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経団連と経団連自然保護協議会は2023年末、「企業の生物多様性への取組に関するアンケート調査結果概要(2022年度調査)」を公表した。(経団連企業会員1529社のうち、有効回答数は326社)
2022年に決定した世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」では、2030年までに生物多様性の損失を止め反転させ、回復軌道に乗せるための緊急な行動をとることを定めている。
この世界目標に向けて、国内企業はどのような動きを見せているのか。
より多くの企業で「生物多様性の主流化」が進んでいる
「生物多様性」という言葉について、知っていると回答した経営層が8割以上いる企業は60%と、高い認知度が明らかになった。一般社員の8割以上が知っている企業は25%だった。
一方、生物多様性の損失を食い止め、回復に向かわせることを意味する「ネイチャーポジティブ」については、経営層、一般社員ともに認知度が低かった。
実際に生物多様性に関する活動の推進体制はどうなっているか。もっとも多かったのは、「生物多様性の取り組みを推進する担当部署の設置(66%)」だった。
生物多様性について「取締役会や経営会議で報告や決定をする」企業は、前回調査(2019年)に比べ、少数ではあるが増加傾向。取締役会での報告・決定をする企業は11%から28%になった。
では、経営方針やサステナビリティ方針に生物多様性を入れ込む企業は増えたのだろうか。
企業が生物多様性に関する記載を入れたものの中で最も多かったのは、「サステナビリティ・環境方針」などで71%。「経営方針や戦略、計画」などへの記載は37%に留まったものの、全体として生物多様性を明記する企業は増加したという。
「生物多様性宣言」や「行動指針、ガイドライン」などに盛り込む企業も、前回調査の26%から35%に増えた。
また、生物多様性に関連した情報公開を行っている企業は前回調査の74%から76%と微増。多くはホームページや統合報告書、サステナビリティ報告書など任意の媒体で情報公開をしており、有価証券報告書や事業報告書など法定報告書に記載している企業はわずか6%に留まった。
以上の調査結果から経団連らは、「2019年度調査と比べ、より多くの企業で『生物多様性の主流化』が進んでいる」とまとめている。
生物多様性への取り組み、課題は?
なぜ企業は生物多様性に取り組むのか。その理由としてもっとも多かったのは、「国際・国内の規範や社会的関心への対応」のためだった。
次いで、「経営理念上重視しているため」、「事業上必要なため」、「投資家からの要請のため」と答えた企業が続いた。
生物多様性へ取り組む際の課題については、前回の調査と比べて変化があった。「事業利益に貢献しない」「事業との関連性がわからない」ことが課題だと回答した企業はそれぞれ51%から17%、34%から25%に減少した。
一方、増加したのは「指標、目標の設定や計測」など技術面の課題だ。他にも「シナリオ設定・評価」「サプライチェーンの複雑さ」「知識・人材・予算等の不足」などを課題にあげる企業が多かった。具体的にどう取り組むかに課題を抱えている企業が多いようだ。
気候変動対策と生物多様性への取り組みは地続きだ。気候変動のことだけを考えた対策の結果、生物多様性に悪影響を及ぼす可能性があるケースもあると言われている。
しかし、調査では「気候変動対策と比べると生物多様性への対応が進んでいない」企業や、両課題を「別々に対応している」企業が多かった。
気候変動対策と生物多様性保全のシナジーのある取り組みを行う企業も少数ながらあり、今後の拡大に期待したい。
経団連は調査結果の公表と同時に「生物多様性宣言・行動指針」を改定。今後さらなる啓発活動などに取り組む方針だという。
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日本企業は「生物多様性」に関してどれくらい取り組んでいる?経団連らは調査で「主流化が進んでいる」と公表