社会のオンラインシフトを背景に、人と人との「つながり」のあり方が変化している。
Web3.0(参加者全員が分散して、データを保持・保管しているインターネット空間)をはじめとした仮想空間も定着しつつあり、今後もコミュニケーションの形や定義が多様化していきそうだ。
そういった社会の動向を受けて、博報堂DYグループのSIGNINGは「シン密圏プロジェクト」を発足。Z世代を中心とした若者から広がる、位置情報のシェアに着目したレポートを発表した。
「位置情報の共有」で親密になれる?
博報堂DYグループのSIGNINGでは、研究開発・社会実装プロジェクト「HAKUHODO HUMANOMICS STUDIO」を通して、生活者発想で経営を考える活動に注力している。
活動の第4弾となる「シン密圏プロジェクト」では、ダウンロード数1500万以上を誇る位置情報共有サービス「whoo your world」を運営するLinQとパートナーシップを締結し、共同研究の結果をレポートで発表。位置情報のシェアから生まれる「親しさ」や、そこから拡がる新たなつながりを「シン密圏」と名付けた。
本プロジェクトでは全国の10~60代男女対象のWeb定量調査に加え、位置情報共有サービスを既に使っているユーザーのデプス調査、位置情報共有サービスを使ったことがない20~40代を対象とする実証実験を実施。位置情報を共有する行動の背景を考察・提言している。
位置情報の共有が生む、新しいコミュニケーション
調査において特に注目すべきは、やはり若年層の行動心理や「生の声」だ。調査結果の一部を紹介する。
位置情報サービスの利用経験について「利用している・利用したことがある」という回答の割合は、全体の45%以上(10代で28.2%、20代で17.2%)という結果になった。
また、10代〜20代の回答者に各種SNSの「親密度」をポイントで聞いたところ、X(49ポイント)Instagram(61ポイント)LINE(80ポイント)LinQ(88ポイント)という結果になり、位置情報の共有が、SNSにおいて最も親密なコミュニケーションとなっていることが伺える。
デプス調査では、位置情報の共有をしている人たちの行動を具体的に掘り下げている。例えば、たまたま近くにいる友達と会う「ついで会い」というコミュニケーションも生まれているようだ。また「疲れたときに、みんなが会社にいるのを見ると『私も頑張るか』という気持ちになります」という声が寄せられるなど、位置情報の共有は励ましや連帯感を感じる手段にもなっているようだ。
位置情報の共有によって、コミュニケーションや社会の未来はどう変化していくのだろうか。今後もより一層の注目が集まるトピックとなっていきそうだ。
【定量調査概要】
実査時期:2024年3月5日
調査方法:WEB定量調査(マクロミルモニタ)
対象者:日本全国在住 10-69歳男女(1000ss)※広告代理業を除く
レポートはこちら
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
位置情報をシェアする若者たち。その背景にある新しい「連帯感」とは?