除カビ・防カビ専門会社のハーツリッチ株式会社ハーツクリーン事業部の穂苅(ほかり)さんに、プラスチックとカビの関係、除去法と予防策を教えていただきました。
プラスチックにカビが生える理由
カビは栄養がなければ発生しないはずなのに、どうしてプラスチックにカビが生えるのでしょうか。
「驚かれるかもしれませんが、カビはプラスチックすら栄養にできる生き物なのです。人間や動物では栄養にできない木材、ホコリ、アルミニウムなどの金属でさえも、カビは成長の糧とします。プラスチックに限らず、家の中でカビの生えないものはないと考えたほうがいいでしょう」(穂苅さん)
どんな条件を満たしたら、プラスチックにカビが生えるのでしょうか。
「カビは湿度の高い環境を好み、湿度60%以上あれば生えてきます。お風呂場は湿度60%を超えがちなので、プラスチック製の桶や歯磨きコップにはカビが生えやすいのです。
水気が少ない場所でも油断はできません。物置や棚の中など狭い場所には湿気がこもりやすく、なおかつ湿気を外に逃がしにくい状況ができます。一度カビが生えると胞子を飛ばして他のカビの元になるので、早く除去しなければなりません」(穂苅さん)
プラスチック製品のカビ除去法
「市販のアルコール消毒剤で除去できます。アルコール(エタノール)はカビのタンパク質を分解する働きがあるので、プラスチックに吹き付けるとカビが取れるのです。ただし、沈着してしまったカビの色素を落とす力はありません」(穂苅さん)
沈着したカビを除去するには、どうしたらいいのでしょうか。
「市販のカビ取り剤を使ってください。手順は次の通りです。
(1)窓を開け、換気扇を強にし、マスクや手袋を着用する
(2)プラスチックに付着した「汚れ」を先に落とす
(3)カビ取り剤をプラスチックに吹き付ける
(4)ラベルに記載されている時間が経ったら水ですすぐ
換気をしなければならないのは、カビ取り剤の臭いがきついこともありますが、大量に吸うと具合が悪くなったり呼吸器系にダメージを受けたりするからです。また、カビの胞子が舞いやすいことも理由の一つです。
ただし、市販のカビ取り剤は漂白効果があるため、色もののプラスチックには使えません。色がついていないか、色落ちしてもいいプラスチック製品に使ってください」(穂苅さん)
重曹と酢でもカビを除去できる!?
「重曹とお酢を使ってください。手順の(1)と(2)まではカビ取り剤と同じです。
用意するのは重曹、お酢、スプレーボトル、水です。お酢と水を1対2の割合で混ぜ、スプレーボトルに入れてカビに吹き付けます。その上に重曹を振りかけ、もう一度お酢のスプレーを吹き付けてください。
その後2時間ほど放置し、スポンジなどでこすり落とせばカビが落ちます。最後に水でお酢と重曹を洗い流せば除去完了です。
最後に水で洗い流さないと、カビの再発を招きます。お酢は殺菌効果があるためカビに効果を発揮する一方、カビの栄養にもなるからです」(穂苅さん)
プラスチック製品のカビ予防策
「プラスチック製品は、洗い終わった後アルコールスプレーを吹き付けてください。アルコールには除菌作用があるので、菌の一種であるカビの予防にも効果的です。薬局などで売られている濃度70~80%の消毒用アルコールは、乾きやすく湿気も残らないのでお勧めです。
カビの発生は、湿気と密接な関係にあります。定期的に換気を行い、湿度を上げないようにしてください。また、プラスチック製品はこまめに洗い、カビの栄養源である汚れが付着しないよう注意が必要です」(穂苅さん)
家の中にいる限り、「ここにカビは生えないから安心」という場所はないようです。梅雨どきは特に、定期的な換気とお掃除を心がけましょう。
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