7月3日、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手が、アメリカン・リーグ野手部門の、6月月間MVPと前週(6月26日~7月2日)の週間MVPに同時選出されました。月間MVPは2021年の6月および7月に続き、自身2年ぶり通算3度目、週間MVPは6月第3週(12~18日)に続いて通算6度目。いずれも日本人選手最多となりました。
大谷選手は6月、27試合に出場して打率.394、15本塁打、29打点をマーク。MVPの対象となった週(6月26日〜7月2日)の成績は、7試合に出場し、打率.417、6本塁打、7打点。
今シーズン、7月3日時点の打者としての成績は、打率.306(リーグ4位)、31本塁打(リーグ1位)、68打点(リーグ1位)。投手としては7勝3敗、防御率3.02。
大谷選手の打者としての成績はどれもリーグトップ争いをしていますが、そのうち2位を大きく引き離しているのが本塁打。2位のシカゴ・ホワイトソックス、ルイス・ロベルトが24本ですから7本差をつけています。
メジャーリーグの本塁打王といえば、昨年はアメリカン・リーグがニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ62本、ナショナル・リーグがフィラデルフィア・フィリーズのカイル・シュワーバー46本。大男の強打者が獲得するタイトルといったイメージで、少し前までは日本人選手が獲得できるようなものではないといった感じでした。
NHKが「大谷翔平 日本選手初の快挙へ ホームラン王の可能性は」と題した特集コーナーを設置し、識者が様々な見解を述べています。今シーズン、大谷選手は本塁打王を獲得できるのでしょうか。
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目次
- 1. マーク・グビザ氏の見解
- 2. 五十嵐亮太氏の見解
- 3. 川村卓氏の見解
- 4. ジェフ・フレッチャー氏の見解
- 5. まとめ
マーク・グビザ氏の見解
マーク・グビザ氏は、1962年生まれ、ペンシルベニア州フィラデルフィア出身の元MLBの投手。現在は、FOXスポーツ・ウェストでロサンゼルス・エンゼルス戦の解説者を務めています。
1981年のMLBドラフト2巡目(全体34位)でカンザスシティ・ロイヤルズから指名され入団。1984年にメジャーデビューし、この年10勝。翌1985年には14勝を挙げ、ワールドシリーズ制覇に貢献。デビュー以来の連続二桁勝利は1989年まで6年連続。1997年にはアナハイム・エンゼルスへ移籍しそのシーズンを最後に引退。通算成績は132勝136敗、防御率3.96で、ロイヤルズの球団殿堂入りを果たしました。
引退後はシャミナード大学プレパラトリースクールのコーチを務め、2007年からFOXスポーツ・ウェストでエンゼルスとロサンゼルス・ドジャース戦の解説を担当。2010年からは同局のエンゼルス戦専任の解説者となっています。
グビザ氏よると、「ホームラン王は間違いない。なぜなら今年はセンターからレフト方向に多くのホームランを打っているから。無駄のない完璧はスイングになっています」などと解説し、大谷選手のホームラン王の確率は「95%」と回答。逆方向へのホームランが多くなっていることや、あらゆる球種をホームランにしていることから、スイングが完璧になっていると言っています。
五十嵐亮太氏の見解
五十嵐亮太氏は、1979年生まれ、北海道出身の元プロ野球の投手。現在は野球解説者をしています。
1997年度のドラフト会議でヤクルトスワローズから2位指名を受け、高校卒業後に入団。入団2年目の1999年のシーズン途中から一軍に合流し、この年は最速154 km/hの速球が買われ中継ぎのみで最終的に6勝を記録。
2000年は開幕から一軍に入り、11勝を挙げ古田敦也捕手と共に最優秀バッテリー賞に選出。2004年には、当時の日本プロ野球最速タイ記録となる158 km/hを計測しました。
2006年には成績が安定せず二軍降格を経験し、また、右肘靭帯断裂でトミー・ジョン手術を受け、翌年の2007年は手術のリハビリで実戦登板は無し。
