※注意:この記事にはゾウの死体の画像が含まれます。
スリランカで、大量のプラスチックごみを食べたゾウ2頭が死んでいるのが発見された。AP通信が報じた。
死んだゾウが見つかったのは、東部アンパラ県パラカッドゥ村のごみ投棄場で、検死の結果、体内から大量の非分解性のプラスチックのゴミが発見された。
野生生物獣医のニハル・プシュパクマーラさんは、検死したゾウについて「私たちが確認できたのは、ポリエチレンや食品包装材、プラチック、その他の非分解性の物質と水だけで、ゾウが通常消化する食べ物はありませんでした」と、AP通信に説明している。
スリランカでは、ゴミ捨て場のプラスチックをゾウが食べることが問題になっており、AP通信によると、パラカッドゥ村では過去8年で約20頭のゾウがプラスチックゴミを摂取して死亡した。
この事態を重く見た環境活動家や獣医らは、ゴミ投棄場のプラスチックゴミがゾウたちを殺していると警告している。
生息地縮小に伴う人間とのあつれき
スリランカでは、ゾウは神聖な存在とされ、人間の文化に大きな影響を与えてきた。
しかしWWF(世界自然保護基金)によると、同国ではゾウは19世紀から65%減少、絶滅の危機にさらされている。
減少の主な原因になってきたのが、生息地の大幅な縮小だ。住宅地や農地に変えるために森林が伐採され、ゾウの住む場所が減少してきた。
そのため、ゾウたちは食糧や水を求めて、人間が住む地域の近くにやってくるようになった。
プシュパクマーラ氏は「お腹を空かせたゾウたちがゴミ捨て場を漁って、プラスチックゴミや鋭利な物体を食べ、消化器官を傷つける」と指摘する。
また人間とゾウの生息地が近づいたことで、あつれきも生じている。
スリランカでは、人間がゾウに踏み殺されるなどの死亡事故が起きる一方で、密猟者や農作物の被害を受けた農家からゾウが殺されことが少なくない。
スリランカ政府は、ゴミ投棄場の周りにゾウ侵入防止のための電気フェンスを張るなどの対策を講じているが、すべての場所で完全に実施されていないという。
AP通信によると、パラカッドゥ村では2014年に電気フェンスに落雷が起きて以来、当局は補修せずにいる。
村の住民たちにとって、自分達の近くにうつってきたゾウは恐怖であり、自宅の周りに電気フェンスを設置する人もいる。
しかし正しい設置方法を知らずに、電気フェンスが人間とゾウ両方を危険に晒しているケースもある。
地元議員は「ゾウは人々にとって脅威である一方で、天然資源でもあります。当局は、人間が農業をできるようにしながら、人間とゾウ両方の命を守る方法を考えるべきです」とAP通信に述べている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
死んだゾウの体内から大量のプラスチック。スリランカのゴミ捨て場でゾウが死んでいる