シンガーソングライターの山下達郎氏が、ジャニー喜多川氏による性加害問題について、自身のラジオ番組で語った。
山下氏は「喜多川氏の性加害を擁護しているのではない」としつつ、「ジャニーさんに対する尊敬の念は、今も変わっていない」「あくまでミュージシャンという立場からタレントさんたちを応援していこうと思っている」と述べた。
松尾氏の契約解除
喜多川氏の性加害問題に関連して山下氏に大きな注目が集まるきっかけになったのは、音楽プロデューサーの松尾潔氏がTwitterで公表した、音楽プロダクション・スマイルカンパニーとの契約解除だ。
松尾氏は7月1日、「ジャニーズ事務所と藤島ジュリー景子社長に言及したのが理由で、15年間在籍したスマイルカンパニーとのマネージメント契約が中途で終了になった」とTwitterで報告。
「私をスマイルに誘ってくださった山下達郎さんも会社方針に賛成とのこと、残念です」と述べた。
15年間在籍したスマイルカンパニーとのマネージメント契約が中途で終了になりました。
私がメディアでジャニーズ事務所と藤島ジュリー景子社長に言及したのが理由です。
私をスマイルに誘ってくださった山下達郎さんも会社方針に賛成とのこと、残念です。
今までのサポートに感謝します。バイバイ!
— 松尾潔 (@kiyoshimatsuo) July 1, 2023
山下氏は7月9日にTOKYO FMで放送された「山下達郎のサンデーソングブック」で、この松尾氏の発言に言及。
「松尾氏がジャニー喜多川氏の性加害問題に対して、憶測に基づく一方的な批判をしたことが契約終了の一因であった、ということは認めます」とした上で「理由は決してそれだけではありません。他にも色々あるんですけれど、今日この場では触れることを差し控えたいと思います」と述べた。
また、ネットや週刊誌で「山下達郎氏はジャニーズ事務所に忖度しているのではないか」と書かれていることについて「根拠のない憶測」とした。
喜多川氏の性加害問題をどう捉えているのか
さらに、山下氏は喜多川氏の性加害について「今回の一連の報道が始まるまでは漠然とした噂でしかなくて、私自身は1999年の裁判のことすら聞かされておりませんでした」「ビジネスパートナーはジャニーズの業務を兼務していましたけれど、マネージャーでもある彼が、一タレントである私に、そのような内情を伝えることはありませんでした」と説明した。
そして「性加害が本当にあったとすれば、それはもちろん許し難いこと」としつつ「私自身がそれについて知っていることが何もない以上、コメントの出しようがありません」とも語った。
一方で、山下氏がラジオ番組で強調したのは、ジャニーズ事務所との縁に対する感謝の気持ちだ。
山下氏によると、1970年代末に喜多川氏に音楽を褒めてもらったことがきっかけで山下氏のビジネスパートナーが近藤真彦氏のディレクターになり、そこから1982年の楽曲『ハイティーン・ブギ』が生まれた。
山下氏はその後、KinKi Kidsのデビュー曲『硝子の少年』など、さまざまな楽曲をジャニーズ事務所所属のタレントに提供している。
山下氏は、多くの優れた才能と出会い、自身も成長できたと振り返った上で「人間同士の密な関係が構築できなければ、良い作品など生まれません。そうした数々の才能あるタレントさんを輩出した、ジャニーさんに対する尊敬の念は、今も変わっていません」と発言。
「私が一個人、一ミュージシャンとしてジャニーさんへのご恩を忘れないことや、それからジャニーさんのプロデューサーとしての才能を認めることと、社会的、倫理的な意味での性加害を容認することは、まったくの別問題だと考えております」と述べた。
また性加害を擁護しているのではないとしつつ、発言の最後で「私はあくまでミュージシャンという立場から、タレントさんたちを応援していこうと思っている」と語った。
「彼らの才能を引き出し、良い楽曲をともに作ることこそが、私の本分だと思ってやってまいりました。このような私の姿勢を忖度、長い物に巻かれているとそのように解釈されるのであれば、それでも構いません。きっとそういう方々には、私の音楽は不要でしょう。以上が今回のことに対する、私からのご報告です」
ジャニー喜多川氏が事務所の所属タレントらに性的暴行をしていた問題については、BBCが3月にドキュメンタリー番組で取り上げ、その後大きな波紋が広がった。これまでにカウアン・オカモト氏ら複数の元所属タレントが、被害を告発している。
ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長は5月14日に「世の中を大きくお騒がせしておりますこと、心よりお詫び申し上げます」と謝罪する動画を発表。
その後、所属経験があるタレントのための相談窓口や「外部専門家による再発防止特別チーム」を作ると発表した。
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山下達郎氏、ジャニー喜多川氏の性加害問題に言及「尊敬の念は変わらない」