自民党と公明党が合意した「18歳以下の子どもへの10万円相当の給付」について、給付が除外される「960万円の所得制限」のラインが不公平だとSNS上で不満の声が続出している。
夫婦のうち高い方の年収のみを基準とするため、共働き家庭に有利だからだ。自民党の高市早苗政調会長が「非常に不公平」と指摘するなど与党内でも異論が出ている。
■「年収960万円」の所得制限とは?
10万円給付は、もともと公明党の衆院選公約だった。自民党総裁の岸田文雄首相と公明党の山口那津男代表が11月10日、首相官邸で会談。公明党が自民党の主張を受け入れ、所得制限で合意した。山口代表は同日、記者団に「児童手当も960万円の所得制限で行っている。従って、その仕組みを活用すればスピーディーに給付ができる」と述べた。
児童手当の場合、児童が2人いて夫婦のうち高い方の年収が960万円以上の世帯は、児童手当が満額ではなく、子供一人あたり月額5000円の特例給付となっている。以下の図表のように、扶養親族の人数によって微妙に変わり、きっちり960万円とは限らないので注意が必要だ。
■「片働き高収入ばかり負担重」との批判も
児童手当の所得制限をめぐっては、以前から「共働きに有利」との指摘があった。今回の「10万円給付」でも、たとえば夫婦で800万円ずつの年収計1600万円の世帯は支給対象。一方で、夫や妻のみが働いている「片働き」で年収960万円の世帯には支給されない見込みだ。
このため「片働き高収入ばかり負担重」「世帯収入で平等に決めて欲しい」といった批判が、SNS上で続出していた。
岸田首相の10日の記者会見でも、所得制限について質問が出た。夫婦で800万円ずつの年収計1600万円の世帯でも給付の対象になるのかとの問いに、岸田首相は「世帯主ごと(の収入)で判断する。(対象に)なります」と答えた。
■「世帯の収入じゃなくて、個人個人の収入だと非常に不公平」と高市氏
10万円給付の所得制限について、与党内からも異論が出ている。
自民党の高市早苗政調会長は12日に、ネット放送「言論テレビ」に出演。ジャーナリストの櫻井よしこ氏との対談の中で、10万円給付について「幹事長同士が話し合い、党の代表者同士が合意をされた内容」として、大筋では「変更のしようがない」と話した。
その上で15日に開かれる自民党の政調全体会議の中で「さまざまなご意見が出てくると思います」との見解を示し、所得制限について以下のように述べた。
「茂木幹事長の記者会見を見ても『年収960万円』までの世帯という言い方をしている。共働き家庭でそれぞれが960(万円)ぐらい稼いでいると、すごい金額になりますけども、財務省でまとめているペーパーにも世帯という書き方をしている。ここ数日、テレビで(報じているように)、世帯の収入じゃなくて、個人個人の収入だと非常に不公平が起きてしまいますよね。共働きの方が多い現状ですから。そこのところは意見が出てくると思いますね」
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共働きに有利な「960万円の所得制限」与党でも異論。高市早苗氏「非常に不公平」と指摘