長崎県大村市が5月2日、男性同士のカップルに対し、続き柄を示す欄に「夫(未届)」と記載した住民票を交付した。
これまで男女間の事実婚として利用されていた表記を、同性カップルにも適用した形だ。
同様の対応は全国の自治体で少しずつ広がっており、LGBTQ当事者らからは「法的にも、男女の事実婚と同様の扱いを受けられる可能性があるかもしれない」と期待の声が上がる。
ハフポスト日本版は6月5日、一部の自治体が同性カップルの関係を事実上、事実婚だと認める住民票を交付したことへの受け止めや今後の国としての対応について、住民票業務を所管する総務省に見解を聞いた。
同省住民制度課は「担当者を置いておらず、答えられる段階にない」とした。
一方、松本剛明総務大臣は5月28日の記者会見で、住民票の交付については把握しているとし、「実務上の課題も含めて、大村市の聞き取りの状況を踏まえ、対応を検討したい」とコメントした。
法律上同性同士の結婚が認められていない日本で、同性カップルも事実婚の異性カップルと同様の権利が保障されるかに注目が集まっている。
住民票が交付されたのは、3月から大村市内で暮らす松浦慶太さんと藤山裕太郎さんだ。
松浦さんによると、2人は引っ越しにかかった費用の一部を助成してもらう、雇用保険法の移転費支給のために必要な住民票を得たいと考えた。
5月2日、大村市役所で住民票の続き柄の欄に、松浦さんを世帯主、藤山さんを「夫(未届)」と表記することを求めて申請。記載した通りに認められ、同日に交付を受けたという。
現在男女間の事実婚では、自治体のパートナーシップ制度ではできない社会保険や公的年金制度の給付などが、法律婚と同様に認められている。
松浦さんは「認められると思っていなかったので、とても嬉しかったです。それに加えて、事実婚に使われる続き柄が行政書類に記されたことで、事実婚と同等の権利を得られる可能性があるのではないでしょうか」と期待を込める。
同様の対応は、全国の自治体でも広がりを見せている。
鳥取県倉吉市は2023年10月、同性カップルの希望があれば、住民票の続き柄を、未届けの妻または夫と記載できる制度を開始。栃木県鹿沼市は7月から、男女の事実婚で使われる住民票の表記を、同性カップルにも適用する新制度を始める。
また、京都府与謝野町の山添藤真町長は5月29日の定例記者会見で、同性同士のカップルから事実婚の男女カップルと同様の住民票の記載を求められた場合、積極的に受け入れる意向を示した。
松浦さんは「全国の自治体でも、事実婚関係を認める事例や議論が生まれてくれたら」と話している。
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同性カップルの住民票に「夫(未届)」、事実婚と同様の扱いに期待集まる。総務省は「答えられる段階にない」