ニュージーランド議会で11月14日、先住民族マオリの権利を再解釈する法案に反対して、マオリ党の議員らがハカを踊って抗議した。
【動画】マオリの権利を保障する条約を再解釈しようとする動きに抗議し、法案を破ってハカを踊る議員ら
この日、議会ではマオリとイギリス王室の関係などについて定めた「ワイタンギ条約」の解釈を捉え直す法案の初回審議が行われていた。
マオリ党は、マオリの人たちの権利保障を狭めかねないとして法案に反対しており、同党のハナ=ラウィティ・マイピ=クラーク議員が法案の書かれた紙を破った後、他の議員らとともに、マオリの儀式や戦闘に臨む際の伝統的な踊りであるハカを舞った。
ワイタンギ条約とは?
ワイタンギ条約は、1840年にイギリス王室とマオリの首長の間で結ばれた。この条約締結でニュージーランドはイギリス領となったが、マオリの土地や文化の継承が保障された。
しかし、ワイタンギ条約はマオリ版と英語版で異なる解釈をされ、土地の権利をめぐる紛争やマオリの抵抗運動にも発展してきた。
ニュージーランド政府は、条約の理念を守るために1975年にワイタンギ審判所を設置し、マオリの権利が徐々に回復されてきた。ワイタンギ条約には法的拘束力はないものの、条約の解釈は立法や政策の指針になっている。
どんな法案に反対したのか
一方でこの動きを、非先住民への差別だと捉える人々もいる。
右派連立政権の少数党であるACT党は11月7日、マオリの権利を保障するワイタンギ条約は「平等ではない」と主張し、解釈をより狭めて法制化する法案を提出した。
この法案にマオリ党などの議員が、強い懸念を表明。国内でマオリの人たちなどによる反対の抗議活動が起きている。
ロイター通信によると、14日の議会ではマオリ党議員らの抗議に傍聴者も加わり、議場の声がかき消されるほどの声が響き渡ったため、議会は一時中断された。
マオリ党のラウイリ・ワイティティ共同代表は「政府はマオリとしての私たちの存在と、この国の基盤を攻撃している」と声明で法案を批判している。
労働党のクリス・ヒプキンス党首も「この法案は、条約の約束を守らずマオリの人々の声を無視するものだ」とコメントしている。
法案は14日に行われた初回の審議を通過したものの、法律として成立するために十分な支持を得る可能性は低いと考えられているという。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
NZマオリ党議員が議場でハカ。法案を引き裂き、先住民族の権利を捉え直す動きに抗議