中国・江蘇省徐州市豊県の農村で、首に鉄製の鎖をつながれた状態の女性が見つかった問題で、地元政府などで作る調査チームは2月23日、8人の子どもをもうけていた夫や、人身売買に携わった男女を逮捕したと発表した。
この問題をめぐっては、「人身売買は存在しない」という当初の発表が一転した。地元の共産党委員会のトップら17人が免職などの処分となった。
■政府発表に疑問相次ぐ
きっかけとなったのは、1月末に、ショート動画プラットフォーム・TikTok(中国名:抖音)に投稿された動画だった。そこには、門のない土壁の小屋のなかで、薄着のまま立っている女性の姿が収められていた。投稿者とみられる男性が話しかけても、うまくコミュニケーションがとれないようだった。
驚くべきは、女性が鉄製とみられる鎖で壁につながれていたことだ。動画では子供が8人いることも報告された。
これに対し、中国のネットユーザーからは「非人道的だ」「奴隷のよう」などと批判の声が相次いだ。同時に、女性は人身売買の被害者ではないかといった指摘もされた。
地元・徐州市と豊県の政府は女性を保護し、この問題に対する調査を開始。女性は雲南省の出身だと判明したが、一方で人身売買の可能性は否定していた。
しかし、政府の発表では、女性を「治療と再婚相手を探しを兼ねて江蘇省へ連れて行った」などの記述があり、内容を疑問視する声がネット上で相次いでいた。
■地元トップが免職に
これに対し江蘇省は2月17日、格上となる省レベルの共産党委員会と政府によるチームを組織し調査にあたっていて、結果が23日に公表された。
それによると、保護された女性は雲南省出身の44歳。精神疾患があるとも診断された。
調査によると、女性は複数回にわたり人身売買の対象とされ、1998年にのちに夫となる男性の父親に売り渡された。その後結婚し、8人の子どもが生まれたという。
地元当局はこれまでに、夫を虐待の疑いで逮捕した。また、人身売買に関与した男女を逮捕したほか、6人を拘束して調べを進めている。
この事件をめぐっては、地元・徐州市と豊県当局の調査の進展や内容に対し、「発表されるたびに内容が食い違っている」などの批判が相次いでいた。
省調査チームはこれに対し、地元の共産党委員会トップら17人に対する処分を発表。このうち、豊県共産党委のトップは「規律に背き、責任を負わず、形式主義と官僚主義が存在し、民衆の正当な利益を守らず、誤った情報を散布した」などと批判され、免職処分とされた。
女性は今も、病院で治療を受けている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「首に鎖、子ども8人」人権侵害にあった中国の女性、人身売買の被害者と判明。夫や売り払った男女を逮捕