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「ゆるブラック」な職場で働きがいを生み出すには?上司はどうするべき?元DeNA人材育成責任者・坂井風太さんのアドバイス

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若い世代の間で広がる「ゆるブラック」という概念。

ゆるブラックとは、いわゆるブラック企業のような長時間労働やハラスメントの問題はないものの、仕事での成長や将来性、昇給などの「働きがい」を感じにくい職場のこと。

ゆるブラックな職場で対立しがちな「働きがい」と「働きやすさ」はどのように捉えるべきなのでしょうか。また、働きがいを見出すために上司ができることとはーー。

若手社員がゆるブラックな職場を敬遠する理由を解いた上編に続いて、DeNAの元人材育成責任者であり、人材育成と組織強化を支援するMomentor代表取締役・坂井風太さんに聞きました。

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どうすれば「働きがい」は創出できる?

ーーゆるブラックな職場で対立しがちな「働きがい」と「働きやすさ」はどのように捉えるべきなのでしょうか。

まず組織コミットメント(従業員が自社で働きたいという意欲)は、①情緒的コミットメント②存続的コミットメント③規範的コミットメントの3つに分けられます。

一つ目の情緒的コミットメントは、「この会社の仕事は世の中にとって価値あるもので、上司の思想にも共感できる」と、いわゆる「働きがい」を大切に思う気持ちを指すものです。

二つ目の存続的コミットメントは、福利厚生や労働条件など「働きやすさ」を重視することを指します。三つ目の規範的コミットメントは、組織に対して抱く帰属意識や忠誠心です。

存続的コミットメントが高い社員の中には、一定のポジションについて、ある程度仕事をこなしていれば、年収も少しずつ上がっていくのなら「他社に転職するよりお得」と、いわゆる”コスパ”で残っている人もいます。漠然と働いている層の社員が多くなると、情緒的コミットメントで働いている社員の意欲を削ぎ、組織の地盤沈下にもつながりかねません。

「働きがい」は情緒的コミットメントと深く関わっていますから、こちらを高める施策も必要です。例えば、上司が「こうすればもっとお客さんが喜ぶはずだ!」と試行錯誤する姿を見せたり、「君のアイデアをお客さんが喜んでいたよ!」とフィードバックを与えたりすれば、若手社員も「私の仕事に意味があるのだな」と思うことができますよね。

企業は働きやすさを追求した上で、いかに働きがいを創出できるかを考えていくべきです。

ーーどうすれば「働きがい」を創出できるのでしょうか。

本来、働きがいとはかなり多義的なものですが、一つのポイントになるのが、「ジョブ・クラフティング」という手法です。ジョブ・クラフティングとは、自らの仕事にやりがいを見出すための工夫のことで、中でも「認知クラフティング」という視点が大きく関わります。

認知クラフティングとは、仕事の意味を自分なりに解釈して創出することを意味します。ここで大切なのは、自分も、メンバーも、間接的動機ではなく、直接的動機で突き動かすことです。

よくない例としては「来年度の目標は⚫︎億円です!みんなで頑張って目指そう!」と数値だけで動かそうとしたり、「この仕事にはこういう意味がある」と部下に語っても、実際は上司自身が意味を理解しておらず、言わされていたりするケースですね。

間接的動機で人を動かすのはマネジメントではなく、支配であり、人のパフォーマンスを下げると言われています。大切なのは、働く本人が「ナラティブ」を作ることです。

社員の働きがいを高めるにはどうすればよいのだろうか?(イメージ写真)社員の働きがいを高めるにはどうすればよいのだろうか?(イメージ写真)

働きがいを見出すために上司ができることは?

ーー働く本人の「ナラティブ」を作るとはどういうことなのでしょう?

ナラティブとは、語り手自身が紡ぐ独自の物語のことを指します。

終身雇用が前提だった時代は「この会社のために頑張れば給料やポジションも上がり、暮らしがよくなるはず」というループ構造を信頼できました。一方、今の若い世代にとって会社は「止まり木」なので、「会社が決めた目標なんだから頑張ろう!」と言われても、「この会社に尽くすことで何が得られるのだろうか…」と疑問に思ってしまうわけです。

働きがいを見出すには、個人的な意義づけが重要になります。直接的動機というのは、①その会社の仕事を面白いと思える②仕事で届けられる価値に共感できる③仕事が将来の自己実現につながるーーという3点を、自分自身の経験や思いに基づいて紡いでいくことです。

綺麗事にはなりますが、まずはこの直接的動機についてメンバーと対話すること、そして上司自身が仕事に有意味感を持ち、一番楽しそうに働く姿を見せることが大切だと思います。

【PROFILE】坂井風太さん

1991年生まれ。早稲田大学法学部卒。新卒でDeNAに入社後、複数の事業部を経て2020年に子会社の代表取締役に就任し、経営改革やM&Aを推進。同時にDeNAの人材育成責任者として、独自の人材育成プログラムを開発。2022年にDeNAとデライト・ベンチャーズから出資を受けMomentorを設立。日系大企業から新進気鋭のベンチャーまで大小90社を超えるクライアントに対して、人材育成と組織強化を支援している。

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