2008年はリハビリから回復、安定感のある投球をし、FA権を取得。2009年シーズン終了後にFA権を行使し、翌年MLBニューヨーク・メッツに入団。メジャー1年目の成績は31試合の登板で1勝1敗、防御率7.12に終わりました。
2011年は、メジャーとマイナーを行ったり来たりした結果、再契約交渉がまとまらずFAとなり、ドミニカ共和国のウィンターリーグに参加。
2012年は、ピッツバーグ・パイレーツとマイナー契約を経てトロント・ブルージェイズへ移籍。移籍当初はAAA級ラスベガスで迎え、自身最速の159 km/hを記録しメジャーに昇格するも、わずか2試合の登板でロースター40人枠から外れます。
その年にニューヨーク・ヤンキースに移籍。メジャー昇格も何度かありましたが、多くはAAA級スクラントンに所属。
2013シーズンからは、日本に復帰し、福岡ソフトバンクホークスに所属。この年には日本プロ野球史上初の救援のみで通算50勝目を挙げました。2014年には、パ・リーグ最多となるシーズン44ホールドを記録。
2019年にはヤクルトに移籍し、史上7人目となるNPB通算800試合登板、史上4人目となる日米通算900試合登板を達成。
2020年、コンディション不良により一軍から離れ、そのまま現役引退します。
このように、MLBとNPBの両方の経験が豊富な五十嵐亮太氏の予想は、大谷選手が本塁打王を獲得する確率は「100%」。五十嵐氏は、以前MLBのライブビューイングに登場した際に、「日本人であの身長をコントロールできる人は少ないですね。野球少年がそのままメジャーに行ったような…ドラマを見ている感じです」と大谷選手の日本人離れしたフィジカルと現実離れした様子を語っています。
川村卓氏の見解
川村卓氏は、1970年、北海道生まれで、札幌開成高校3年時には主将として夏の甲子園に出場。筑波大学大学院体育研究科修了後、北海道浜頓別高校での指導を経て2000年に筑波大硬式野球部の監督に就任。現在は准教授としてコーチング、動作分析の研究を行っています。
川村氏によると大谷選手が本塁打王を獲る確率は「90%」。理由の解説では、「ひと言で言ってしまうと、(スイングについて)後ろの大きさがなくなってコンパクトにバットが出るようになっている。だいぶまた進化しているんじゃないと思います。しっかりと股関節に体重を乗せることができるようになっているため、腕が後ろにいかずとも力を損なわずスイングが速くできています」と分析。
さらに「ピッチャーからすると攻めるところがなくなってきています。インコースもうまく打っているし、外側も逆方向に打ってしまう。相手も考えて来ていろんな攻め方をしてくると思うんですけど、それに対応できるだけの知識、経験が備わっていると思うんで、一昨年の失速したような感じにはならないじゃないか」と、やはり広角に打ち分け弱点を克服しているとの見方。
ジェフ・フレッチャー氏の見解
ジェフ・フレッチャー氏は、ロサンゼルスの地元紙『オレンジ・カウンティ・レジスター』のエンゼルス番記者。幼い頃からMLBの番記者になろうと、高校は新聞部、大学はジャーナリズムを専攻しロサンゼルス・タイムズ紙に就職。
LAタイムズでは高校スポーツ、マイナーリーグ、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校を担当しながら、大リーグ記者職にひたすら応募。サンフランシスコのローカル紙に転職し大リーグ記者となるも遠征への帯同がなかったため「オレンジ・カウンティ・レジスター」に転職し現在に至っています。
ジェフ・フレッチャー記者の予想する大谷選手のホームラン王確率は「80%」。そn理由は、「今の調子が続けばいけますよ。一昨年のようなことがなければね。一昨年は彼が二刀流としてフル出場した初めてのシーズンだった。そのため後半戦は疲労がたまり長いスランプに陥りました。今年は今の理想的なスイングを維持できるかがカギになるでしょう」と解説。
まとめ
大谷選手がホームラン王を獲得する確率を識者に予想してもらうと、高い順に、五十嵐氏の100%、グビザ氏の95%、川村氏の90%、フレッチャー氏の80%。いずれの予想にしても非常に高い確率で日本人初のMLB本塁打王が誕生するようです。
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【MLB】大谷選手のホームラン王獲得は「95%」!?