1: 通りすがりのコメンテータ香港の不動産、42兆円超の価値消失-信頼感低下で不況に拍車
不動産価格の変動が大きいことで知られる香港だが、今回の不況は際立って深刻だ。住宅価格の低迷が5年近く続いている。約20年前に起きた重症急性呼吸器症候群(SARS)危機時以来の長期低迷だ。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の新たな分析によれば、商業用不動産の損失分と合わせると、香港の不動産から2019年以降に少なくとも2兆1000億香港ドル(約42兆3000億円)の価値が失われた。UBSグループとCBREグループはさらに打撃が大きくなると見込んでいる。
ニューヨークやロンドンといった他の都市と同様に、香港も金利上昇や金融セクターの雇用喪失、労働習慣の変化などに苦しめられている。
しかし、香港の多くの人々にとって、不動産市場の低迷は、アジア随一の金融ハブとしての香港の地位への信頼が着実に失われているという、より憂慮すべき現象を表す最も明確な市場指標の一つでもある。
中国当局による信頼回復に向けた最近の取り組みにもかかわらず、香港の将来に対する懸念は根強い。
英国の植民地だった香港の自由に対する中国の締め付けは、19年の民主化デモをきっかけに始まった。中国の習近平政権は20年に香港国家安全維持法(国安法)を導入。香港は今年3月、国家安全条例を成立させた。
こうした状況を受け、不動産需要を押し上げてきた海外企業や駐在員が相次ぎ撤退。欧米資本と中国企業の橋渡し役としての香港の役割に疑念が生じたことで、不動産の買い手は様子見を続けている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-11/SEW5GXT0AFB400
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