1: 通りすがりのコメンテータ好きなアーティストの曲を聴くためにカセットテープやレコード、CDを購入していた時代があった。カセットテープが伸びて、レコードの音が不安定になるまで、何度も何度も繰り返し聴いた。今の時代、K-POPアイドルのファンもCDは購入するが、それは音楽を聴くためではない。最近では音楽を聴く場合は音楽配信サービスやダウンロードを利用している。CDで音楽を聴く人の割合がわずか5.7%という調査結果もある。
K-POPのファンがアルバムを購入する主な目的は、アルバムに付属するフォトカード(トレーディングカード)が欲しいからだ。全世界のK-POPファンにとって、好きなアイドルのフォトカードは最も手に入れたいグッズだ。貴重なものは中古品取引市場で数十万ウォン(数万円)をはるかに超える。特定のCD販売店だけで購入できる未公開のフォトカードや、ファン向けサイン会に参加した人だけがもらえる限定版のフォトカードは高額で売られ、中古品サイトで100万ウォン台まで値上がりする。昨年セマングムで行われた世界スカウトジャンボリーでも、参加した世界の若者たちにとって最高のプレゼントはBTSのフォトカードだった。
この人気を知っているK-POPの芸能プロダクション各社は、ファンのフォトカード収拾欲を刺激し、アルバム購入をあおってきた。これはここ何年も指摘されていることだ。どんな写真が入っているのか見えないようにして、ファンが自分の欲しい写真を手に入れられるまでアルバムを何枚も買うよう仕向けているのだ。あるアーティストのアルバムのフォトカードは78種類あり、一つのアルバムに6枚ずつ入っている。特定のアイドルの写真を全種類手に入れるには、同じアルバムを13枚買わなければいけないのだ。カードが重複していた場合に捨てられるアルバムは、昨年1年間で1億5000万枚を超えた。「K-POPゴミ」という言葉が登場したのはこうした理由からだ。
K-POPのボーイズグループ、SEVENTEEN(セブンティーン)のニューアルバムが東京の路上に箱ごと捨てられていた。リリースされた翌日のことだ。フォトカードだけ抜き取られ、CDは廃棄されたのだ。「今は全てごみ袋に入った状態で捨てられている」との目撃情報もSNS(交流サイト)で出回っている。K-POPの恥ずかしい後ろ姿だ。重複販売によって人気ランキングも歪曲(わいきょく)される。この問題に注目した米国の「ビルボード200」は昨年夏から、グッズが別売りになっている場合だけランキングの対象にすることにしたという。K-POPのイメージ悪化を懸念せずにはいられない。
K-POPの未来を心配する人たちも現れた。あるK-POPファンのグループは、家に放置されているK-POPのアルバム数千枚を集めて芸能プロダクションに返還し、「K-POPゴミ」 の対策に取り組むよう促した。世界の若者がK-POPにハマっているのは、歌とキレキレのダンスに魅了されたという理由だけではない。K-POPのスターたちが歌や講演などを通じて世界に伝える素晴らしいメッセージも彼らをとりこにしている。次の世代にも受け継がれる「持続可能なK-POP」になるためにも、K-POPのイメージを台無しにする「アルバム廃棄問題」は必ず解決しなければならない。
キム・テフン論説委員
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