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LiLiCoが考える、女性のリーダー像「今の私には、憧れる女性はいません。なぜなら…」

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タレントのLiLiCoさん

スウェーデンと日本、二国のルーツを持つタレントのLiLiCoさん。世間を騒がすイシューからプライベートの話題まで、ホンネで語り尽くす本連載。今回のテーマは、「女性リーダー」です。 

世界経済フォーラムが発表した「世界ジェンダーギャップ報告書2021」では、スウェーデンのジェンダーギャップ指数が153カ国中5位なのに対し、日本は120位。下位の理由は、特に経済、政治における女性リーダーが少ないためとされています。 

今回は、LiLiCoさんが憧れ、人生を学んだ女性たちについて、そして日本での「リーダー」について語ります。

 

名司会者、オプラ・ウィンフリーに憧れた理由

 私が今までかっこいいな、人生のお手本にしたいなと感じてきた人の多くは女性でした。

不動のナンバーワンは、アメリカの司会者、俳優のオプラ・ウィンフリー。

20年前、「王様のブランチ」の映画コーナーで俳優へのインタビューをするようになった私は、たまたま目にしたトーク番組「オプラ・ウィンフリー・ショー」を観て、ゲストで出演する大スターたちが素直に、そして楽しそうにおしゃべりする姿にびっくり。

オプラのトークを学びたいと、過去20年分の番組が収録されたDVDボックスを購入し、それを何十時間もかけて観たんです。

それでわかったのは、オプラはただ俳優の一人ひとり、作品の一つひとつに興味を持ち、よさを引き出そうとしているだけだということ。ゲストたちは、そんな彼女の誠実さ、人柄のよさに心を開いていたんです。

彼女はまた、人を助けたいという気持ちがあり、資産や立場を惜しむことなく社会課題の解決に使う人。慈善活動に熱心なだけでなく、映画プロデューサーとしてアメリカに住む黒人の貧民問題に光を当てた『プレシャス』(2010)や、公民権運動の指導者キング牧師の半生を描いた『グローリー 明日への行進』(2014)などにも関わっています。

彼女の生き方は、私に「いつかだれかを支えられる人になりたい」「お世話になった人には必ずお礼を言える人でありたい」と思わせてくれるものでした。

実は、まだ私がそれほどバラエティに出ていなかった時期、L.A.にあるホテル・ベルエアのレストランで、お茶をしているオプラを見たことがあります。

お茶の間の人気者に気づいたおばさんたちは大騒ぎ! サインを求める人だかりにオプラは笑顔で対応しただけでなく、全員分の支払いをして帰っていきました。自分を支持してくれる人たちにお礼をしたい、という気持ちだったのでしょう。

ちなみにその日は、オプラを別の場所でも2度見かけたんです。最後に同じ空間に居合わせたときには、「1日に3度もオプラを見たなんて、私売れるかも……?」と思いましたね。

 

人生を教えてくれたリーダー、名ばかりのリーダー

  

神奈川・川崎の商業施設「ラ チッタデッラ」などを運営するチッタエンタテインメント会長の美須孝子さんは、人生を教えてくれた人です。

私が39歳ぐらいのとき、彼女の住むマンションの広々としたベランダがあまりにステキで、思わず「私こういうところに住みたい!」と言ってしまったことがありました。そうしたら、「まだ早い!」と美須さんが一言。

そこで私は、美須さんが長年がんばってきたからこそ、ふさわしい暮らしができているのだと気づいたんです。それ以来、私は「40歳になったら……」「50歳になったら……」と、10年刻みに目標を立てるようになりました。

フードプロセッサーの「バーミックス」を日本に広めた井手櫻子さんは、生きるセンスとは何かを教えてくれた女性。お宅に伺うたび、暮らしの道具の一つひとつにこだわることがいかに人生を豊かにするかを考えさせられます。

