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「よき子育ての圧がエグい」親になってはじめてわかった事実

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不登校新聞』編集長の私は小学1年生の娘を持つ父親です。

娘の夏休み直前、学校から届いた通知にたいへんモヤモヤしました。このモヤモヤをみなさんにも共有したくて記事を書きました。

伝えたいことは1つです。親だって本当にたいへんです。皆さんがんばっていますよ、ということです。

「いよいよ待ちに待った夏休み。わくわくドキドキしますね。(中略)夏休み明けには『学校、行きたくないな』と思うこともあるかもしれません。でも、先生も友だちも、みんな待っていますよ。とにかく学校に顔を見せに来てくださいね」

これは、娘が通う小学校で配られた『相談室だより』の内容だ。

私の娘は小学1年生。夏休み前の7月末にプリントが配られた。一読してため息をつく。

これはヤバい。この相談室には相談できない。私だって相談のプロではないが、10年以上、不登校新聞社に勤めてきた。子どもや親からの相談は何人も経験がある。

その際、相談というのは相手の気持ちをじっくり聞いてからスタートするものだと思っている。それが最低限のルールだろうと。

けれど、この『相談室だより』では「とにかく学校に来てください」と相談を受ける側が言ってしまっている。相手の話を聞く前から、結論を方向づけてしまっている。これではこの結論に満足できる人しか、相談に来られないだろう。

保護者への通知

びっくりしたのはそれだけではない。

この『相談室だより』、別紙で「保護者の方へ」と題したものも配られていた。いわく、「夏休み明け、子どもが登校できるようにするためには、早寝早起きを心がけること」。「ゲームやネットの時間を管理し、長時間させないこと」。「ゲーム以外の遊び、たとえば虫探しやドミノ倒しなどの工作、トランプやすごろくなどのボードゲーム、ラジオ体操やストレッチなどがおすすめですよ!」。

ごていねいにゲームやネット以外の遊びをいくつも挙げていただいているが、こちらもヤバい。子ども向けのおたよりと同じか、それ以上にヤバい。

なぜかというと、このおたよりで親は揺れてしまうからだ。やっぱりゲームはよくないのかな、生活リズムは大事なのかな、と自分の子育てへの自信が揺らいでしまうのだ。

実際、私ですら、すこし揺れたのだ。あきらかに無視すべき、よくない通知だ、と職業経験上わかっている。でも、一笑に付せない。1人の親としてはすこし気になってしまうのだ。「言われたくないこと言われちゃったな」と小さなトゲが刺さるのだ。

そう、親はみんな、自信がない。子育てに正解はないから、自分の子育てがこれでいいのか、いつも不安なのだ。

しかも親は「よき子育て」というプレッシャーにつねにさらされている。娘が小学校に入学して半年。入学説明会や入学式、授業参観や保護者会に参加しながらずっと思ってきたことだ。

「こうするのがよき子育て」というメッセージが多すぎる。そのたび、親は不安になる。「もうすこし子どもを管理したほうがいいのではないか」と。

しかし管理すると子どもは反発し、親子関係は不安定になる。そしてまた親は悩む、のくり返し。自分が人の親になるまで、親という種族がここまで日々プレッシャーにさらされているのだ、ということを知らなかった。

親の安心が 子どもの安心に

親に必要なのは、安心だ。

自分の子育てはまちがっていない、うちの子はこれでいいんだ、そう心から思えることだ。そう思えれば、子どもとの信頼関係も強くなる。子どもも、自分は親に承認されている、と思って安心することができる。不安のサイクルを安心のサイクルに変えなければならない。

今後こういう、親にプレッシャーを与えてくるような通知を見たらどうすべきか。一笑に付せるならそれでいいが、どうしても気になってしまうときもある。

そういうときは、楽しい記憶で塗りつぶそう。散歩に出かけよう、好きな服を買おう、「推し」のアーティストの動画を見よう。そしてよかったら、『不登校新聞』を読んで気分を変えよう、「親コミュ」で愚痴を聞いてもらおう。

子どもがたいへんな状況はたくさん見てきた。彼らがどれだけがんばって日々を生きているかを見てきた。でも今私は、親も親で、本当にたいへんっすよね、と心から思う。だから、これからもつながっていきましょう。   

(2023年8月9日の不登校新聞掲載記事「『よき子育ての圧がエグい』不登校新聞編集長が親になってはじめてわかった事実」より転載しました)

茂手木涼岳編集長(撮影/矢部朱希子)茂手木涼岳編集長(撮影/矢部朱希子)

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