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同性パートナーを亡くした女性、町から「赤の他人」扱い。引き継いだ畑をめぐって「権利も資格もない」

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(左から)小早川麻里さんと安住梨奈さん(左から)小早川麻里さんと安住梨奈さん

ビーツやニンニク、スナップエンドウ――埼玉県鳩山町にある有機農園「tack farm」で、小早川麻里さんは無農薬・無肥料の野菜作りをしている。

tack farmはパートナーの安住梨奈さんが約10年かけて作り上げた畑だ。小早川さんは安住さんが大切にしていた畑を守りたいと、ここで野菜作りを続けている。

安住さんと小早川さんは、女性同士であるために法的な結婚ができなかった。

「法制度さえ整っていれば婚姻関係を結んでいましたが、私たちにはその権利がありませんでした」と小早川さんは言う。

それでも安住さんが生きていた時には、一緒にいられることが幸せで、結婚をそれほど深刻な問題だとは捉えていなかったという。

しかし、安住さんがいなくなった後に畑売却の話が持ち上がった時、小早川さんは、結婚して家族として社会に承認されることが大きな権利であるという現実を突きつけられた。

tack farmで収穫した野菜tack farmで収穫した野菜

人生で「最大の出来事」だったパートナーとの出会い

小早川さんと安住さんは2014年に、お互いの友人に誘われた飲み会で出会った。

何度か会ううちに、ふたりの関係は友人からパートナーに。東京に住んでいた小早川さんは、もっと一緒に時間を過ごしたいと考え、安住さんが農業を営む鳩山町の近くの町へと引っ越し2人で暮らし始めた。

安住さんは美術の専門学校で学んだ後、「大好きな祖父の畑を廃れさせてはいけない」という思いから、在学中に農業の道に進んだ。

地元情報誌で取り上げられた安住さん地元情報誌で取り上げられた安住さん

地方や県内の有機農場での研修を経て、23歳の時に祖父の畑にtack farmをオープン。tackはスウェーデン語で「ありがとう」を意味する言葉で、tack farmという響きの良さと「感謝の気持ちを忘れない、全てのことに感謝する」という気持ちを込めて、この名前を選んだ。

農薬、化学肥料を使わない農業から始め、2017年には無肥料栽培に切り換えて年間70種以上の野菜やハーブを育てるまでになった。

小早川さんは、安住さんの野菜を「たくさんのお客様から『段ボールを開けた瞬間、他の人に見せたくなる』と言われるほど瑞々しかった」と振り返る。

安住さんは野菜に得意のイラスト入りの説明や食べ方を書いたカードを添えて届けるなど、さまざまな工夫を凝らしていた安住さんは野菜に得意のイラスト入りの説明や食べ方を書いたカードを添えて届けるなど、さまざまな工夫を凝らしていた

人一倍真面目に野菜と向き合う安住さんとの出会いは、小早川さんの人生で最も大きな出来事だったという。

お互いの実家を行き来してクリスマスや誕生日など家族のイベントにも参加し、そろそろ親にカミングアウトしようと話し合った。

法律婚はできないけれど結婚式はしたいね。子どもはどうしよう――。結婚パーティーの司会を友人にお願いするなど、将来に向けた準備を進めていた2019年7月、安住さんが真夏のビニールハウスで倒れた。

共通の親友の結婚式(二次会)での一枚。二人で引き出物一つ、ご祝儀も連名で参加した共通の親友の結婚式(二次会)での一枚。二人で引き出物一つ、ご祝儀も連名で参加した

畑を守りたい

その日は猛暑日で、倒れた原因は熱中症だった。安住さんの母親が救急車を呼んだものの、助からなかった。

突然パートナーを失い打ちひしがれた小早川さんの心に悲しみと同時に浮かんだのは「梨奈にとって一番大事な場所である畑をなくすわけにはいかない」という思いだったという。

小早川さんは、tack farmの土地所有者である安住さんの祖父の元へ行き「畑をやらせてほしい」と直訴。祖父は「やってみなさい」と後押ししてくれた。

本格的な農業は初めてだった小早川さんだが、祖父らに畝堀りや土寄せを教わりながら、tack farmで野菜作りを始めた。

小早川さんは「残された畑は、安住さんそのものだった」と振り返る。

 「私にとって、畑は梨奈自身のような存在でした。朝から晩まで真面目に野菜を作る姿をずっと見てきました。だからどうしても、彼女が10年かけて作り上げた場所を無くすことはできなかったんです」

