子どもの頃の思い出の駄菓子「ココアシガレット」が、形を変えて令和のコンビニに登場している。
ココアシガレットといえば、タバコの箱風のパッケージで、砂糖菓子自体もタバコに似た形をしていることから、子どもたちがタバコを咥えるようにして食べる遊びも定番だった。
1951年に発売されたロングセラー商品だが、73年間で「喫煙」をめぐる環境も変わり、子どもたちがタバコを吸う大人たちに憧れることも以前に比べ少なくなった。
菓子は「タバコ風の形」から「粒状」に形状を変え、パッケージはコンビニでも販売しやすいように「箱」から「吊り下げ穴付きの袋」に。
新しく形を変えた「折れへん!?ココシガタブレット」について、駄菓子メーカー「オリオン」(大阪市淀川区)に取材した。
駄菓子屋の定番商品→コンビニで販売へ
ココアシガレットは、ハッカの香りとココアの風味が特徴の砂糖菓子だ。
シガレットシリーズとして「ミニビタCシガレット」や「コーラシガレット」などもある。
昭和、平成、令和と時代を重ねる上で、駄菓子屋の数も減り、ココアシガレットもコンビニに置きやすい形に変更することになった。
吊り下げる形の袋にパッケージを変え、昨今、人気が広がっているグミ商品などと並んで発売されている。
7月下旬から先行してローソンで売られており、9月ごろからは他店舗でも販売される。
パッケージを変えたことによって、棒状の菓子だと輸送中などに折れてしまうリスクがあるため、粒状に生まれ変わり、さらに食べやすくなった。
パッケージには「昭和26年生まれ!!私も丸くなりました…」との文言。
昔からのココアシガレットファンに加え、駄菓子屋に通った経験のない若年層にもアピールしていく。
禁煙進み、喫煙人口やタバコに「憧れる」子どもも減少
ココアシガレットが発売された当時のコンセプトについて、オリオンの常務取締役企画本部長・高岡五郎さんは「タバコを吸う大人の姿に憧れる子どもたち」に向けたお菓子だったと話す。
「大人がタバコを吸う姿を見て、『早く大人になりたいなあ』と憧れる時代でした。そこでオリオンが棒状のココアシガレットをつくり、紺色の箱に入れて駄菓子屋さんに並べたところ、子どもたちは飛びつき、大人の真似をして遊びながら食べました」
ココアシガレットが発売された昭和に比べると、70年間で飲食店や公共の場での禁煙も進み、社会全体で喫煙を取り巻く環境が変化した。
時代や環境が変わっていくにつれ、「ココアシガレットも喫煙を煽るお菓子だと非難されるようになった」と高岡さんは話す。
発売60周年の2011年に、タバコの箱風のパッケージに「オリオン株式会社はあなたの禁煙を応援します」と文言を入れ、「禁煙応援グッズに変身した」という。
オリオンのウェブサイトにあるココアシガレットの商品ページには「タバコを吸うよりこの1本」との売り文句もある。
厚生労働省の2022年度「国民健康・栄養調査」によると、習慣的に喫煙している人の割合は16.7%であり、男性27.1%、女性7.6%だった。
たばこ産業の「全国たばこ喫煙者率調査」によると、ピーク時の1966年の喫煙率は男性83.7%、女性18.0%だったことから、喫煙人口も激減していることが分かる。
タバコを吸う大人に憧れる子どもたちへのメッセージと、大リーグで活躍するドジャース・大谷翔平選手の名言「憧れるのをやめましょう」を兼ね、パッケージの裏側には、「浪速の駄菓子王のゴロゴロ語録」に「今日は憧れるのをやめましょう」と記載した。
語録は他にも、「いろいろありますが、これで丸くおさめましょう」など3種類がある。
新しい学校のリーダーズにあいみょん。若手アーティストにも人気
ロングセラー商品だが、「レトロ感」が若者世代にもうけている。
2023年には、人気ダンスボーカルユニット「新しい学校のリーダーズ」による『オトナブルー』のミュージックビデオで、ココアシガレットが登場した。
シンガーソングライターのあいみょんは2019年に、Instagramの投稿でタバコのようにココアシガレットを構える写真をアップ。
コメント欄には「めちゃ懐かしい!」「可愛い」などの声が寄せられた。
あいみょん効果で若者の間でココアシガレットが話題になり、一時在庫がゼロになるほど売れたという。
箱型のシガレットシリーズも生産し続けるため、駄菓子屋などで引き続き買うことができる。
高岡さんは、新発売のココシガタブレットと共に、ココアシガレットも「100年以上売っていきたい」と意気込む。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
タバコに憧れて買った懐かしのココアシガレット。喫煙環境の変化で、「丸くなって」令和のコンビニに