この歴史的な出来事を、アメリカ・サイン・ランゲージ(ASL:アメリカ手話)で祝いたい。
トロイ・コッツァー氏が、男性のろう俳優として初めてアカデミー賞にノミネートされた。
コッツァー氏は、映画『コーダ あいのうた』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。
この作品は、Appleが配給権を獲得した家族ドラマ。コッツァー氏は耳の聞こえない漁師の父親、フランク・ロッシ役を演じている。
映画では、妻のジャキー(マーリー・マトリン)と息子のレオ(ダニエル・デュラント)もろう者であり、唯一耳の聞こえる娘のルビー(エミリア・ジョーンズ)が、家族と聞こえる世界をつなぐ助けをしている。
ルビーは、手話が巧みな「CODA(コーダ)」だ。CODAは「Children of Deaf Adults」の頭文字で、ろう者の親を持つ、耳の聞こえる子どもたちを意味する。コーダであるルビーは、時に耳の聞こえない家族とぶつかることもある。
コッツァー氏はフランク・ロッシ役で、全米映画俳優組合賞の助演男優賞にも、初のろう俳優として個人賞でノミネートされた。
また『コーダ あいのうた』は、コッツァー氏の助演男優賞の他にも、アカデミー最優秀作品賞と最優秀脚色賞にノミネートされた。
ちなみに、アカデミー賞に初めてノミネートされたろう俳優は、妻ジャッキーを演じるマーリー・マトリン氏。1986年の映画『愛は静けさの中に』 で、アカデミー賞主演女優賞を受賞した。
手話は外国語のようなもの
コッツァー氏は、ろう学校に通っていた子ども時代に、バスの中で『トムとジェリー』のアニメを真似して、他の子どもたちを喜ばせていたとCBSのインタビューで振り返っている。
「(アニメには)会話はなく、アクションとビジュアルだけなので、私も楽しむことができました」
「翌日、ろうの子どもたち全員が見ているバスの中で、私は通路に立ってトムとジェリーのストーリーを演じました。すると子どもたち全員が、ケンカのシーンなど、私のトムとジェリーをとても楽しんでくれました。自分は、みんなが喜んでくれて目を輝かせるのを見るのがすごく好きだと感じました」とコッツァー氏は通訳を通じ、手話で伝えた。
Throughout the movie, “CODA” transports hearing audiences into the silent world of the deaf. @danajacobson talks with Director @sianheder and star @TroyKotsur, who is the first male deaf actor to receive an individual SAG nomination, about the impact the film is having. pic.twitter.com/nbn2auZpWk
— CBS Mornings (@CBSMornings) February 5, 2022
コッツァー氏はまた、耳が聞こえない人も聞こえる人も、『コーダ あいのうた』を見てつながりを感じてもらえるのではないかと話している。
「ろう者の世界を除いてみることで、自分の経験をろう者の経験に映し出すことができるかもしれません」
「異なるのは、どんな言葉でコミュニケーションをするかということだけです。私たちは同じ方法で考え、同じ人生の苦しみを経験し、同じユーモアを楽しみます。ただ言葉が違うだけ。それだけです」
「だからこそ、私はASLを外国語のようなものだと説明するのです。私たちはたまたまアメリカに住んでいる、外国人なのです」
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
男性のろう俳優が初めて、アカデミー賞にノミネートされる。「私たちはただ言葉が違うだけ」