アメリカやイギリスなどで接種が始まっているファイザーやモデルナの新型コロナウイルスワクチンは、いずれも一定の期間をあけて2回接種することが原則です。しかし、パンデミックの再燃が危惧されていることや、ワクチン普及が予想外に遅れていることなどから、「ワクチン投与量を半分にして、その分多くの人に接種させるべきではないのか」という意見も出ています。こうした意見に対し、アメリカ食品医薬品局(FDA)は2021年1月4日に「所定のワクチン接種スケジュールを変更する予定はない」との声明を発表しました。
アメリカ政府が「ワクチンを2回接種させる計画は変えない」と発表、「多くの人に1回ずつ接種させるのが先決」との議論で
アメリカやイギリスなどで接種が始まっているファイザーやモデルナの新型コロナウイルスワクチンは、いずれも一定の期間をあけて2回接種することが原則です。しかし、パンデミックの再燃が危惧されていることや、ワクチン普及が予想外に遅れていることなどから、「ワクチン投与量を半分にして、その分多くの人に接種させるべきではないのか」という意見も出ています。こうした意見に対し、アメリカ食品医薬品局(FDA)は2021年1月4日に「所定のワクチン接種スケジュールを変更する予定はない」との声明を発表しました。
FDA Statement on Following the Authorized Dosing Schedules for COVID-19 Vaccines | FDA
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-statement-following-authorized-dosing-schedules-covid-19-vaccines
FDA tells US health providers not to modify COVID-19 vaccine dose schedule – The Verge
https://www.theverge.com/2021/1/5/22214865/covid-vaccine-schedule-doses-fda-uk
ファイザーとBioNTechが共同開発した新型コロナウイルスワクチン「BNT162b2」や、モデルナの「mRNA-1273」は、初回のワクチン接種からそれぞれ21日間と28日間の間隔をあけて2回接種する必要があるとされています。
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しかし、ワクチン確保の失敗や接種計画の遅れなどを背景に、複数の国の政府がワクチン接種スケジュールを変更することを決定しています。デンマーク政府は2021年1月4日に、「2回目のワクチン接種までの期間を、1回目のワクチン接種から最大で6週間後まで遅らせることを承認する」と発表しました。この措置は、3週間の間隔で投与するファイザーのワクチンと、4週間の間隔で投与するモデルナのワクチンの両方を対象としたものです。
デンマーク政府の決定に続き、ドイツとアイルランドも同様の動きを見せているほか、イギリスは「最大で12週間」の間隔をあけることを承認しました。
2回目のワクチン接種を所定の手順より遅らせるという計画について、ワクチン開発企業は反対を表明しています。ファイザーとBioNTechは1月4日に、「異なる接種時期に関するワクチンの安全性や有効性は検証されていない」との声明を発表。「所定の期間以上に間隔をあけても予防効果があるという証拠は存在しない」ことを強調しました。
こうした議論を受けて、FDAは1月4日に「承認済みの投与スケジュールを順守する」との声明を発表し、所定のワクチン接種手順を変更する計画はないとの姿勢を鮮明に打ち出しました。
FDAのスティーブン・ハーン長官と生物学的製剤評価研究センターのピーター・マークス所長は声明の中で、「投与スケジュールまたは投与量の変更に関する議論は、そうすることで『ワクチンをより早く、より多くの人々に届けることが可能になる』という信念に基づいていることを、私たちは承知しています。しかし、適切な科学的証拠によって裏付けられていない計画変更は、最終的には公衆衛生に逆効果となる可能性があります。ワクチン製造者が計画変更を裏付ける科学的なデータを入手するまで、医療提供者は引き続きFDAが承認した投与スケジュールに従って各新型コロナウイルスワクチンを接種することを強く推奨します」と述べました。
この声明について、海外メディアのThe Vergeは「2回目の接種を遅らせると、部分的な免疫しか得られないおそれがあります。また、1回しか予防接種を受けていない人がウイルスに感染すれば、生き残ったウイルスが突然変異する危険性もあります」と述べて、新型コロナウイルスがワクチンに耐性を持つ危険性を示唆しました。
また専門家からも、朝令暮改でワクチンの接種計画を変更すると国民の信頼が損われるとの声が上がっています。フロリダ大学で医療統計学を研究しているナタリー・ディーン助教授はTwitterに「ワクチン接種戦略を土壇場で変えることに対して、私は当面の間は一貫した立場を支持し続けるつもりです。長期的な成功のためには、国民が意志決定プロセスに信頼を持つことが重要であるということを過小評価すべきではありません」と投稿し、計画の変更に否定的な見方を示しました。
Source: ギガジン
アメリカ政府が「ワクチンを2回接種させる計画は変えない」と発表、「多くの人に1回ずつ接種させるのが先決」との議論で
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