例え肩書きはなくても、その場、その時間の空気を作ることができるリーダーも存在しますよね。

例えば、レストランで私たちをリードして、最高の時間を演出してくれるウェイトレスさん、ウェイターさん。我が家なら、場の空気を作っているのは夫。それに合わせて「お茶飲む?」「アイス食べる?」って、ちょこまか動いているのは私です。

出演中のドラマ『彼女はキレイだった』の現場は、ケンティー(SexyZoneの中島健人さん)が最高のリーダー! トークで場を盛り上げてくれたり、暑くないかと気遣ってくれたり、豪華なお弁当を差し入れしてくれたり、みんなが気持ちよく撮影できるような雰囲気作りをしてくれました。

一方で、肩書きや役職だけのリーダーもいます。その立場に酔って、傍若無人に振る舞ったり、責任逃れをしたり……。

日本には「先生」という呼称がありますが、私はこれが大嫌い。

演歌歌手時代、「先生」と呼ばれる人には、尊敬できる人はいなかったからです。しかも、「先生」は、使う側も都合よく持ち出す言葉。「機嫌を取っておけばいい」という気持ちが透けて見えますよね。

 

日本で女性が「リーダー」と呼ばれるのは…

日本では、2021年の女性の管理職比率が8.9%、衆議院における女性議員の比率が9.9%(参議院は22.9%)と、女性リーダーが少なく、男女平等の観点で世界から後れを取っているといわれます。

60年ほど前、日本を出てスウェーデンで結婚した母は、「日本は学歴があって仕事ができても、お茶くみをしなければいけなくて嫌だった」と話していました。

2021年を生きる私は、自分の仕事で男女のバランスが偏っていると感じることはほとんどないけれど、実社会では母の時代から変わらない部分もあると思っています。

例えば、どうにか仕事を調整して友人の舞台を見に行こうとタクシーに乗り、「○○劇場までお願いします」と言ったら運転手さんにかけられた「いいよな、女は昼間からダラダラ芝居なんか見て」という言葉。

彼は、どんなときでも仕事をしなくてはならない男性という立場が嫌で、私にそんなことを言ったのかもしれません。でも、私はハッキリと言い返しました。

「私はあなたより何倍も働いているし、何倍も稼いでる。そういう人もいるんだから、『女だから』なんて言い方はしない方がいいと思いますよ」と。 

偉そうだと思われてもかまいません。男女に体の作りや仕組みの差はあっても、仕事の能力に男女の差はありません。

その意味で、日本では「子育て」になると、急に女性がリーダーを押しつけられがちなのも違和感があります。出産したり、母乳育児したりする以外は、子育ては男性も能力が発揮できる仕事なんですから。

数年前から、街中でベビーカーを押したり、抱っこひもをしたりしている男性が増えていて、安心しています。やっと「イクメン」っていう言葉も聞かなくなってきたしね!

 

70歳になったらリーダーになりたい!

今の私には、憧れる女性はいません。なぜならば、私は私で、誰にもなれないから。

日本には、身近に自分を導いてくれるリーダーをほしがる人が多いですよね。「学生時代に憧れの先輩がいた」と話す人も多い。

生き方のお手本となるリーダーをほしがることは、悪いことではありません。

ただ、「憧れの人のようになりたい」と思うのは悪くないけど、そう考える「今の自分」を否定しないで、そんな「自分」という存在を認める、肯定することも大切です。 

「LiLiCoさんに憧れる」と話してくれる人には、必ずそう伝えています。誰かに憧れるだけでなく、今の自分が持っている「良い部分」を最大限に活かして生きてほしいから。

もし私がリーダーになるなら70歳ぐらいかな!

105歳まで生きる予定の私は、50歳の今、人生を折り返したばかり。私に人生を教えてくれた人たちのように、経験を積んだ自分になったとき、だれかの道しるべになれたらうれしいですね。

(取材・文:有馬ゆえ 写真:川しまゆうこ 編集:笹川かおり

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Source: ハフィントンポスト
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