子どもを装ったウクライナからの養子に家族が殺されそうになった――養親の主張を検証するために行われた、ナタリア・グレース・バーネットさんのDNA鑑定の結果が公開された。
このDNA鑑定は、ドキュメンタリー「The Curious Case of Natalia Grace: Natalia Speaks(ナタリア・グレースの数奇な事件:ナタリアは語る)」のセカンドシリーズで公開されたもので、他にも当時の歯科医や、内分泌学者の診察結果も提示された。
ナタリアさんを巡る養親の主張
ウクライナで孤児だったナタリアさんは2010年、アメリカ・インディアナ州に住んでいたクリスティーン・バーネットさんとマイケル・バーネットさん夫婦に養子として迎えられた。
しかし、夫婦は養子縁組をした後、低身長症のナタリアさんについて「子どもに見せかけているが実際は大人で、精神疾患を患っており、家族に危害を加えようとしている」と主張。
バーネット夫婦の申し立てにより、インディアナ州マリオン郡の裁判所は2012年6月に、ナタリアさんの生年月日を2003年から1989年に変更するよう命じた。
この変更の直後に、バーネット夫婦はナタリアさんを一人残して3人の実子とともにカナダに移住。ナタリアさんは夫婦がインディアナ州で借りたアパートでの一人暮らしを余儀なくされた。
DNA鑑定の結果は
養親の主張により、法律上の年齢が6歳から22歳になったナタリアさん。
しかしドキュメンタリー中のDNA鑑定では、ナタリアさんの現在の年齢は22歳以下であると判断された。11年前に家族に見捨てられた時は、子どもだったことになる。
ナタリアさんはDNA検査の結果を掲げて「この小さな紙切れ一枚で、バーネット一家の主張したすべての嘘がゴミ箱に放りまれ、燃やされることになります」と述べた。
ナタリアさんが当時子どもだったことを示しているのは、今回行われたDNA鑑定だけではない。
ドキュメンタリーでは、2010年にナタリアさんを診察した内分泌学者が、彼女の年齢を9〜11歳と推定したと証言している。2011年にナタリアさんのレントゲン撮影をした歯科医も、乳歯が12本あったことから、「子どもであるのは明白だった」と述べた。
2023月に放送された同ドキュメンタリーのファーストシーズンでは、殺意を隠すためにナタリアさんが子どもを装っていたというバーネット夫妻の主張を検証した。
夫婦はナタリアさんについて、クリスティーンさんのコーヒーに漂白剤を入れ、電気柵に突き飛ばした▽寝ている夫婦のベッドのそばでナイフを振りかざした▽おもちゃを道路に投げ捨ててきょうだいが車でひかれるよう仕向けたーーなどと主張している。
一方、ナタリアさんはこういった主張について、養子縁組前年の2009年に公開されたホラー映画『エスター』のストーリーと一致すると指摘している。
裁判所が、バーネット夫妻の証言と「2年間成長していない」という判断にのみに基づいてナタリアさんの生年月日を変更する決定を下した理由は今のところ分かっていない。
ナタリアさんは「裁判所の審理には出席しておらず、審理が行わていることも知らなかった」と語っている。
マイケルさんとクリスティーンさんはその後離婚。ふたりともネグレクトで起訴されたものの、マイケルさんは2022年10月に無罪を言い渡され、クリスティーンさんの起訴は取り下げられた。
ナタリアさんは、虐待とネグレクトでバーネット夫婦を訴える可能性もほのめかしている。
ナタリアさんはバーネット一家がカナダに引っ越した後に世話をしてくれたアントウォン・マンズさんとシンシア・マンズさん夫婦と、2023年6月に正式な養子縁組をした。
ドキュメンタリーでナタリアさんの弁護士は「この養子縁組により、将来あなたが望むことをするための法的な道が開かれる。何があったかのかは証拠が物語っている」と述べている。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆・編集しました。
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「子どもを装った養子に殺されそうになった」養親の主張を覆す実年齢、DNA鑑定で明らかに