tack farmで収穫されたニンニクtack farmで収穫されたニンニク

有機農業で野菜を作る上で何より大切なのは「土」だ。安住さんも10年かけてtack farmの豊かな土壌を作り上げた。

その土で小早川さんが作る野菜には「見た目も味も立派」「長持ちする」などの声が寄せられるようになった。

安住さんの後を継いで始めた農業が軌道に乗り始め、できる限りこの畑と土を守っていこうと思っていた矢先の2021年、畑の存続を揺るがす出来事が起きた。

畑が「産業指定区域」に

2021年末に、tack farmのある場所が「産業系区域」に指定されるという通知が鳩山町から祖父の家に届いた。

通常、区域指定する場合は関係者を対象にした説明会が開催されるが、コロナ禍を理由に開かれず、郵送での通知のみだったという。

小早川さんによると、畑周辺の地主が役場に赴いて説明を求めたところ「今すぐ何か変わるということではない」という説明のみだった。

祖父や小早川さんたちも具体的にどうなるのかよくわからないまま、土地は2022年2月に産業系区域に指定された。

tack farmのえん麦tack farmのえん麦

その後、不動産会社だけではなく、鳩山町長や町役場の担当者も祖父宅を訪問して、土地を売却して欲しいと持ちかけた。

祖父には町に協力したい気持ちもあったものの、「畑を続けたい」という小早川さんの意思を確認して、首を縦に振ることはなかった。

また、話し合いの中で町長が「(小早川さんには)畑の土地の権利も資格もないんだから、売却は祖父と長男とで決めて欲しい」と促したと小早川さんは居合わせていた親族から聞いた。

安住さんが亡くなった後に小早川さんがtack farmを引き継いだことは役場の人たちも知っており、「何の資格もない」という言葉に納得がいかなかった。

数日後に町長らが再び祖父の家を訪れた際、小早川さんが「(安住さんが)生きて畑を続けていても、同じように畑を明け渡せと言いますか」と聞いたところ、町長は「言いません」と答えたという。

鳩山町は祖父宅の訪問について「農地について、企業誘致に協力していただきたいことをお伝えして、考えをお聞きした」とハフポスト日本版の取材で答えた。

また、安住さんが生きて農作業を続けていたら同じように畑売却の相談はしなかったと答えた理由について「梨奈さんは吉岡さんの孫であり、孫が耕作している土地を明け渡せとは言えないからです」と説明した。

孫である安住さんは関係者として認めても、結婚していないそのパートナーは「赤の他人」扱い。

小早川さんは憤りを感じると同時に、法的な家族になれない立場の弱さを痛感した。

中禅寺湖中禅寺湖

結婚が認められていれば――

町からの依頼はあったものの、祖父は畑を続けたいという小早川さんの意思を尊重して土地の売却を断ってくれた。

ただ、tack farmには安住さんの祖父が所有する土地だけではなく、一部に借地も含まれている。祖父や小早川さんは以前から購入の意思を地主らに伝えていたが、産業系区域に指定されると借地は不動産会社に売却された。

産業系区域の指定について、鳩山町役場の担当者は「工場や貸し倉庫を誘致することで雇用や税収を増やし、町を活性化することが目的」とハフポスト日本版の取材に答えた。

誘致が決まり工事が始まれば、tack farmの一部は失われることになる。

また、長年の農地を産業系区域に指定した理由を尋ねると「町の計画上、もともとあの場所は農業振興区域ではなく誘致エリアと位置付けている」と担当者は回答した。

tack farmの赤オクラtack farmの赤オクラ

一方で、町は「農業従事者の新規参入促進」や「有機農業や里山づくりの取り組みを進める」といった将来構想も掲げている。

小早川さんは「有機農業の農地を潰して産業系区域に指定するのは町の農業促進の指針に矛盾すると思います。また、SDGsに逆行するような行為で誘致企業に対してもマイナスイメージを与えるのではないか」と話す。

小早川さんは11月にオンライン署名を立ち上げ、tack farmのある場所に工場・物流倉庫を建てないよう訴えている。

署名について鳩山町は「本町としては、適正に事業を進めており、(祖父の)農地については、現在も農地として利用されているため問題はないと考えています」とコメントした。

小早川さんがこの出来事を通して何より痛感しているのが、結婚できない同性カップルの立場の弱さだ。

「異性愛、同性愛関係なく、結婚したい人もいればしたくない人もいるでしょう。ただ、それが一つの権利として保障されているかどうかは、大きな違いを生みます。結婚が認められていれば、私たちももっと早く親にカミングアウトできていたと思います」

「日本では、パートナー同士として社会的に認められる上で法的な結びつきがあるかどうかがとても大きい。ふたりの関係を法的に証明することが必要な場面があるんです。梨奈の逝去後、鳩山町もパートナーシップを導入しましたが、町は私を関係のない他人としか見ていません。配偶者になれなかった虚しさ、無力さを痛感している日々です 」

「法的な関係がなくても『周りがあなたたちのことをわかっているから大丈夫』と言う人もいるかもしれません。でも実際はそうじゃなくて、現実は厳しい。私のように、突然パートナーを亡くして、困った人もいると思います。結婚できる、できないの選択肢さえあれば、私の置かれた立場はもっと違っていたと感じます」

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同性パートナーを亡くした女性、町から「赤の他人」扱い。引き継いだ畑をめぐって「権利も資格もない」

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