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「言語や文化の違う2人が家族になる」LiLiCoが語る、国際結婚の喜びと困難

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世間を騒がすイシューからプライベートの話題まで、LiLiCoさんがホンネで語り尽くす本連載。今回のテーマは、「国際結婚」です。

2017年、歌謡コーラスグループ「純烈」の小田井涼平さんと国際結婚したLiLiCoさん。日本とスウェーデン、遠く離れた2国で生まれ育って出会い、家族になった2人が得たもの、そして抱える困難とは?

日本とスウェーデンの国際結婚

小田井涼平との結婚は、私にとって2度目の国際結婚。私の国籍はスウェーデンです。よく誤解されるのですが、日本人と結婚しても、日本国籍にはなりません。

一口に国際結婚と言っても、国ごとに方法は変わります。

スウェーデンと日本の私たちの場合は、両方の国で婚姻の手続きをしました。両国に婚姻届を出すだけでなく、スウェーデン人側は「婚姻要件具備証明書」「独身証明書」「出生証明書」、日本人側は戸籍謄本などの書類も提出するんです。

日本人同士なら結婚後、夫婦どちらかの姓を名乗ることになりますが、日本人とスウェーデン人が結婚した場合、通常は、夫婦は別姓になります。

スウェーデンは別姓が基本なので、もし私たちが同じ姓を名乗りたいなら、スウェーデンに行って申請する必要があります。私が夫の姓を名乗りたいなら、今の自分の名字をミドルネームにして、「ODAI」を名字にする……といった具合に。

とはいえ、日本で私が漢字の「小田井」を名乗ることは叶いません。日本の婚姻届は、外国人はローマ字表記だから「小田井」は「ODAI」になってしまいます。

スウェーデンで別姓の家族をたくさん見てきたのもあって、私は別姓であることに不満を抱いたことはありません。

一方、夫は結婚当初、同じ姓になれないことが残念な様子でした。でも、最近は別姓でもかまわないと話しています。別姓のままで生活してみて、特に支障がないと気づいたのだと思います。

結婚して変わった親との関係

結婚してからの約5年、お互いの家族関係にもいい影響があったと感じています。

夫は、私のスウェーデン人らしい家族観がいいと思っているみたい。

周りを見ていると、日本人女性は夫の両親を「夫の家族」として尊重する人が多いように感じます。でも私は「夫の家族も自分のファミリー」という感覚。だから、週に1度は電話で話すし、LINEはほぼ毎日送り合っています。

夫は売れていない時代、家族とあまり連絡を取らずにいたら、家族との壁を感じるようになってしまったそう。彼は、私がその壁を一瞬で壊してくれたと思っているみたいです。

私たちの結婚で、小田井の両親の仲ももっと深まったんじゃないかと推測しています。例えば、私のウェブショップ「LiLiCoCo」で販売するために、小田井のお父さんに木製雑貨を作ってほしいと頼むと、その梱包をしてくれるのはお母さんなんです。私が現れたことで会話や共同作業が増えていたらいいな、って。

少人数の家庭で育った私は、念願の“大きな家族”を手に入れられたのがうれしい! 小田井家は、日本中に20~30人親類がいるんです。

スウェーデンの家族は小田井のことを“太陽みたいな人”だと言い、父なんて結婚式で「会った瞬間から大好きになりました」とスピーチしてくれたほど。そのスピーチを聞いて夫が号泣したのも、スウェーデンの家族のなかでは定番ネタになっています(笑)。

父は、日本に家族が増えたことで、よりいっそう日本に関心を持つようになりました。災害のニュースが流れれば心配して連絡をくれるし、日本のスポーツ選手のこともチェックしています。

最近は日本映画をよく観ていて、先日は『海街diary』(是枝裕和監督、2015)を観たと話していました。私が住む国の作品や映画監督について、父と話せるのがうれしいんです。

いつか日本、スウェーデン、タイの家族が集合できたら

国際結婚とは、言語や文化の違う2人が家族になること。本人同士が理解し合えても、家族も含めて理解し合うのは難しい。もしかしたら、それぞれの家族の中に、偏見を持っている人もいるかもしれません。

私の両親は、母が日本人、父がスウェーデン人の国際結婚夫婦。スウェーデンで暮らしていた子ども時代、父の両親が家に遊びに来ると、母は、食材は違うけれど天ぷらなど日本料理を作ってもてなしていました。でも、スウェーデンの祖父母は「こんなもの食べられない」といった態度で、母はいつも泣きそうになっていたんです。

それを見ていたから、小田井の両親が私をまるごと受け入れてくれたのはラッキーだったと感じます。

ただ、日本の人はまだまだ外国人への苦手意識が強いように感じます。

例えば、お正月に日本とスウェーデンの両親をリモートで繋いだとき、夫や小田井の両親は手を振っているだけでした。外国人に慣れていないから緊張すると話していたけれど、私ばかりが一生懸命通訳しているのはさみしいものです。

周囲を見ていても、国際結婚は、互いの言葉を覚えようとするかどうかで夫婦関係のその後が決まるようなところがあるんじゃないかなと。私たちの結婚がうまくいっている理由の一つには、私が日本語を話せることもあると思います。

もうひとつ残念なのは、親が高齢で、家族全員で会うのが叶わないかもしれないこと。これは人生で一番大きな夢です。タイ人の弟の妻の家族も含めて、みんなで集合できるなら、それにはお金に代えられない価値がある。

日本、スウェーデン、タイと3カ国をまたぐ私の家族たち。今のこの関係性が私にとってとても大切で、ずっと続いていってほしいなと思っています。

「父が亡くなったら、どうなるんだろう?」と不安になるときもあるけれど、血は繋がっていなくても、家族としての縁は途切れないと信じたい。(父親のパートナーの)ブリットが私の弟の子どもたちの面倒を見ているように。ブリットの元夫が私のマンションの修繕をしてくれているように。

「外国人」「国際結婚」が示すもの

国際結婚は、しようと思ってしてもうまくいかないもの。私の場合、日本人ともそれ以外の国の人とも付き合ったことがあるけれど、小田井と結婚したのは、たまたま好きになったのが日本人だったから。

日本人と結婚しても日本国籍にはならず、私はスウェーデン国籍なので、結婚後も日本に滞在するためにはビザが必要です。12年前には、外国人かつ配偶者がいない状況で、ビザを取得できるだけの信用を得られるよう、会社を立ち上げ経営者になりました。

今でも数年おきにビザの申請をしに出入国在留管理庁に行きますが、手続きは複雑ですし、100人以上が順番待ちをしているときもあって、1日かかります。日本で暮らして30年以上が経つけれど、毎回ビザの申請の時は、今回も通るだろうか…と不安になります。

日本で幸せに暮らす私でも、外国人が日本に住むのには困難があるなと感じることがあります。

祖母が住んでいた家を相続しようとしたときは、その地区で外国籍の人が家のオーナーになるのは初めてだったらしく、手続きにとても時間がかかりました。

賃貸物件を借りるときも、外国人は断られることも多くなかなか決まりません。私の場合は、「芸能人」という不安定な職業も影響していると思います。「信用がない」と言われ、入居審査で通らないことはよくあり、住む場所を自由に選ぶことも難しい。

こうした経験をしているのは私だけではありません。結婚やビザ、住む場所をめぐる日常的な手続きの多さ・複雑さに、不安になったり戸惑ったりしている人はたくさんいます。

住みたい場所に住み、愛する人と結婚する。そんな当たり前のことを、すべての人ができるようになればと願うのです。

(取材・文=有馬ゆえ、写真=川しまゆうこ、編集=若田悠希

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