「九尾の狐伝説」で知られる栃木県那須町湯本の国指定名勝「殺生石」で、イノシシ8頭の死骸が見つかっていたことが9日分かった。群れで行動するうちに付近に迷い込み、硫化水素などの有毒な火山ガスを吸ったとみられる。殺生石周辺でタヌキといった動物の死骸が発見されることはあるが、関係者は「これだけまとまった動物の死骸は聞いたことがない」と驚いている。
殺生石園地を管理する環境省日光国立公園那須管理官事務所によると、7日午前10時20分ごろ、業務のために殺生石を訪れた同事務所職員が死骸を発見。8頭のうち成獣は3頭で一回り小さな幼獣が5頭。いずれも園地内で特に硫化水素や亜硫酸ガスの発生が多いとされる殺生石の右奥付近に横たわっていた。
同事務所は県などに相談し、豚熱感染によるものではないと判断。翌8日午前9時半から同事務所と那須町などの職員計8人で死骸の回収作業を行った。死骸は8日のうちに焼却処分された。
同事務所の善養寺聡彦さん(63)は「殺生石で発見される動物の死骸の多くはキツネやタヌキでイノシシの報告は初めて受けた。それも1、2頭でなく8頭というのは驚き」と説明。
ガスの有毒性については「人間の場合は極端に近寄らなければ基本的に問題はないが、動物は人間より低い姿勢のためより影響を強く受けてしまうのではないか」と推測した。
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