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身近な人が「被害者や遺族」になったらどうすれば良い?二次被害に経済的困難…直面する課題とは【漫画】

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こんなとき、どうする?知って、考える『犯罪被害者支援』こんなとき、どうする?知って、考える『犯罪被害者支援』

事件事故に遭った後、犯罪被害者やその家族らはどのような問題に直面するのでしょうか。

全国48の被害者支援センターの事務局である公益社団法人全国被害者支援ネットワークは、被害者やその支援をテーマにした漫画冊子「こんなとき、どうする?知って、考える『犯罪被害者支援』」を作成しました。全国の中学校や高校、特別支援学校や公立図書館などに配布しているほか、ウェブページで公開しています。

心身の不調や経済的困難、「被害に遭う原因があったのでは」という偏見などの二次被害…。

周囲の人が被害者になった時、私たちはどうすれば良いのか。漫画の内容をもとに、考えていきます。

関連記事>>【被害者・遺族へのアンケート】被害後に直面した困難について、体験・意見を募集します

アンケートの回答はこちらから。

◆被害者は悪くない

「犯罪被害なんて、自分には関係ない」と思う人もいるかも知れません。

ですが全国被害者支援ネットワークが刑法犯罪数(2020年)と国内の総人口(2021年3月時点)を元に発生割合を算出したところ、約200人に1人が犯罪の被害に遭っていることが分かったといいます。

すべての犯罪行為が報道されるわけではなく、特に性犯罪・性暴力は被害に遭っても届け出をしない人も多いため、私たちが受ける印象よりも実際はもっと多くの被害者がいます。

冊子ではひとりひとりに知ってほしいことの一つとして、「被害の影響で、心身ともに不調に陥ってしまうこと」を挙げています。

例えば眠れなかったり、腹痛や息苦しさを感じたり、怖くて外に出たくないと思ったり…。被害に遭ったことによる心身への影響やその出方は、それぞれ違うといいます。

また、「あの子は一人で夜遅くまで出歩いていたから…」「車に気をつけていればよかったね…」といった、被害者側に原因・落ち度があったかのような言葉を耳にしたことがある人も少なくないのではないでしょうか。

そうした偏見に対して冊子では、「被害者は悪くなく、被害に遭っていい理由なんてない」と断言しています。自分や友達、家族が被害者になる可能性もあるということを考えてほしいと伝えています。

◆犯罪被害、経済的な影響も

被害者や遺族はこのほかに、どのような問題に直面するのでしょうか。まず前提として、加害者が逮捕された後も、被害者の苦しみや困難は続きます。

被害による心身への負担がある中で、警察には事情聴取や証拠品の提出、実況見分(事件現場で事件の様子を再現すること)への立ち会い、検察からは、事情聴取など捜査に必要な協力を求められます。

また事件や事故の被害に遭うと、家族関係や経済面など、「日常生活」にもさまざまな影響が出ることが多くあります。

身体に大きな被害を受けてしまった場合、入院などの医療機関にかかる必要が出てきます。家族が犯罪被害で亡くなってしまった場合、大切な人がいないことを受け入れることは、とても時間がかかることです。「自分のせいで…」と思ってしまったり、「自分のことでまわりに心配をかけられない」と、ものすごく頑張ってしまったりする人もいます。

両親や保護者らが、働くことが難しくなってしまう場合もあります。会社を辞めざるをえなかったり、休んで給与が減ってしまったりし、治療費のほか食費や学費、家賃などの生活費を以前と同じように用意できない状況に追い込まれてしまうこともあるといいます。

◆周囲の人の言動、「二次被害」に傷つく

犯罪被害者らは、「二次被害」に苦しむケースも多くあります。二次被害とは、被害者が受ける直接的な「一次被害」に起因する様々な被害のことです。

例えば、被害に遭ったことを被害者本人や関係者以外が広めたり、被害に遭ったことを仕方がないことのように他人が振る舞ったりすること。「かわいそう」や「亡くなった人のためにも頑張らないとね」、「まだ子どもがいるからいいじゃない」など、本人の気持ちを慮らずに声を掛けることや、好奇心で「どうして被害に遭ったの?」と聞くこともしてはいけないことです。

全国被害者支援ネットワークは、インターネットやテレビ、新聞などで、被害者本人や関係者に許可なく、名前や仕事などの個人情報が出されることも二次被害だとしています。中傷を受けたり、事実と異なることが真実であるように広まったりしてしまうケースもあります。

◆被害に遭ったと打ち明けられたら、どうすれば良い?

もし身近な人が被害に遭った場合、「自分はなにができるかな」「そんな怖いことがあるなんて信じられない」「自分とは関係ないことだから」など、さまざまな気持ちを持つかもしれません。

また、被害者がたいしたことではないように振る舞っていたら、「大丈夫なんだな」「全然ショックは受けてないみたい」と感じるかもしれません。ですが被害者は自分の気持ちがまだ整理できていないとき、まわりに心配をかけないようにと、必要以上に平気な様子を見せることがあるといいます。

そして自身の遭った被害を話したり、助けを求めたりすることはとても勇気やエネルギーがいることです。

では、周囲の人が犯罪被害に遭った場合、どうすれば良いのでしょうか。

大切なのは、もし自分が被害に遭い、それを打ち明けようとした場合、どんな言葉をかけてほしいか、想像すること。「元気出しなよ」「あなたにも悪いところがあったんじゃない?」は、伝えて良い言葉でしょうか。

被害者の言葉や行動を否定せず、できる限り想像力を働かせ、できる限り気持ちに寄り添った言葉をかけることも大切だといいます。冊子では「ただ一緒にいて話を丁寧に聞くだけも、支えになる」としています。

ハフポスト日本版は、事件や事故などの被害者や遺族の置かれる実情を伝え、人権を守る制度設計や生きやすい社会作りを目指す特集『被害者と遺族の「本当」』を始めました

【アンケート】
被害者や遺族を対象に、被害に遭った後に直面した困難に関するアンケートを行っています。体験・ご意見をお寄せください。回答はこちらから。

〈取材・執筆=佐藤雄(@takeruc10)/ハフポスト日本版〉

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