が……」
妻「簡単な料理……一体どういうのにすれば……」
妻「あああああああああああああああああああああああああっ!!!」
夫「ほら、かえって考えすぎてこうなっちゃう」
同僚「難しいものっていってあげた方が簡単に済むってわけか……」
― 完 ―
火星の水餃子食いたい
乙
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Source: マイルドちゃんねる
夫「夕飯は難しいものでいいからね」妻「うん、分かった」 難しいもの・・・そうだ・・・・